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JRが“リニア開業”より“夜行列車の復活”を優先すべき理由「廃止が相次いだ当時と状況が大きく異なる」 202406

2024-06-28 21:26:00 | なるほど  ふぅ〜ん

JRが“リニア開業”より“夜行列車の復活”を優先すべき理由「廃止が相次いだ当時と状況が大きく異なる」
  日刊SPA! より240628  
(筆者:田中謙伍)はAmazon日本法人に新卒入社し、現在はメーカー企業のEC戦略を支援する会社を経営しているが、さらに交通やまちづくりにかかわる事業も進めている。 )


 2024年は北陸新幹線の金沢〜敦賀間の開業や、リニアをめぐる静岡県前知事の発言、京葉線快速のダイヤ減便騒動、北海道新幹線の札幌新函館北斗駅間の工事延期など、鉄道開発が良い面でも悪い面でも注目を浴びている。
 上述のリニアや北陸新幹線敦賀〜新大阪間の延伸などの新たな路線は、開発が完了すれば沿線自治体や新たに整備される駅前の一等地に大きな利益を生むことは間違いないだろう。
 しかし、リニアの件を筆頭に開発は一筋縄では進まないのが実情となっている。

 そんななか、現在はインバウンド需要が絶好調で、2023年訪日客の旅行消費額は計5兆2923億円と過去最高を更新している(観光庁「訪日外国人消費動向調査」より)。
 今後も当面は高いインバウンド需要は見込まれるが、いつ完成するかわからないリニア等々を待っていては結果的に大きな機会損失を生むことになることは言うまでもない。

 こうしたインバウンド需要に応えるべく、今から取り組める「最善の策」について本稿では考えていきたい。

◆「リニア開業」より夜行列車の復活を優先させるべき?
 では、その最善の策とは何か。

 それは既存路線の利活用である。新たな路線を開発しなくても既存路線の利活用によってさらに大きな需要を生み出すことができるのだ。
 リニアなど新路線開発よりも相対的に短期間で実施可能、かつインバウンド需要に応えられる既存路線の秘策、それこそが夜行列車の復活だ。

◆夜行列車の運行本数が増えているヨーロッパ

 海外で夜行列車が復活しているのをご存じだろうか。
実は、現在ヨーロッパではベルリン、ブリュッセル、ロンドン、パリ、ウィーンなどの主要都市へ走る夜行列車を筆頭に、運行本数を増やしているのだ。
 とはいえ、ヨーロッパにおいても日本同様に2000年代に入って以降、一度は多くの夜行列車が廃止の憂き目にあった。

 では、なぜ夜行列車がここにきて復活しているのか。
 その理由は後ほど説明する。

◆国内で稼働しているのは「サンライズ瀬戸・出雲」のみ

 現在国内の夜行列車はほぼ廃止されている。
唯一稼働しているのは東京―高松・出雲市間を走る「サンライズ瀬戸・出雲」のみである。
「7両+7両編成」で316人が乗れるこの「サンライズ瀬戸・出雲」は、満席になる日が少なくないものの、現在の車両は約25年前から使われており、後継車両の予定が現状ではないため、老朽化に伴っていつ廃止になってもおかしくはないという状況。

 1964年に東海道新幹線は開通した後、1970年代が国内の夜行列車の全盛期と言われており、それから徐々に廃止が進み、2000年代に入ってからその流れは特に顕著だ大きな要因のひとつとして他の選択肢が増えたことがある。
 新幹線のほか、規制緩和によって格安高速バスやLCCというライバルが登場し、そこに車両の老朽化も重なってしまった。

◆廃止が相次いだ当時と状況が大きく異なる

 ここまでの話を聞いて「夜行列車は過去のものだろう」と思った人も少なくないだろう。
しかし、ここで注目すべきなのは寝台特急あさかぜや寝台急行銀河、快速ムーンライトながらなど夜行列車が次々と廃止になった2000年代当時と、2024年現在では国内の状況が全く異なっているということだ。
 廃止が続いた当時の夜行列車は国内需要のみを想定していたが、今は非常に強いインバウンド需要がある。

 法務省出入国管理統計の調べによると、インバウンド観光客は夜行列車全盛期の1976年からコロナ禍直前の2019年までの43年間で約30倍に膨らんでおり、約3188万人となっている。2000年の約476万人から見ても6.5倍に増えている計算だ。

 コロナ禍が明け、国内のインバウンドも戻ってきた段階だが、そんな外国人観光客と夜行列車は非常に相性がよいのだ。

 それを裏付けるように、観光庁の調べによると、訪日中に利用した交通機関は、全国的には新幹線以外の鉄道が70%と高く、ついで、バス、新幹線、タクシーで、レンタカーは12%だった。

