さらば、民主主義 佐伯啓思

ここ数年、民主主義に対する疑問がいくつも出てきている。本当に民主主義でよいのか？民主主義で

人々は幸福になれるのだろうか？民主主義以外にいいモノはないのか？アメリカのトランプ大統領の

登場で、さらにこの疑問は大きくなった。彼は民主主義によって正当な手続きの元で選ばれたのだ。

しかし彼の保護主義、アメリカファーストはおよそ民主主義とはかけ離れたものだ。彼の発言は民主

主義とはかけ離れているものがほとんどである。


今や世界の大国のほとんどは自国に都合のいい政策を優先させる指導者が席巻している。アメリカも

中国もロシアも日本もそうだ。そのため大多数の国民は疑問の声を上げることが憚れる状況に陥って

いる。余計なことを言えば叩かれるという事態があちこちで起きている。これが民主主義とは言えな

いだろう。それでも中国以外の国は民主主義の正当な手続きの元リーダーが選ばれた。


民主主義とは一体何だろう。この本では民主主義を徹底的に論じている。いくつもの疑問もあらゆる

角度から見つめ、民主主義の正体を見極めようとしている。さらに日本人の西洋思想・民主主義に対

する違和感も論じていて、読んでいてその論法に私は感心してしまった。



世界中があらゆる分野を単純化しようとしている。どのような疑問も即座に簡単に答えを用意してく

れている。その為に人々は思考することを止めてしまったようだ。そして考えるための情報の取捨選

択さえ他人によって操作されている。今改めて自ら思考することの大切さを感じている。そして情報

の選択が殊更重要になってきている。


さらば、民主主義　　　　佐伯啓思　　　　朝日新書