◎イスラーム 28 アラビア科学 数学 4
★アラビア科学 数学 4 3角法
・おもに「非ヨーロッパ起源の数学」(ジョージ・G・ジョーゼフ、講談社)によります
○アラビアの3角法の直接の源はインドであるが、3角法の最古のものはバビロニアに由来すると思われる弦の幾何学で、プトレマイオスの「アルマゲスト」の中で示された3角法が2番目である
●インドの3角法
・アレクサンドリアで、ヒッパルコス、メネラオス、プトレマイオスなどの天文学者によって3角法の基礎が築かれ、インドに伝えられた
インド天文学は当時の最先端の天文学であり、3角法は天文学に必要な1分野だった
○インドの数学者らは3角関数の研究に半弦を用いていた
半弦はジュヤアルダ(jyardha)として知られていたが、後、縮められてジュヤ(jya)またはジーバ(jiva)となり、インドの正弦となった
jivaがアラビアに入ったとき、アラビア語の母音省略のルールによってjibと書かれていたが、チェスターのロバートが、それをjaib(ジャイブ)だと思い込んでしまった
ジャイブは12世紀にラテン語のsinus(シーナス)に訳された
sinusが現在のsin(サイン)となった
○アールヤバタ(476年生まれ)の「アールヤバティーヤ」
古い天文書「シッダーンタ」の結果を修正して体系化したもの
数学を扱った第2章には、1次方程式、2次方程式、1次不定方程式などが含まれている
第2章で、半弦表を用いた計算によって3角法を導入している
アールヤバタは円周率の近似値として3.1416(62832/20000)を用いた
○この3.1416という円周率の近似値について
数学者のファン・デル・ヴェルデンによると、3.1416という円周率の近似値を求めたのは、アルキメデスの時代のベルゲのアポロニオス(200年ころ)である
アールヤバタは、この円周率の近似値をアポロニオスから受け継いだ(「古代文明の数学」、ファン・デル・ヴェルデン、日本評論社)
○ヴァラーハミヒラ(505~587年頃)の「スールヤ・シッダーンタ」
3角法についての解説がある
3角法の3個の関数ジュヤ(半弦、またはインドの正弦)、コジュヤ(余弦)、ウトゥクラマジュヤ(正接)が与えられている
正弦は半径1の円の中心角xに対する弦の長さであった
その半分、半弦の長さが現代での正弦sin xに相当する
○ブラフマグプタ(598年生まれ)の「ブラフマースプタ・シッダーンタ」
正弦表で与えられている角度の中間にあたる角度の正弦を得る方法を述べた
○バースカラ1世(600年頃)の「マハー・バースカリヤ」
数表を使わないで鋭角のインド正弦を計算する近似式を与えている
○マーダヴァ(1340~1425年頃)
マーダヴァは3角関数の無限級数を、ニュートンより約300年前に発見したかもしれない
正弦級数および余弦級数が初めてヨーロッパに現れたのは、1676年に王立協会総裁オルデンバーグにニュートンが出した手紙の中である
マーダヴァの正弦級数および余弦級数は、天文計算用の精度の高い正弦・余弦表を作るために用いられたのであろう
●アラビアの3角法
・3角関数がアラビアに伝えられたのは、8世紀にアッバース朝(749~1258年)の第2代カリフ アル・マンスールの宮廷を訪れたインドの使節団がもたらした天文書によるとされている
1 正弦、余弦、正接、余接、正割、余割の6個の基本的な3角関数の導入
正接(tan)と余接(cot)の起源はアラビアである
タンジェント(tan)をつけ加えたのは、9世紀のアラビアの天文学者アル・ハースィブである
2 正弦公式の導出
現代版の正弦公式はナッスィール・アッ・ディーン・アッ・トゥースィーに帰するとされている
3 補間法による3角関数表の作成
アラビアの天文学者は天文計算のために、インドの正弦表より精密な正弦表の必要性を感じるようになる
アル・ハースィブ(850頃)は1度の間隔で、10進法で5位まで正確な正弦表と正接表を作った
○15世紀になるとアル・カーシーは「弦と正弦についての研究」の中で、反復法を用いて3次方程式を解くことによってsin1°の精密な値を得る問題に取り組んだ
アル・カーシーはsin1°を10進法で16けたまで正しく計算した