 鉄道が通る場所は、観光客誘致に有利。この論が正しいことは確かだ。

◆マイナーな都市の需要が高まっていた

 もう一つ、興味深いデータとして、外国人旅行者の訪問先のデータがある。

「インバウンド需要」と聞くと東京や大阪といった大都市に需要が集中していると思う人もいるだろう。しかし、実際に日本を訪れた外国人の足取りをよく見てみるとマイナーな都市の需要も非常に高いことがわかるのだ。

 ナビタイムジャパンが提供する訪日外国人向けに展開するアプリ「ジャパントラベル・バイ・ナビタイム」のデータ分析によると、外国人訪問数の伸び率の高い市町村別は、北海道や山形県、茨城県などの太平洋ベルトから外れたエリアなのだ。

訪日外国人数伸び率トップ100市町村(2019年と2023年の1月~5月を比較。ナビタイムジャパン調べ)

第1位:北海道当別町 
第2位:山形県高畠町 
第3位:茨城県北茨城市
第4位:秋田県能代市
第5位:新潟県見附市

 つまり、これまでは訪れなかった土地に外国人旅行者は目を向け始めているのである。

◆「日本の夜行列車」には引きがある?

 さらに追い風なのは外国人観光客の多くが夜行列車に対して好意的であるという点だ。

 例えば現在唯一運行しているサンライズ出雲利用者のYouTube動画は8700万回以上再生されており、海外からのコメントが多いのが特徴。
 外国人は「日本の夜行列車」に強い興味を持っていることが伺い知れる。

◆「アクセスがよくない」高山市がさらに伸びる可能性も

 ここで一つ“夜行列車需要”が高く見込めるエリアの例を出そう。

 リニアで注目を集めたJR東海の営業エリアの中にも大きなインバウンド需要を生んでいる地域ーー岐阜県の高山市だ。

 なんと、高山市ではコロナ禍前では人口の7倍にあたる約473万人の観光客が年間で訪れており、そのうち約61万人が外国人観光客となっている。現在はさらに多くの人が訪れている可能性も高い。
 しかし、現状ではアクセスに優れているとは言い難い。
東京駅からは新幹線から名古屋で在来線に乗り継ぎ、約4時間30分かかる。
 だが、高山を訪れたい外国人観光客は少なくない。事実、以前筆者が特急ひだに乗車して高山を訪れた際は車内は日本人より外国人乗客の方が圧倒的に多いという状態だった。
 となると、夜行列車1本で目的地に向かえるとするならば、その地域を訪れる外国人観光客は増える見込みがあるということである。

◆品川22:30発、高山6:30着の列車が通れば…

 高山市の例のように、夜行列車が運行すれば、現状ではアクセスに難のあるエリアにも外国人訪問者が足を運ぶチャンスを増やせる。そうなると、まだ見ぬ日本の名所に足を運ぶようになるのではないだろうか。  
 また、夜行列車を利用すればホテル代が節約できることはもちろん、時間を有効活用することでより多くの街を回ることができる。

 たとえば、東京を出て、名古屋で高山(岐阜)方面と同じく外国人観光客が多く訪れる京都を経由し、奈良に向かう列車と分離する多層建て夜行列車を通すとしよう。

 相応の速度で在来線を走らせた場合、東京-高山、東京-京都ー奈良も8時間となる。
東京駅は車両を長時間留置できないので、ホームに余裕のある品川始終着で設定した場合、時刻表は下記のようになる。
【下り】
品川22:30発→高山6:30着、奈良6:30着

 下りの品川駅では20:00くらいから車両を停めておき、奈良は9:00くらいまで停めておき、好きなタイミングで乗車・下車できるようにする。この理由は後述する。

【上り】
高山22:30発、奈良22:30発、京都23:30発。品川6:30着

 高山・奈良は20:00くらいから、品川は9:00くらいまで停めておき、好きなタイミングで乗車・下車できるようにする。

 ホームに長時間留置して好きなタイミングで乗車・下車できるようにする理由は、出かけるタイミングを乗客に自由に決めてもらうためだ。
 特にホテル代わりに夜行列車を利用する外国人観光客や子供連れを中心に重宝されるだろう。このようなサービスは海外の夜行列車に多く見られる。

