◎竹取物語の5つの難題
★「竹取物語」の5つの難題(「竹取物語」室伏信助 訳注、角川ソフィア文庫、「竹取物語」上坂信男 全訳注、講談社学術文庫 より)
○世の中の男は、身分の高い者も低い者も、なんとかしてこのかぐや姫を手に入れたい、妻にしたいと心が乱れる
その中で、あいも変わらず言い寄ったのは、色好みといわれる者だけ5人で夜も昼も通ってきた
その名は、石作りの皇子(いしつくりのみこ)、庫持の皇子(くらもちのみこ)、右大臣阿部御主人(あべのみうし)、大納言大伴御行(おおとものみゆき)、中納言石上麻呂足(いそのかみまろたり)であった
「5人の中で、わたしが見たいと思っている物を見せてくださる方があれば、愛情がまさっているとして、お仕え申し上げましょう」
1 仏の御石の鉢
「石作の皇子には、仏の御石(みいし)の鉢という物があります。それを取ってきてください」
・釈尊が成道した時、四天王が石の鉢を奉ると重ねて1つの鉢にしたと伝える
○あの鉢を捨ててから、また言い寄ったことがもとで、あつかましいことを「はぢ(恥(鉢))を捨つ」と言うのである
2 蓬莱の珠の枝
「庫持の皇子には、東の海に蓬莱という山があります。そこに銀を根とし、金を茎とし、白い珠を実として立っている木があります。それを1枝折ってきてください」
○皇子が幾年もの間、姿を現されなかった。このことを「たまさかる」と言い始めたのである
・たまさかる
魂離る(たまさかる) 魂が肉体から離れる。世を逃れて山中に入る
珠悪なる(たまさがなる) たまさかにめぐり逢う
3 火鼠の皮衣
「右大臣阿部御主人には、唐土(もろこし)にある火鼠(ひねずみ)の皮衣(かわぎぬ)をください」
・火鼠の毛で織った衣で、火で焼いても燃えないという
○望みが達せられず張り合いを失ったことを「あえなし」と言ったのである
・あへなし
阿部無し 敢えなし
4 竜の頸の珠
「大伴の大納言には、竜(たつ)の頸(くび)に五色に光る珠があります。それを取ってきてください」
・五色は青・黄・赤・白・黒
○「そんな李(すもも)はおかしくて食べにくい」と言ったことから、まったく思う通りにならないことを「あなたへがた(ああ、堪えられない)」と言い始めたのである
・たへがた
食べにくい、堪えられない
5 燕の子安貝
「石上の中納言には、燕の持っている子安貝を取ってきてください」
・子安貝は生殖の神秘力をもつものとして、子安信仰にもとづいて貴重なものとされた
○「貝がない」とおっしゃったことから、期待に反することを「甲斐なし(かいなし)」と言った
○少しうれしいことを「かいあり」と言ったのである
・かいあり
貝あり
効(かい)あり
★「竹取物語」の5つの難題(「竹取物語」室伏信助 訳注、角川ソフィア文庫、「竹取物語」上坂信男 全訳注、講談社学術文庫 より)
○世の中の男は、身分の高い者も低い者も、なんとかしてこのかぐや姫を手に入れたい、妻にしたいと心が乱れる
その中で、あいも変わらず言い寄ったのは、色好みといわれる者だけ5人で夜も昼も通ってきた
その名は、石作りの皇子(いしつくりのみこ)、庫持の皇子(くらもちのみこ)、右大臣阿部御主人(あべのみうし)、大納言大伴御行(おおとものみゆき)、中納言石上麻呂足(いそのかみまろたり)であった
「5人の中で、わたしが見たいと思っている物を見せてくださる方があれば、愛情がまさっているとして、お仕え申し上げましょう」
1 仏の御石の鉢
「石作の皇子には、仏の御石(みいし)の鉢という物があります。それを取ってきてください」
・釈尊が成道した時、四天王が石の鉢を奉ると重ねて1つの鉢にしたと伝える
○あの鉢を捨ててから、また言い寄ったことがもとで、あつかましいことを「はぢ(恥(鉢))を捨つ」と言うのである
2 蓬莱の珠の枝
「庫持の皇子には、東の海に蓬莱という山があります。そこに銀を根とし、金を茎とし、白い珠を実として立っている木があります。それを1枝折ってきてください」
○皇子が幾年もの間、姿を現されなかった。このことを「たまさかる」と言い始めたのである
・たまさかる
魂離る(たまさかる) 魂が肉体から離れる。世を逃れて山中に入る
珠悪なる(たまさがなる) たまさかにめぐり逢う
3 火鼠の皮衣
「右大臣阿部御主人には、唐土(もろこし)にある火鼠(ひねずみ)の皮衣(かわぎぬ)をください」
・火鼠の毛で織った衣で、火で焼いても燃えないという
○望みが達せられず張り合いを失ったことを「あえなし」と言ったのである
・あへなし
阿部無し 敢えなし
4 竜の頸の珠
「大伴の大納言には、竜(たつ)の頸(くび)に五色に光る珠があります。それを取ってきてください」
・五色は青・黄・赤・白・黒
○「そんな李(すもも)はおかしくて食べにくい」と言ったことから、まったく思う通りにならないことを「あなたへがた(ああ、堪えられない)」と言い始めたのである
・たへがた
食べにくい、堪えられない
5 燕の子安貝
「石上の中納言には、燕の持っている子安貝を取ってきてください」
・子安貝は生殖の神秘力をもつものとして、子安信仰にもとづいて貴重なものとされた
○「貝がない」とおっしゃったことから、期待に反することを「甲斐なし(かいなし)」と言った
○少しうれしいことを「かいあり」と言ったのである
・かいあり
貝あり
効(かい)あり