スティーブ・ジョブズに関する話は本当に面白い。当時自ら立ち上げたアップルから追放され、ネク
ストコンピューターに打ち込むが業績はイマイチ。本書の中心人物であるローレンスは、シリコンバ
レーでEFIという会社で副会長兼最高財務責任者をしていたが、ジョブズからピクサーという名も
知らない会社で一緒に仕事をしないかと誘われる。しかしピクサーはジョブズが数百万ドルつぎ込み
ながら成果があまり上がっていない。しかもジョブズのやり方でさんざんな目に遭った人の話がいく
つもあり、参加を大いに悩む。
ローレンスがとりあえず訪ねたピクサーの当時、廃品を並べたような古いカウチや肘掛け椅子が置か
れた試写室で、短編の「ルクソーJr.」長編アニメの最初、数分間の「トイ・ストーリー」を観て、想
像もできなかったほどクリエイティブで技術的な魔法を体験する。劇中登場したプラスチックの兵士
にも気持ちが動いたほどだ。
ローレンスへのミッションはまだ代表作すらないピクサーの株式公開。契約ではディズニーに完全に
しばられ、例え映画がヒットしてもピクサーの儲けは本の少しという状態。さらに株式公開で期待し
たモルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスにはあっさり断られるという惨状。一からエンタ
ーテイメントを学び直すローレンスの巻き返しが始まる。
このまま実写映画にしてもいいような内容で、実にドラマティックだった。ジョブズ、ローレンス、
その妻ヒラリーと子供たち、ピクサーのエド、ラセターと登場人物は皆魅力的で、ワクワクさせる内
容でした。
PIXAR・ピクサー ローレンス・レビー著 井口耕二訳 文響社
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