◆ヨーロッパで夜行列車の需要が回復している理由

 さて、なぜヨーロッパで夜行列車が復活しているのか。それは環境面への配慮からだ。
環境面を理由として移動手段を選択するというのは日本ではまだあまり馴染みのない考え方だろう。
 しかし、特に欧州においてはカーボンニュートラルの観点から飛行機やバスは忌避されるようになってきている。
 フランスにおいては、2時間半以内の飛行機移動が禁止にされるなど、日本とは比べ物にならないほど環境に配慮する意識が高い。
 フランスでは飛行機に乗ること(=環境破壊に加担すること)を恥とし、鉄道など他の移動手段をすすめることを指す「flight shame」という単語すらあるほどだ。

 そんな中で鉄道はエコな乗り物として認知されている。実際に鉄道によって排出される二酸化炭素(CO2)は飛行機の5分の1以下となっている。
 日本で夜行列車の運行が増えれば、国内各地のアクセシビリティの向上だけでなく、環境面での優位性からも外国人訪問者が移動手段として選択する可能性は非常に高いのだ。

◆「走るホテル」が観光大国ニッポンの加速につながる

 ここまでの説明で、夜行列車が復活することは、増え続けるインバウンド需要に応えるだけでなく、観光大国ニッポンの大きな経済効果につながることがおわかりいただけただろう。 
 仮に夜行列車が復活すれば、インバウンド自体が今よりも好循環でまわることも考えられる。まず夜行列車が「走るホテル」となることでホテルの供給不足の解消に貢献するだろう。
 また、滞在日数を伸ばす外国人訪問者も増えるのではないだろうか。夜行列車を利用すれば、期間は伸びなくても時間を有効に活用できるため、滞在中に落としてくれるお金も増えるだろう。

 さらには滞在都市が分散化することによって、都市部のオーバーツーリズム解消にもつながり、今よりも広範なエリアがインバウンドの恩恵を受けることにもなりえる。
 つまり、夜行列車の復活は、現状のインバウンドが抱えている課題に応えるだけでなく、正の外部性をもたらすことがおわかりいただけるだろう。

 とはいえ、ヨーロッパで夜行列車が復活しているという事実をもって日本でも同様の改革を行うことはそう簡単ではない。
 フランスのように日本では飛行機利用の法規制がなく、また日本人には脱炭素への興味や意識がヨーロッパほど醸成されていないのが現状だ。こうした課題を克服することが求められるだろう。

◆JRが動かなければ、他業種が参入するのもアリ

 最後に、こんな疑問が浮かばないだろうか。
 なぜJRは夜行列車をやらないのか?
 それはJR各社の事業戦略による都合と筆者は考える。
夜行列車を復活させるよりも、エキナカや不動産開発、金融事業など利益率の高い非鉄道部門の事業に注力したほうが儲かると考えているのだろう。

 ただ、JRにとっては実行する合理性がないとしても、売上が10数億円見込めるとするならば、他業種の民間企業にとっては実行する合理性がある。
 それに、他業種が夜行列車事業に参入する場合、コスト面で見ると「上下分離システム」を導入すれば十分に可能であると筆者は考えている。
 上下分離システムとは線路の「上」を走る鉄道の運行と、運行のために必要な施設等々の管理、つまり「下」のふたつで経営会社をわけるという方式だ。

 富山地方鉄道や青い森鉄道はこの方式によって日常的に運行されており、決して非現実的な方法ではない。
 つまり、かつてJRがすべてを担うわけではなく、上下分離にすることで経営効率化を図れる「夜行列車2.0」として復活させるのだ。

 事実、ヨーロッパではこの上下分離システムを導入して走るヨーロピアンスリーパーという夜行列車がベルギー・チェコ間で運行している。
 これを参考に国内でも夜行列車ベンチャー企業が立ち上がってもおかしくない。

 先日の静岡県知事選挙ではリニア推進派の鈴木康友氏が当選したが、リニアの開通は恐らく10年以上も先のこととなるだろう。

 観光立国ニッポンを標榜するならば、今こそ夜行列車の復活が求められると筆者は考える。



<TEXT/田中謙伍>
【田中謙伍】
EC・D2Cコンサルタント、Amazon研究家、株式会社GROOVE CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社、出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げを経験。マーケティングマネージャーとしてAmazonスポンサープロダクト広告の立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。Youtubeチャンネル「たなけんのEC大学」を運営。紀州漆器(山家漆器店)など地方の伝統工芸の再生や、老舗刃物メーカー(貝印)のEC進出支援にも積極的に取り組む。幼少期からの鉄道好きの延長で月10日以上は日本全国を旅している
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だから生涯結婚しない男女が増えた…社会学者が指摘する「結婚前の男女交際」40年前との決定的な違い 202406