★アラビア科学 数学 4 3角法
・おもに「非ヨーロッパ起源の数学」(ジョージ・G・ジョーゼフ、講談社)によります
○アラビアの3角法の直接の源はインドであるが、3角法の最古のものはバビロニアに由来すると思われる弦の幾何学で、プトレマイオスの「アルマゲスト」の中で示された3角法が2番目である
●インドの3角法
・アレクサンドリアで、ヒッパルコス、メネラオス、プトレマイオスなどの天文学者によって3角法の基礎が築かれ、インドに伝えられた
インド天文学は当時の最先端の天文学であり、3角法は天文学に必要な1分野だった
○インドの数学者らは3角関数の研究に半弦を用いていた
半弦はジュヤアルダ(jyardha)として知られていたが、後、縮められてジュヤ(jya)またはジーバ(jiva)となり、インドの正弦となった
jivaがアラビアに入ったとき、アラビア語の母音省略のルールによってjibと書かれていたが、チェスターのロバートが、それをjaib(ジャイブ)だと思い込んでしまった
ジャイブは12世紀にラテン語のsinus(シーナス)に訳された
sinusが現在のsin(サイン)となった
○アールヤバタ(476年生まれ)の「アールヤバティーヤ」
古い天文書「シッダーンタ」の結果を修正して体系化したもの
数学を扱った第2章には、1次方程式、2次方程式、1次不定方程式などが含まれている
第2章で、半弦表を用いた計算によって3角法を導入している
アールヤバタは円周率の近似値として3.1416(62832/20000)を用いた
○この3.1416という円周率の近似値について
数学者のファン・デル・ヴェルデンによると、3.1416という円周率の近似値を求めたのは、アルキメデスの時代のベルゲのアポロニオス(200年ころ)である
アールヤバタは、この円周率の近似値をアポロニオスから受け継いだ(「古代文明の数学」、ファン・デル・ヴェルデン、日本評論社)
○ヴァラーハミヒラ(505~587年頃)の「スールヤ・シッダーンタ」
3角法についての解説がある
3角法の3個の関数ジュヤ(半弦、またはインドの正弦)、コジュヤ(余弦)、ウトゥクラマジュヤ(正接)が与えられている
正弦は半径1の円の中心角xに対する弦の長さであった
その半分、半弦の長さが現代での正弦sin xに相当する
○ブラフマグプタ(598年生まれ)の「ブラフマースプタ・シッダーンタ」
正弦表で与えられている角度の中間にあたる角度の正弦を得る方法を述べた
○バースカラ1世(600年頃)の「マハー・バースカリヤ」
数表を使わないで鋭角のインド正弦を計算する近似式を与えている
○マーダヴァ(1340~1425年頃)
マーダヴァは3角関数の無限級数を、ニュートンより約300年前に発見したかもしれない
正弦級数および余弦級数が初めてヨーロッパに現れたのは、1676年に王立協会総裁オルデンバーグにニュートンが出した手紙の中である
マーダヴァの正弦級数および余弦級数は、天文計算用の精度の高い正弦・余弦表を作るために用いられたのであろう
●アラビアの3角法
・3角関数がアラビアに伝えられたのは、8世紀にアッバース朝(749~1258年)の第2代カリフ アル・マンスールの宮廷を訪れたインドの使節団がもたらした天文書によるとされている
1 正弦、余弦、正接、余接、正割、余割の6個の基本的な3角関数の導入
正接(tan)と余接(cot)の起源はアラビアである
タンジェント(tan)をつけ加えたのは、9世紀のアラビアの天文学者アル・ハースィブである
2 正弦公式の導出
現代版の正弦公式はナッスィール・アッ・ディーン・アッ・トゥースィーに帰するとされている
3 補間法による3角関数表の作成
アラビアの天文学者は天文計算のために、インドの正弦表より精密な正弦表の必要性を感じるようになる
アル・ハースィブ(850頃)は1度の間隔で、10進法で5位まで正確な正弦表と正接表を作った
○15世紀になるとアル・カーシーは「弦と正弦についての研究」の中で、反復法を用いて3次方程式を解くことによってsin1°の精密な値を得る問題に取り組んだ
アル・カーシーはsin1°を10進法で16けたまで正しく計算した