著者によれば日本という国は世界200か国の中で約60番目に広い国で、国土が細長い列島を成し
ているので、面積に比べて経緯度レベルでの広がりは大陸国家に匹敵するという。そのため流氷
が接岸する北海道のオホーツク海岸から、マングローブが繁茂し、珊瑚礁が取り囲むような島を
擁する沖縄県まで実に多様だ。地形の変化も劇的で、そんな国土を結ぶ鉄道が変化に富んでいる
のは当たり前と力説している。
最初に登場するのが鉄道よりも新しい昭和新山の話で、昭和19年(1944)に地盤が徐々に隆起し
始め、噴火を繰り返し、大噴火がおさまるまで線路は隆起した部分を避けるように何度か移設さ
れている。古い鉄道写真のキャプションには「山より駅舎の方が古い」とあり、著者は強い印象
を覚えたと書いている。
やはり身近でよく利用している山手線の話は非常にそそられた。実は山あり谷ありで、縦断面図
と地形図を観察するとアップダウンがあり、絶妙なルート選びであることが分かるという。山手
線一周を詳細に解説しているが、とてもリアルに描写されていて想像しやすい。今度乗車する際
には、この本を持っていきたい。
東京メトロ丸ノ内線凸凹の旅もとても面白く、ワクワクしながら読んだ。プチ鉄な私に鉄道の知
識は殆どないが、地図、地形図等豊富で分かり易い。鉄道に乗る楽しみが増えた。
鉄道でゆく凸凹地形の旅 今尾恵介 朝日新書
日本の国土は小さい、狭いと認識して
いましたが、目からウロコです。