2024-06-27 21:58:00 | なるほど  ふぅ〜ん

だから生涯結婚しない男女が増えた…社会学者が指摘する「結婚前の男女交際」40年前との決定的な違い
  プレジデントOnline より 240627  山田 昌弘


 職場でもプライベートでも男女が時間を共にする機会が増えているのに、生涯結婚しない人も増えているのはなぜか。
 社会学者の山田昌弘さんは「異性の友人が特別の存在ではなく、同性の友人と同じような関係として認められるようになってきた。となると、ある異性とは楽しく食事して、別の異性とは趣味を楽しみ、別の異性とは性的関係をもつなどという“分散”が可能になってきた」という――。

⚫︎授業やランチで別々になる日本の男女
 数年前のことです。勤務先の大学で、赴任したばかりのあるドイツ人の大学講師の方からこんなことを訊かれました。
「日本では今でも、男女同席しないのが普通なのですか?」
彼は、何クラスかドイツ語の授業をもっているのですが、そこでは全て、男女が別々に座っているというのです。
 大学の授業は、基本自由席。あるクラスでは、左側の並びの机に全男子学生が座り、右側の並びの机に全女子学生が座っていて、毎週ほとんど同じ席に座る。ドイツではこんなことはない。まさか、イスラム教の教えが広がっているわけではないよね、と冗談を言われました。
 そう言われてみれば、私の授業でも、隣り合って座っているのはほとんど同性同士、たまに男女が同じ机に並んで座っていると「珍しい」と思ってしまいます。

 また、シンガポールに長く住んでいた帰国子女が、日本の会社に就職したとき、お昼のランチが男女別であることに驚いたそうです。社員食堂でも、外にランチを食べに行くときでも、男性同士もしくは女性同士で固まっていて、カップルどころか男女混じって食事をする姿はみかけないと言うのです。

 もちろん、学校や会社によって違いはあるでしょう。ですが、授業を受けるときやランチを一緒に食べるときに、自然に男女別々になるというのも日本の一つの特徴と言えます。

⚫︎「友人として交際している異性」とは…
 特別の用事がなくて、二人の男女が一緒にいると、本人たちにその気がなくても、何か「特別の関係」にあると周りから思われてしまう。これが、他人の目を気にする日本人の特性かもしれません。

 前回述べた「恋人ではないが交際している異性」というカテゴリーも、このあたりと関係しています。

 国立社会保障・人口問題研究所が、ほぼ5年ごとに「出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」を行っています。
 そこでは、独身者に対し、「交際相手の有無」を訊いています。その質問は「あなたには交際している異性がいますか」という質問で、答えの選択肢は、
①交際している異性はいない、
②友人として交際している異性がいる、
③恋人として交際している異性がいる、
④婚約者がいる、
    の4択です。

 そこにあるのが、「友人として交際している異性」という二番目の選択肢です。
さて、このカテゴリーをどう解釈するか――。

みなさんも、ふと疑問に感じませんでしたか。
 私は以前、当研究所の研究員の方に、「これは研究所ではどういう意味で選択肢に入れているのですか」と訊ねたことがあります。
 彼女は、「昔からこの選択肢があったので比較のために同じ選択肢を入れざるを得ない」「最初にこの設問を作った人がどのような意味を込めたのかは今となってはわからない」。
 そう答えてくれました(また、「同性の恋人は入らないの」と訊くと、これも「継続性の観点から同じ質問文にせざるを得ない」という回答でしたが)。周りの学生たちにこの設問について話してみても、「意味わからない」と答える人が多かったです。

⚫︎男女交際の変化を判断する分岐点
 回答分布の推移を見てみましょう(図表1)。出生動向基本調査は、1940年開始ですが、独身者調査は1982年が初回で、おおむね5年おきに行われています。


 この「友人として交際している人がいる」をどう解釈するかによって、ここ40年間の若者の男女交際の変化の判断が分かれます。
「交際している異性がいない」と回答した人は、1982年では、男性36.8%、女性30.1%です。つまり、約3分の2の未婚者に「交際している異性」が存在していたことになります。
 その後、「交際している異性がいない人」はほぼ一貫して増え続け、それが2021年には、男性は72.2%、女性は64.2%までになります。
 この数字のみでは、男女交際はこの40年の間、不活発化の一途をたどっていると判断されます。

 一方、「恋人として交際している異性」を基準にすると、見方は変わってきます。
1982年には、恋人として交際している独身者は、男性17.1%、女性18.2%と、男女とも2割に達しません。
 そして、バブル景気(1986~1992年)が始まっていた1987年には、男性19.4%ですが、女性は26.2%にまでジャンプします。

 男性も1992年には、23.1%となります。おおむね1990年代から2010年ごろまで、恋人がいる独身者の割合は、男性22~23%、女性30~33%とたいへん安定しています。

