明瞭な話し方をマスターする
何を言っているか分かってもらうために
1対1の会話と違って、複数の人を前で口上を述べるときは、声を伴った反応があるとは限らない。
観客が理解しているのかどうか、わからないまま口上を続けてしまっては意味がない。
先ず、口を縦に開ける意識を持つ
明瞭な話し方をするためには、声の大きさや発音だけでなく、話す時にしっかりと口を開けることである。
口が大きく開いていないと、自分では分かりやすく話しているつもりでも、聞きとりづらい発声になってしまう。
例えば、「あ」の発音をする場合の正しい口の形は、人差し指から薬指までの3本の指を縦に入れられるぐらい、大きく開く形と言われている。
ただ、大きな口といっても、思いきり口を開いてしゃべり続けていては不自然であり、口周りの筋肉も疲れてしまう。
そこでポイントとなるのは、口を縦に開けようとする意識を持つことである。
多くの人は話をしている時に、口を縦ではなく横に開いて声を発することがく、そのため、判別がつきにくいような曖昧な発声になってしまう。
聞き返されたり聞き間違いをされたり、といったことが生じる。
ほんの少し、口を縦に開けようと意識するだけでも、発声の変化を実感できる。
母音をしっかり発音する
話し方の基本として、母音である「あ・い・う・え・お」をしっかり発音することが大事である。
中でも、「あ」と「え」は口の形が似ているため、口をしっかり開けて発音しないと、区別のつきにくい曖昧な発音になってしまう。
「あ」の発音は口を縦に開き、「え」の発音は口を横に開くのが正しい発声方法である。
良い発声のためには、姿勢が大事
〔あごを床と平行に保つ〕
口の形に気をつけていても、姿勢に問題があると、声がこもって聞こえる。姿勢で意識すべき点は、あごの位置である。
あごが上に向き過ぎたり、下に向き過ぎたりすると、喉に力が入ってしまい、良い声が出にくくなる。あごを床と平行に保つことで喉がリラックスした状態になり、声が通りやすくなる。
〔背筋を伸ばす〕
また、背筋を伸ばして胸を開き、たくさん空気を吸うことも大切である。背筋が曲がって前屈みになり、胸が閉じてしまうと、肺にあまり空気が入ってこなくなり、この状態で言葉を発すると声がこもって聞こえる。このため、発声が明瞭ではなくなる。
背筋をピンと伸ばして良い姿勢を保ち、たっぷり空気を吸い込んで話すようにすると良い。
明瞭に話す
口の中でもぐもぐ言ったのでは聞き取れない。明瞭に話すことが大切である。
口を大きく開くことです。口先だけで、もぐもぐしゃべると舌がもつれ早口になる。
大きく口を開いて話せばゆっくり発音できるし、力強く発音できる。
これによって発音、発声がはっきりしていることば、透き通る声、音として聞こえる言葉、何という言葉か、はっきりわかる。
〔語尾が明らかに話す〕
“歯切れがよい”というのことは、はっきりして語尾が明らかな言い方をいう。
語尾がかすれたり、ぼやけたりしたのでは迫力のある話はできない。
ハケとハゲ、澄むと濁ると大違いである。明瞭に話せば刷毛か禿の違いが分かる。
イメージを共有する
次に、共通な意味のとれる言葉で話す。
口上を述べる者と観客が共通の意味内容に受けとれる言葉で話す。
がまの油売り口上は昔の古い言葉が随所に出てくる。
現代人には何のことを言っているのか分からない箇所がある。
口上の前後に補足説明をするなり、ビジュアル化した資料やゼスチャーでイメージを具体化する工夫が必要になる。
「世の中は澄むと濁ると大違い 刷毛に毛がなく禿げに毛がある」という狂歌がある。
澄むか濁るかで大きな違いが生じるものである。
Point
・言葉はハッキリと
・語尾は特にしっかりと
・声量は一番遠くの人がうなずいていればOK!
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