AKB48の旅

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WOWOWドラマ「誤断」

2016年01月04日 | AKB
WOWOWドラマに外れなしなんだけど、12月27日が最終話だった「誤断」には圧倒された。まずは、たぶん原作が素晴らしいんだろうけど、残念ながら本作はもちろんのこと、原作者であるところの堂場瞬一氏の作品は一つも読んだことないなあ。

ドラマとしての出来も素晴らしいもの。例によって脚本も演出も見事としか。台詞がよく練られてて、説明台詞的なものはほとんどないし、演出は適度に抑制されている。それでいて肺腑を抉るような鬼気迫る演技がある。とか言いつつ、えっと、ラスト近くの高藤弁護士のシーンだけはちょっと勇み足だったかも。

物語としての何が素晴らしいかって、公害病と企業による隠蔽というありがちな骨格に対し、様々な正義感、多様な価値観、複数の対立軸を巧みに張り巡らしてストーリーが進むところ。安易に見える表現とともに、公害病の背景を深く取材したんだろうと思われる展開がある。近代日本の歴史までがしっかりと俯瞰されてて、その全体像の壮大さたるや。

そしてそんな重奏低音の如くに錯綜する響の中に「忘却と許し」、そしてさらにはその先の「救済」までがしっかりと用意されてる。重要なテーマの一つとして「僕たちは戦わない」と同等のものが配置されてる。そこを「甘い」と見る向きもあるだろうけど、ここは「グローバルスタンダード」ではなくて日本なんで、日本であればこそ、これがより「正解」に近いものだろうと思う。

もう一つ、強引にAKBに結びつけておくけど、地名とか駅名とかは架空だけど、出てきた鉄道が岳南鉄道と思われ、吉原駅は出てこないけど「希望的リフレイン」のMVに使われたものと同じと思われるところが、何というか違った意味でより親しめた感じかな。