日経新聞朝刊のマーケット欄のコラム「大機小機」。
昨日の夜、何気なく新聞を読み返していたら、目が飛び出るような暴論が書かれていました。ボクはブログでは、できるだけ人の意見や行動を全面的に非難をすることは避けているつもりですけど、今回の内容だけは許せませんね。一晩経っても怒りが収まりません。
そのコラム、昨日の著者は「吾妻橋」さん。
題して「地域間格差をどう是正するか」。
強引に要約すると・・・
今後は財政に依存した地域格差の縮小は望めない。
工場を誘致するという手法もあるが、他のアジア諸国に比べると不利である。
そうなると、労働力の輸出、社会資本のある場所に人が移り住むことが“地域格差是正するための唯一の現実的な政策”である。
という内容です。
分かりやすく言えば、こういうことですよね。
都会だけ重点的に社会資本を整備して、田舎からヒトを集約し、
田舎は資本効率が悪いから、切り捨ててしまえと。
地域間格差は田舎があるから存在するのであり、田舎を切り捨てれば解決するじゃないか・・・
「地域間格差の是正」とは良い表題ですけど、まさに言っていることは「地方の切り捨て」以外の何者でもありません。確かに切り捨ててしまえば話は簡単であり、工夫して格差を是正しようとする思考を続けることは困難ですからね。
いかがですか?
全文は最後に引用しておきますので、ぜひ読んでみてください。
みなさん、ハローです。ホディです。
田舎者は故郷を捨てて、都会へ出よ・・・
田舎の暮らしを維持するために、これ以上、都会人は税金を払いたくない・・・
本当にそれでいいのでしょうか。
ボクから言わせてもらえば、
吾妻橋さんが書かれている「高度成長期の労働移動で地域間格差が縮小した」というのは幻想であり、短期的には実家への仕送りなどで経済格差の縮小に貢献したかも知れませんけど、長期的にみれば労働力(生産力)と購買力のいわば経済の両輪を失うという現象を発生させることとなり、間違いなく地域間格差の拡大の元凶ではないか。しかも第一次産業の労働人口が急減した今、サラリーマンの都会と地方の実所得(賃金から生活費を差し引いたもの)はそれほど大きな違いはなく、多くの場合は一時的な仕送りにすら貢献できるとは思えません。つまり、これ以上の労働力の移動は単に地理的に移動するだけに過ぎないのではないでしょうか。
そうなれば、さらに経済の両輪を失う結果につながり、広い意味でその土地はやせ細り、最後には誰も住めない土地になってしまうことでしょう。
既に田舎から都会に移動してしまっているボクがいえるような話ではありませんけどね。
ついでに言わせてもらえば、
今までの“財政による所得分配政策”のおかげで、地方のインフラも整いつつあり、地理上の距離が大きな不利をもたらすことも少なくなっています。また、既に物理的な労働集約型の産業の隆盛も限界にきている感もあり、自宅での勤務などのように物理的には離れていても出来る仕事も増えていますし、田舎での仕事は環境や通勤時間などを考慮すれば都会での仕事に負けないばかりか、逆に労働効率は高まるような気もします。
要するに、労働力の移動は創意工夫でカバーできる時代になっている気がします。
一方で、自然災害や停電などの人災などで首都機能が麻痺してしまう現象も時々目にします。これ以上の災害はない、あってもリスク管理で支障をきたすことがないと本気で思えますか。集中すればリスクも大きい。今後は逆に官庁のみならず、企業の分散も検討すべきではないでしょうか。
集中させるばかりが良いことではない・・・
・・・止まりませんね。
長くなりすぎましたので、続きはまた今度。
ぜひ、みなさんのご意見も聞かせてください。
最後に全文を引用させていただきます。
2006/9/15 日本経済新聞朝刊(19面)
「地域間格差をどう是正するか」
総裁選の大きな争点のひとつとして、大都市圏と地方の格差拡大への対応がある。貧しい地域に配分された公共事業費の削減に加えて、今後、零細自治体に手厚い配分の地方交付税が見直されれば、格差が広がる地域もある。
しかし、所得の再配分政策は、本来は個人を対象としたものであり、様々な所得階層が混在する地域単位で行うことは効率的ではない。既に国全体の人口が減少し始めている現状で、いくらカネを注ぎ込んでも、過疎地域の人口が増える可能性は乏しい。厳しい財政状況の下では、過去の高成長期のようなカネのばらまきによる地域格差の是正は空約束に過ぎない。
財政に依存せずに、地域間の所得格差を縮小するためにはどのような手段があるか。所得水準の低い地域は、低賃金で労働者を雇えるという利点を生かして工場を誘致するという手法がある。しかし、国際化の時代には、低賃金の労働者を求めるなら他のアジア諸国への進出が有利だ。
工場を誘致できなければ、代わりに労働者を輸出すればどうか。過去の高度成長期には、貧しい農村から豊かな都会に新卒者が移動し、それが地域間格差の縮小に大きく貢献した。地域間格差の所得格差は、労働移動を促す市場のシグナルでもある。生産性と所得が低い地域から高い地域への労働移動は、経済全体の生産性の向上にも貢献する。
このメカニズムが失われたのが財政による所得再分配政策の拡大で、人々が移動する必要がなくなった1970年代以降である。しかし、財政を通じた所得移転が限界に達した今日、再びこの仕組みを活用する時期が来ている。
もっとも、高度成長期の若年労働者とは異なり、高齢者の多い地域では、人口移動は困難とみられる。しかし、北海道では、冬の間、雪で閉じ込められる山間部の高齢者が都市の病院等に避難するといわれる。そうであれば、病院ではなく公営住宅等を整備して、周辺過疎地域の高齢者を集め、現在の住居は夏の別荘にすればどうか。このための費用は、過疎地域の社会資本整備等の費用の大幅な削減で、十分、おつりがでる。
人の住むところに新たに社会資本をつくるのではなく、社会資本のある場所に人が移り住むことを支援する。これが人口減少時代に地域格差を是正するために唯一の現実的な政策であり、より具体的な検討が望まれる。(吾妻橋)
hoddyさんの意見に賛成です。
酷い話ですよね。多くの高齢者も好きで過疎地に残されているわけではなく、高度成長を支えた労働移動の犠牲者、つまり国の犠牲者だとボクは思うんですよね。
また、先祖代々の土地を離れられないことは、経済では割り切れない・・・
ホント、こういう人たちが既存のメディアであたかも「唯一の現実的な政策」だと風説を流布していくことは恐怖すら感じますね。
ホントにひどいコラムですね。これも、都市出身の小泉政権の置き土産の1つかも。安倍さんは地方を地盤にしているといっても東京育ち、どういう政治を行うか、気になりますね。
ひどいですよね・・・
ドンドンこういう考えが広まるのはとても危険だと思います。そういう意味では安倍さんはどんな政治をするんでしょうね。
ん・・・