日本は人口減少が進んでいるのに新築マンションは増え続けている。仕事で武蔵小杉によく
行くが、駅を出て上空を見上げるとタワーマンションが建ち並び、今も駅前に50階のタワ
マンが建設中だ。今、マンションでは様々な問題が出てきているが、解決は先送りされ「新
しく作って、売る」ことが優先されている。
数年前から耳にしていたが、マンションの清掃や資金管理を委託していた管理会社から管理
を断られるケースが都市部を中心に増えているという。築年数が古く、管理費の値上げに応
じることなく、修繕積立金の残高も少ないと管理会社の「うまみ」がなくなるという理由か
もしれない。
私も以前築40年超のマンションに住んでいたが、高齢化が進み、輪番制の「理事をやりた
くない」という声が増え、できれば管理にかかわりたくない居住者が増えていた。将来的に
は建て替えも考えなければならない現状で「もうすぐ死ぬから」と言われたこともあった。
管理員、清掃員の人件費の上昇、修繕工事も資材が高騰し、人手も不足し、待ったなしの状
況でも先送りされているケースがみられる。自主管理をするには自分たちの仕事が忙しすぎ
たり、高齢により交渉事が困難になる。
マンションを「終の棲家」と考える居住者は増えている。コミュニティーづくりを念頭に自
ら動き出さねば厳しい現実に直面することになるかもしれない。
朽ちるマンション 老いる住民 朝日新聞取材班 朝日新書