 そして、男女とも2010年以降、減少傾向に転じます。

 2021年には、男性19.8%、女性26.0%となり、今に至ります。バブル期から恋愛が盛んになり、リーマンショック後に衰退した、という実感ともこの見方は一致しています。

 この両者の見方を合わせると、どうも、この40年の間に「結婚前の男女交際の仕方」が、質的に変わってきたのではないか。そのように考えられます。

⚫︎異性の友人と同性の友人が違うものだった時代
 それは、「異性の友人」というカテゴリーの意味の変化です。
この調査が開始された1982年には、「友人として交際している異性」が、一つのカテゴリーとして自立していたのではないかと推察されます。
 告白していないから恋人ではないけれど、「単なる友達ではない特別な関係」と認識されていたのではないでしょうか。

 つまり,当時は,異性の友人と同性の友人は,それぞれ“違うもの”として考えられていた。
もちろん戦前のように中学以降、男女別学という時代ではありません。
 しかし、同性の友人と同じように異性の友人と一対一で付き合う、つまりはいろいろな話をしたり、遊んだりする習慣は、まだできあがっていなかったと思われます。

 私の大学入学年は1976年ですが、男女共学とはいえ、まだ女子学生は少ない時代。遊びといえば、男性同士で飲みに行ったり、麻雀したりというように、プライベートでも男女の領域の区分が大きかった時代です。
 もちろん、クラスコンパや合コン、サークルなどで女子学生と話したりする機会はありましたが、そこで男性の友人と同じように友情関係を育む、もしくは気軽に二人で一緒に行動するという機会は少なかったように思えます。
 そんな中、二人で一緒に並んで授業を受けたり、わざわざ食事をしたり、さらには遊びに行ったりする仲になれば、そこには「特別な関係」であるとお互いに認識せざるを得ない状況になります。

⚫︎異性の友人は「交際している」人ただ一人
 多分、当時の職場も同じような状況ではなかったかと思われます。

 雇用機会均等法以前は、男女が対等に仕事で一緒になる機会は少なかったはず。そんな中で、二人だけでデートするという状況が生まれれば、「特別」な関係と本人たちも、周りの人たちも意識したはずです。
 しかし、「好きです」「恋人になりたい」という告白をしていないから、恋人ではない。だから「交際している異性の友人」なのです。

 前回述べたように、松田聖子の「赤いスイートピー」がヒットしたのは、ちょうど1982年です。当時は、恋人がいる割合より「友人として交際している異性」がいる割合の方が高かったのです。
 つまり当時は、単なる異性の知り合いは何人もいたとしても、異性の友人は「交際している」人一人であり、デートする異性の友人が複数いる人は、今では何人もの恋人が同時にいる人と同じように「遊び人」と見られてしまったのではないでしょうか。
 そのような時代に、結婚前の人が、愛情の分散投資をするのは難しい。
「話をしたい」「一緒に遊びたい」、さらには「性関係をもちたい」といったさまざまな愛情欲求を一人の異性に求めるしかないといった時代であるからこそ、告白を経て「異性の友人」を「恋人」へと昇格させ、プロポーズを経て「婚約者」、「配偶者」へと地位を上げていくことに腐心した。もちろん、途中で関係が終わることはあったとしても、です。

⚫︎愛情が分散化されて消えたカテゴリー
 一方、男女雇用機会均等法が成立し(1985年)、バブル期(1986~1992年)を経て、男女が一緒になって行動する場が増えてくる。
 近年の若者にとって、異性の友人は特別の存在ではなく、同性の友人と同じような関係として認識されるようになってきた。男友達と同じように、二人で食事や遊びに行くことも自然に容認されるようになってきた。
 となると、ある異性とは楽しく食事して、別の異性とは趣味を楽しみ、別の異性とは性的関係をもつなどという“分散”が可能になってきた。
 とすると、「友人として交際している異性」というカテゴリーは、だんだん意味をなさなくなってきたので、交際している異性の友人がいるという回答が減少してきたのです。
 
この変化が、現在の生涯未婚率の増加にも影響を及ぼしている、というのが私の見立てです。
 次回は、戦後の恋愛結婚の流れを振り返りながら、「愛の分散投資」を検証していきます。



