よしーの世界

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昭和研究会   酒井三郎

2020-06-14 08:18:23 | 
第二次世界大戦前に軍部独走を懸念し、高い理想を求め、真に日本の将来を憂え国策を研究する集

団が「昭和研究会」である。国をまとめるために近衛文麿が総理として熱望されていた時期で組閣

参謀たる後藤隆之介が主宰した機関で、純粋に政策を議論、立案する為にあらゆる学者、知識人、

官僚たちが政治外交、金融財政、経済社会、労働、農村、教育の分野ごとに無報酬で参加し審議を

重ねている。


研究会の始まりに当たって著者をはじめ数人で東北の農山漁村を視察に行くのが、非常に重要なと

ころで、昭和研究会が生まれた背景の一つに農村の窮乏が大きなウェイトを占めているという。現

代の2世、3世議員や世間知らずの官僚が中心にいる政府の機関とは立ち位置が全く違う。


残念ながら陸軍の暴走に次ぐ暴走を近衛文麿は全く止めることが出来ずに、国民を破滅の道に進ま

せることになるのだが、冷静に議論を重ね、より良い未来を築くためにシンクタンクは必要だ。そ

れも利害関係がハッキリしていることが大切で、大企業や官庁の利益のためではなく、真に日本国

民そして世界の人々の利益の為に動け、考える機関でなくてはならない。


今の政府、官庁のダメさが新型コロナ対策で如実に表れている。自己保身や自己利益の考えしかな

い政治家、官僚、大企業の経営者たちに、対抗できるシンクタンクが今すぐに必要だ。


昭和研究会    酒井三郎    中公文庫
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