国際経営開発研究所(IMD)の発表する世界競争力ランキングで、日本はシンガポールや韓国は
もとより、タイ、マレーシアの後塵を拝している。かつて世界を席巻した日本企業から、イノベー
ションが生まれないという現実。本書で取り上げるイノベーションとは「技術革新」だけではない。
イノベーションとは、新しい技術によって開発されたプロダクトやサービスだけではなく、組織の
システムやビジネスモデルなどに新たな価値を生み出し、社会に変革をもたらすものです。
iPhoneが登場した時、既存業界に詳しい専門家の一部は「日本ではそれほど売れないだろう」と予
測していました。当時の日本は、ガラケー全盛で機能面等で日本の携帯が強く、iPhoneには否定的
だった、ことを思い出します。
インターネットも誕生した時には「うさん臭い」「ネットは落書き」「詐欺が多い」などネガティ
ブ情報が先行して、アンダーグラウンドな雰囲気が漂っていました。
なぜ日本はイノベーションを起こせない国へと変わったのか、それは「主戦場」が変わったことが
大きな要因です。テクノロジーの進化がデジタル領域中心になってきたため、ハードウェアでの革
新が起こしづらい。では、違う別の主戦場をつくり出せるかというと、それをやるだけの経営体力、
技術的なビジョンを持った企業が少ない。そして日本では技術予算をかけるのが遅い。ノーベル賞
クラスの大発見が出てようやく、大義名分がついたように予算を投下する、遅行指標だ。中国がE
V、ハイテク、人工知能、宇宙に集中的に予算を付けているのとは雲泥の差だ。
大量生産方式では勝ちにくい状況で、テクノロジーがわかる役員を配置し、使われないボタンが並
ぶテレビのリモコンのような物からの「引き算」をする勇気を持つことが必要だと結論付けていま
す。
なぜ日本企業はゲームチェンジャーになれないのか 山本康正 祥伝社新書
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