▶︎山田 昌弘(やまだ・まさひろ) 中央大学文学部教授 1957年、東京生まれ。
1981年、東京大学文学部卒。1986年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。専門は家族社会学。学卒後も両親宅に同居し独身生活を続ける若者を「パラサイト・シングル」と呼び、「格差社会」という言葉を世に浸透させたことでも知られる。「婚活」という言葉を世に出し、婚活ブームの火付け役ともなった。主著に『 パラサイト・シングルの時代』『 希望格差社会』(ともに筑摩書房)、『 「家族」難民』『 底辺への競争』(朝日新聞出版)、『 日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』(光文社)、『 結婚不要社会』『 新型格差社会』『 パラサイト難婚社会』(すべて朝日新書)など。
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これは解明不可能!?まだ…解明されていない世界の謎  202406

2024-06-23 01:32:00 | なるほど  ふぅ〜ん

これは解明不可能!?まだ…解明されていない世界の謎
  マタイク編集部  より240623


 世界には未だ解明されていない多くの謎が存在します。
今回は、そんな未解決のミステリーの中でも特に注目すべきものを取り上げ、その背景と現状を紹介します。


◆南極の重力異常  出典|In Deep
 2016年、NASAとドイツ航空宇宙センターが共同で行ったミッションの中で、南極に非常に広範囲かつ巨大な重力異常が存在することが判明しました。
 この異常現象は研究者たちを驚かせ、謎が深まるばかりです。
果たして、この重力異常はどのようにして生まれたのでしょうか?

 謎の重力異常が南極で発見される理由とは!?
南極で発見された重力異常は、地球上の他の地域と比べても規格外のものです。

 この異常は、南極の氷河の下に存在する巨大なクレーターによって引き起こされていることがわかっています。
 このクレーターの存在は、1962年にはすでに報告されていましたが、再調査の結果、その大きさが幅243km、深さ最大約848mという驚異的なものであることが判明しました。
 一部の研究者は、このクレーターが隕石の衝突によって形成されたものであると考えています。

 恐竜を絶滅させたとされる隕石の2倍以上の大きさの小惑星が衝突した可能性が指摘されています。
 この衝突は、約2億5000万年前に発生した大量絶滅の引き金となったとされています。
 この大量絶滅では、地球の海洋生物の最大96%、陸上の脊椎動物の70%、全生物種で90〜95%が絶滅し、古代生物として有名な三葉虫も絶滅しました。
 しかし、この説には決定的な証拠が欠けており、他の理由でクレーターが形成された可能性もあります。

 一部のオカルト研究家は、南極のクレーターが巨大なUFO基地であると主張しています。
第2次世界大戦中、ナチスが南極に秘密基地を建設したという噂や、飛行物体の研究を行っていたという噂から、この主張がされています。
 また、地下世界への入り口であるという説もあります。
地球の地下に別世界があり,人類とは異なる生命体が住んでいるという仮説が存在しています。
 このように,南極の重力異常の原因は未だに解明されておらず,さらなる研究が必要です。
この謎が解明されることで、地球の歴史や生態系に関する新たな知見が得られるかもしれません。


◆インガストーン  出典|Wikipedia
 ブラジルのパライバ州にあるインガストーンは、6000年前にこの地域に住んでいた原住民によって作られたとされています。
 しかし、その目的や意味は未だに謎に包まれています。
数々の研究者が挑戦してきましたが、未解読のままの文字や模様が多く残されています。

⚫︎未解読の文字が刻まれたインガストーンの秘密とは!?
インガストーンは、ブラジルのパライバ州を流れるインガ川中流に存在する巨石構造です。
長さ46m、高さ3.8mある片麻岩の岩石層一面に、所狭しと碑文が刻まれています。

 この碑文は、6000年前にこの地域に住んでいた原住民によって作られたとされていますが、その目的や意味は未だに解明されていません。
 これまでの研究では、インガストーンには動物や果物、武器や人間座などと見られるシンボルが含まれていることが判明していますが、大半の模様や文字は解読されていません。
 過去には、周囲にある石や洞窟に彫られた模様を参考に解読を試みましたが、インガストーンにはそれらと比にならないほど緻密で複雑な模様が刻まれています。
 一説には、インガストーンの碑文は古代の天文的知識に関連しているとされています。

 解読できなかった模様の中には、天体の特徴を示していると思われるものが複数存在しており、天の川やオリオン座と見られる模様も描かれています。
また、描かれた模様や文字に対する考察も行われています。
ある研究者は、古代フェニキアの彫刻に似ていると指摘し、古代ルーン文字に関連していると予測しました。
 さらに、モアイ像に代表されるイースター島の先住民族が残した芸術作品との類似性を指摘する声もあります。
 しかし、これまでの研究では、インガストーンと原住民を結びつける歴史的証拠は確認されておらず、本当に彼らが作ったものなのかは不明です。
彫刻の質を見ると、制作者が高い技能を持った集団であったことは明らかです。

