AKB48の旅

AKB48の旅

AKB補完計画

2012年02月20日 | AKB
乃木坂46の存在様式がなんとなく見えてきたように思うので、乃木坂46論を、ひいては表裏となるAKB48論にも言及してみようかと。加えて、なぜ秋元康が乃木坂46を「公式ライバル」と呼称したかについても考えてみる。

まず感じ入ったことは、乃木坂のルックスのレベルの高さ。ほれぼれするほどかわいい子ばっかりを揃えている。それでいて、センターの生駒里奈が、素朴で穏やかな雰囲気を醸し出していて、抵抗感とか警戒感のハードルを思いっきり下げてくれてる。

SONYによる万全のバックアップのもと、最初っから冠番組にCMタイアップと恵まれ過ぎな上に、デビュー曲の「ぐるぐるカーテン」も良曲ということで、これはヒット間違いなし。パフォーマンスも、品の良い、それでいてあざといスカートアクションを織り交ぜる、ある意味王道アイドル的な作り。今後の展開は未知だけど、現状、定型的なアイドル路線を狙ってるように見える。かわいいは正義。

となると「かわいい」を絶対条件にアイドルを楽しむファンにとっては、必然的にAKBよりも乃木坂の方が魅力的に感じられるはず。急激に、ではないかもしれないけれど、じわじわとAKBファンが乃木坂に「推し変」するというのは確実ではないか。ちなみに「クラスで5番目」的な話はとりあえず置いとく。

一見、AKBの自殺行為ともとれる乃木坂の「設計」。けれども、それこそが秋元康の狙いなんだろう。つまりは、アイドル=かわいい、かわいいは正義、ここを崩しにかかったんではないか。

例によってもう少し噛み砕く。「かわいい」とは要するに子供属性であり、だから年齢という要素が決定的となる。誰が決めたわけでもないと思うんだけど、二十歳を過ぎると「卒業」しなければならない、なんかそんなルールがあることになってる。でもちょっと待て、AKBのコンセプトは「かわいい」ではなくて「成長を見せる」ではなかったか。確かに未熟は子供属性だけど、未熟だからかわいいは成り立つけど、それは等価ではない。

ならば、AKBから「かわいい」を引きはがしたら、否、「かわいい」要素のみのファンを引きはがしたら何が残るのか。もちろん「かわいい」要素がなければ、人は関心すら持ってはくれない。だから、かわいいを否定するのではなく、より優位なものを用意した。乃木坂の特徴、それはAKBよりかわいい、比較の問題としてのかわいい優位にあるのではないか。

単純に考えれば、かわいさのみを求めるファンは確実に乃木坂に推し変していくことだろう。とすれば、AKBに残るのは、かわいい=未熟な女の子の努力を、挑戦を、成長をこそ愛でるファンということにならないか。もちろんファンあってのアイドルなんで、こういう誘導的な物言いは傲慢そのものなんだけど、言わばAKBバブルと言って良い現状、バブル崩壊の受け皿的な仕組みを用意するというのは、戦略として間違ってないだろう。

そしてそれが、コンセプトの先鋭化、敢えて言い切ろう、ファンの絞り込み、よりコアなファン、どこまでもついてきてるファンへの注力という方向性を指向するなら、それは正しい判断と言い切れるのではないか。努力と成長の物語を共有するファンをこそ大事にしよう、そうではない、疑似恋愛中心のファンには新たな選択肢を用意しよう・・・。そしてそして、ここからが最大の味噌なんだけど、この方向性で、具体的に、決定的に影響を受けるイベントがある。総選挙だ。

今年、総選挙があるとして、その票数がどこまで伸びるのか予想はつかない。しかし乃木坂が期待通りに伸びてくれれば、票数の伸びは鈍化、もしかして減少することすらあり得る。そんな票数の変化で、一番影響を受けるのが「かわいい」属性にコミットするファンということにならないか。秋元康の発言「『推しメン以外は興味ない』というファンが急増しているとしたら、僕は何らかの手を打たなければいけなくなるかもしれません」正にそういうことではないか。

もちろんファンの動向を読み切ることはできない。けれども秋元康は戦略的に大きく舵を切った。「AKB改革」とは内部的なものだけでなく外部的にも、なのであり、乃木坂はAKB改革の「外部性」という性格を帯びていることになる。この「変革」のターゲットはまず間違いなく「かわいい」属性なのであり、それは旧態依然の「アイドル」という記号への挑戦でもある。

とすれば、これは改めて持論の補強になるんだけど、46という数字の意味も自ずから明らかになりはしないか。AKBコンセプトの申し子は、以前にも述べたようにたかみなでありあっさんだ。従って、この二人は乃木坂のライバルとはなり得ない。最初から対象外なんだ。だからこそのマイナス2。