環境省によると、2物質の汚染状況を把握する全国規模の調査は初めて。化学的に安定し水や油をはじく性質があり、泡消火剤や調理器具、半導体などに幅広く使われてきた。
汚染原因の特定はできていないが、基地や工場などから排出され河川や地下水に蓄積した可能性があるといい、今年度はさらに範囲を広げて調査し、実態の把握を目指す方針。
目標値を超えた地点の地下水と湧き水はいずれも現在は飲用水として使われていないが、誤飲しないよう井戸の所有者らに注意喚起する。
環境省は昨年度、これまでの自治体の独自調査などを基に、2物質が排出された可能性が高い施設周辺の地下水、河川、湧き水、湖沼、海域で水質を調べた。
米軍嘉手納基地の近くを流れる沖縄市のダクジャク川では、目標値の約30倍の1リットル当たり1508ナノグラムを検出。
米軍普天間飛行場がある沖縄県宜野湾市の「チュンナガー」など湧水(ゆうすい)3カ所でも168〜1303ナノグラム検出された。
横田基地に隣接する東京都立川市の地下水や、厚木基地が所在する神奈川県大和市の河川でも目標値を超えた。
大阪府摂津市の地下水からは目標値の約37倍の1855ナノグラムを検出。今回の調査で最も高かった。
化学メーカーの工場などが集まる首都圏や阪神地域、三重県四日市市などで高濃度で検出される傾向があり、東京都内は広範囲で目標値を超えた。
2物質は自然界でほぼ分解されず「永遠の化学物質」と呼ばれる。人体に蓄積する性質もあり、国際がん研究機関(IARC)はPFOAを「発がんの可能性がある物質」に分類。
PFOSも、動物実験で健康影響が認められたとの研究報告がある。