 もしかしたら、まだ知られていない高度な技術を有した民族がこの地に存在していたのかもしれません。

◆まとめ
 南極の重力異常とインガストーンは、未だに解明されていない世界の謎の一部です。
これらの謎が解明されることで、地球の歴史や人類の起源に関する新たな知見が得られるかもしれません。
今後の研究が進むことで、これらの謎が少しでも解明されることを期待しましょう。
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第1回上映から70年 いまだゴジラ人気の続く東宝 2024/06

2024-06-21 02:39:49 | なるほど  ふぅ〜ん

第1回上映から70年 いまだゴジラ人気の続く東宝
『財界』 編集部 より 240621


 東宝の『ゴジラ-1.0(ゴジラマイナスワン)』の興行収入が上がり続けている。
映画賞『第96回アカデミー賞』で視覚効果賞を受賞し、現在も観客数が増加。
今年3月17日時点での国内観客動員は420万人、6月4日時点で興行収入は76億円。
いまだ映画館での上映は続きその数は伸び続けている。


 ゴジラは1954年に第一回が上映されてから、国内30作品、アニメ3作品、海外5作品、テレビアニメ1作品、全39作品が出ている。
 水爆実験や環境問題、核戦争、原発など、時代に合わせて常に新しい社会メッセージが込められている映画作品であり、単なる怪獣映画ではないことが人気の理由。

 2004年には「ハリウッド・ウォーク・オブ・フェイム」に、日本のキャラクターとしてゴジラのみが登録されていることを考えると、既に世界的なキャラクターになっているといえよう。
 2016年『シン・ゴジラ』の大ヒットをきっかけに、キャラクタービジネスをさらに拡大するため、同社は新たにゴジラのブランド観を明確に定義。この定義に沿ってゴジラのIP(知的財産)ビジネスが展開されることとなっている。

 ゴジラのIPビジネス拡大の動きは行政機関にも広がる。東京都庁とのコラボレーションで、今年4月末からゴジラのプロジェクションマッピングが都庁舎で上映。ゴールデンウィーク時には6万人を動員した。都庁は無料展望台があることから多くのインバウンド客が訪れる観光スポットで、訪れる人に日本を代表するキャラクターとして訴求し、認知度の向上と更なる人気の上昇が期待される。

 70年に渡り愛されてきたゴジラ。
日本を代表するキャラクターとして国や世代を超えてさらなる認知拡大のためには、今後のブランドマネジメントが非常に重要になってくる。
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アーレントが指摘,カフカが予見した現代人の恐るべき変容とは? ネットを介して人間はますます動物化 2024/06

2024-06-14 01:21:59 | なるほど  ふぅ〜ん

アーレントが指摘し、カフカが予見した現代人の恐るべき変容とは? ネットを介して人間はますます動物化する【仲正昌樹】
 BestTimes より 240614    仲正 昌樹


フランツ・カフカ(1883ー1924)
『人間の条件』(一九五八)でハンナ・アーレントは、最も人間らしい営みである「活動 action」、言語や身振りによるコミュニケーションは、古代のポリスのように、「公/私」の境界線がしっかり引かれていることによって可能になったと指摘した。
 「公的領域」が、自分と対等の他者たちから成る「公衆the public」の前に姿を現し、自らの意見の真実性を伝えるべく立派な市民として活動する=演じる(act)場であるのに対し、「家 oikos」を中心とする「私的領域」は、家長(=市民権保持者)による暴力を伴った支配が行われ、(主としての家長の)生物的欲求が充足される場でもある。
 動物的な欲求、暴力的な衝動が「私的領域」の中に抑え込まれ、処理・制御されていることで、市民は「公的領域」で立派な人物としての人格=仮面(persona)をかぶって、他者の前で活動する=演じることができる。


ハンナ・アーレント(1906ー1975)
 アーレントは、「経済」――〈economy〉の原義は〈oikos〉の運営術――を中心に動く近代市民社会では、「公/私」の境界線を厳格に守ることが困難であり、ヒトの暗い欲求が表の領域に表出しがちであること、生活上のニーズに煩わされることなく、良き市民として演技=活動する余裕がない人ばかりになっていることを指摘している。
 生々しい動物的な欲望が白日の下にさらされるようになると、「公的領域」を保つことが難しくなる。

