白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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上野梨紗-藤井浩貴

2020年07月16日 23時12分37秒 | 幽玄の間

<本日の一言>
明日は有楽町囲碁センターにて指導碁を行います。
皆様のお越しをお待ちしております。
なお、緊急事態宣言以前とは時間が変わっておりますのでご注意ください。



皆様こんばんは。
昨日はお休みしました。
ところで、将棋の藤井聡太七段(17)が渡辺明棋聖(36)を破り、新棋聖になりましたね!
他棋戦でも目覚ましい活躍を見せていますが、早くも藤井時代がやってくるのでしょうか?

さて、本日は日本棋院ネット対局幽玄の間で中継された、天元戦予選の上野梨紗初段(14)-藤井浩貴初段(17)戦をご紹介します。
囲碁界の藤井も独特の感性の持ち主で、注目しているところです。

1図(実戦)
上野初段の黒番です。
黒△の押しに対し、白Aと自分の2目の頭を伸びるか、白Bと相手の2目の頭をハネるか・・・。
どちらを選ぶか迷う場面です。
藤井初段は、白Aと伸びると黒Bからぐんぐん押してこられ、下辺黒模様が大きくなることを嫌ったのでしょう。



2図(実戦)
実戦は白1とハネ、以下白9までと進みました。
白1の石を囮にして、下辺黒模様の消しに先着する柔軟な作戦ですね。
しかし、この白9はかなり踏み込んだ位置です。
左側ではかわし、こちらでは目一杯に頑張ろうというわけで、面白い打ち回しだと思いました。
この後黒A、白B、黒Cと襲いかかり、本格的な戦いが始まりました。



3図(実戦)
黒1と侵入し、白2とコスミツケられた場面です。
コスミツケには黒Aと伸びるのがセオリーです。
しかし、白Bと守られた後、黒Cの三々入りはなかなか狙えそうにありません。
左辺黒が弱いですから・・・。



4図(実戦)
そこで、実戦は黒1、3を決めてしまいました。
これは白を固めてしまうので、基本的には悪い打ち方です。
しかし、どうせ本局では黒Aが狙えないなら、先手で決めて黒5のツケに回った方が捌きが楽になるというわけですね。
ここは上野初段が柔軟な発想を見せました。

ここまでは黒がやや打ちやすい形勢だったようですが、この後白が上辺を上手く地にしたと思います。
結果は白2目半勝ちでした。



☆各所で指導碁を行っています。皆様のお越しをお待ちしています。

日本棋院有楽町囲碁センター・・・JR有楽町駅前の交通会館9Fです。毎月1回、指導碁当番を担当しています。今後の担当日は7/17(金)、8/12(水)、8/26(水)、9/11(金)です。

永代塾囲碁サロン・・・武蔵小杉駅徒歩5分です。今後の活動拠点となります。

白石囲碁教室・・・2020年6月末に閉鎖しました。

上達の約束・・・上達の約束は、お客様の都合に合った会場を選べる回数制のレッスンを行っています。


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