 カフカ(一八八三-一九二四)の作品の多くは、こうした「公/私」の境界線の侵犯という視点から読み解くことができる。
 カフカの分身のように思える主人公たちは、プライベートな空間に拘りを持っている。『変身』(一九一五)のグレゴール・ザムザが、虫に「変身」するのは、自分の部屋のベッドの上だ。起き出して部屋から出、周囲のリアクションから自分の身体の変化を知ることになる。
 この姿ではもはや会社勤めを続け、一家を養うことはできない。彼は自分の部屋に閉じこもり、次第に人間性を失っていく。一家の者たちは、彼の部屋に入っていろいろ世話をするが、その醜く変身した姿と行動に耐えられなくなり、父親は林檎を投げつけ、彼を殺そうとする。虫になった彼に絶望した一家は、新たに下宿人を家に招き入れる。ザムザが生息できる場は次第に少なくなっていく。

 グレゴールの「変身」は、彼が社会で生きるためそれまで隠していた欲望、動物性が身体的な振る舞い、症状として現れ、公的領域から退去せざるを得ない状況が生じたことを寓意していると解釈できる。
 動物的な自己を露出することが許される私的空間であるはずの部屋に辛うじて引きこもったものの、動物化が進んでいくなかで、家族が部屋の中に入ってくる。虫になった“彼”にはそれを拒否する意思を表明することができない。
 というより、意思そのものが依然としてあるかどうかさえ定かでない。家族や他人の眼に始終晒されることになる。「人間」らしい外観はどんどん崩れていく。

 こうした部屋をめぐる攻防とそれに伴う欲望の露呈という構図は、遺作となった三大長編『審判』『城』『失踪者』でより顕著となる――詳しくは拙著『哲学者カフカ入門講義』(作品社)を参照。
『審判』の主人公である銀行員のヨーゼフ・Kの下宿に、ある日突然、二人(+監督)の男が訪ねてきて、「あなたは逮捕された」と宣言する。彼らは、下宿の隣人の部屋を通って、Kの部屋に入り込み、いろいろぶしつけな行為をするが、警察が逮捕する時のように彼に手錠をかけて、身柄を拘束するわけではなく、犯罪の容疑を告げるわけでもなく、取り調べらしいことをしようともせず、ただ彼のプライベートな空間を動き回り、不作法な真似をする。

 彼らが帰った後、Kは隣室のビュルストナー嬢が、自分のためにヘンな連中が部屋を荒らしたことを詫びに行く。そこで唐突に、Kは彼女を抱きしめ、激しくキスをする。まるで、侵入してきた監視人たちによって、彼にとっての公/私の壁が突き破られ、心の奥にあった欲望がもはや隠し切れなくなったように。
 監視人や監督は、単なる、権力の理不尽さ、恣意的な権力行使、権力の手先などを寓意する者たちではなく、彼にとっての公/私の壁に穴をあけ、公的人格と、動物的欲望の充満した身体の使い分けを不可能にする存在、何かの心的プロセスあるいは兆候を象徴する存在でもあるように見える。

 その後、彼は、どういう罪状により、どの裁判所の管轄か分からない訴訟=過程(Process)に巻き込まれ、物理法則に反しているとしか思えないいくつかの奇妙な“室内空間”に入り込み、そこで次々と隠された(性的なニュアンスを帯びた)欲望を露出させられる。

 貧しい人たちが住んでいる地区の汚らしい建物の屋根裏部屋の中にある、多くの人がたむろし、裁判の順番を待ったり、政治集会を行なったりしている「裁判所」。
 そこで、Kは、廷吏の妻に誘惑され、そのつもりになるが、その場にいた法学部生や判事に彼女を横取りされる。伯父と共に訪れた弁護士の事務所で、伯父と弁護士が話し込んでいる間に、弁護士の看護婦だという女性と、隣室で関係を持ち、何時間も過ごしてしまい、弁護士等の不興を買う。
 自分の勤めている銀行の廊下の片隅の暗がりの小部屋で、監視人たちが折檻されているのを見て、代わりに自分を打ってくれと叫ぶ。裁判所に強い影響を持つという法廷画家の部屋を訪ね、そこで画家と彼のモデルになっているらしい幼い少女たちのじゃれ合いに、たまらなく淫らなものを見たと感じる。

『城』や『失踪者』でも、主人公は、公的な秩序と私的な淫らさが交差する奇妙な場に自ら侵入しようとしたり、逆に閉じ込められたりする中で、欲望を剥き出しにされ、アイデンティティを保つのが困難になる。自分が何を欲し、どこに向かっていこうとしているのか次第に分からなくなっていく。

 カフカの作品は、「人間の条件」である「公/私」の境界線を失って、自分の意志と関係なく、(ネットを介して)欲望がどんどん露呈されていく中で、動物的に変容し続ける現代人の在り方を予見しているように見える。私たちの日常に深く入り込んだSNSは、私たちの隠れた願望を吸い上げ、公的空間に拡散する。



文:仲正昌樹
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