伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

京の冬の旅・上徳寺

2023年02月19日 | 京都の社寺と文化財

毎年行われている「京の冬の旅」の非公開文化財特別公開で、
今年はなんと、近くにあるお寺、上徳寺が含まれていた。

京都市下京区富小路五条下ルにある上徳寺は、
小さいお寺だが、近所ではよつぎ地蔵として知られている。
「京の冬の旅」で初公開されているというので行って来た。






よく前を通るが、中へは入ったことがない。
富小路通を歩いているととても小さいお寺に見えるので、
自由に入れる雰囲気でもなかった。
ただ子授け祈願・安産祈願のお寺なので、
子どもが欲しい人が参拝に来るのだろう。



寺の前には「阿茶の局墓所」という石碑が建っている。
阿茶の局、とは誰だろう、といつも前を通りながら考えていた。

徳川家康の側室の一人だそうである。
上徳寺は阿茶の局を開基として創建された。
家康ゆかりの寺だった。
パンフレットによれば1603年、何と家康によって建立されたとか。
浄土宗のお寺のようだ。
富小路通には浄土宗のお寺が多い。
ここもその一つなのだった。




内部はいずれもどこも撮影可能だった。



本堂の中へ入るとそこそこ大きくて、立派な厨子があり、
本尊の阿弥陀如来が祀られていた。




阿弥陀様は2022年11月、重要文化財に指定されたそうで、
現在は東京へその監査のために出張中(?)で、
今あるのはお前立だった。
写真でその姿を見せているだけだった。
見られないのは残念だったが、
近所の小さなお寺に重要文化財の仏像があるのは、
何だかすごいことだと思った。



富小路通にはこのような小さなお寺が沢山あり、
その中に重文指定の仏像もあったと思う。
富小路通は秘かにお寺のゴールデンストリートなのだ。


この本堂には今回の特別公開に合わせて、
寺宝が公開されていた。


釈迦涅槃図は細い線描が丁寧で、
恐らく江戸時代のものかな、と。


そしてその横には真ん中に阿茶の局、
両脇に家康、秀忠の三幅対の肖像画があった。





次に客殿へ行く。
外から見る限り狭いお寺に見えたが、
案外奥行きがあり、立派な客殿が備えられていた。
案内の人が客殿を見てくれと言っていたが、
なるほどこのような客殿があるとは思わなかった。
見てほしくなるのも無理はないと思った。



庭もとても立派な枯山水庭園だった。
町の中のお寺なので、背景が住宅なのは仕方がない。



そして世継地蔵が安置されている地蔵堂へ。


通常はお地蔵さんは、お堂の前で拝むだけだそうだが、
今回の特別公開ではお堂の内部まで入れ、
地蔵菩薩を横から拝観することが出来た。


全長2mほどもある大きな地蔵菩薩で、
間近に横顔が見られて感動した。
とても安らかな、穏やかなお顔をしておられた。

このお地蔵さまはこの寺の本尊を信仰していた清水という人が、
世継を失い、子が恵まれるようにと念じて堂に参籠した。
夢中に地蔵が現れ祈念するようにと告げられ、
その尊像を石に刻んで寺内に一宇を建立して世継を祈念した。
願いが叶い、子孫は繁栄、
以来「世継地蔵」として知られるようになった、とか。
(パンフレットより)




ほんの近所にこのような由来のあるお寺があるとは思わなかった。
というか、思ったより立派な客殿があったのに驚いた。
そして寺宝も沢山所持していることにも驚いた。
前を通るだけでは分からなかった詳しいことが分かり、
たとえ近所の小さいお寺、と思っていても
立派な謂れのある由緒あるお寺だということも分かった。

非公開文化財特別公開のこの機会に内部を見られて
良かったと思った。




非公開文化財特別公開特別公開は3月19日まで、
料金は1ヶ所800円。
京の冬の旅のキャンペーン期間は3月27日まで─




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東本願寺・大寝殿、白書院

2023年01月16日 | 京都の社寺と文化財

ここ数日は寒さが緩んで来たが、
それまでは朝、散歩で歩く時は、
寒すぎて手袋をしていても手の指がすごく冷たいというか、
痛いくらいだった。
冷たすぎて痛くてたまらないのだ。
朝、6時半ころ外を歩くのは真っ暗なうえ、寒すぎてつらい。

けれども昼になれば陽がさして来て、
コートを着ていたらとても暖かくて、歩くのが苦にならない。


今年の「京の冬の旅」は近くの東本願寺が含まれていたので、
早速行ってみることにした。



「京の冬の旅」はオフシーズンに観光客を誘致するため、
真冬に公開される京の冬の風物詩である。

非公開文化財特別公開として、毎年冬の時期に行われている。
非公開文化財特別公開は夏と冬、春と秋にも行われている。
春夏秋冬と行われていて、常に公開されている感じだが、
ラインナップはその都度変わっている。
東寺や知恩院など、いつも公開される所もあるが、
初公開の場所もいくつかいろいろある。





今回は東本願寺の白書院が40年ぶりに公開された。



今年は宗祖親鸞聖人の生誕850年の年に当たる。
それでお東さんも力が入っているのだろう。




お東さんはよく行っているが、
真宗の寺院なので境内やお堂は無料である。

書院があることは知っていたが、入ったことはなかった。
今回、800円で特別公開されていた。
いつもは無料で境内に入るので高いと思ったが、
文化財の保護のために使われるはずだ。
ケチなことは言わずに料金を払い、見て来た。


第57回 京の冬の旅
非公開文化財特別公開
~秘められた京の美をたずねて~
2023年1月7日(土)~3月19日(日)

https://ja.kyoto.travel/specialopening/winter/


公開されていたのは、
普段は非公開の東本願寺の白書院と大寝殿だった。

「京の冬の旅」非公開文化財特別公開 
東本願寺 大寝殿・白書院
2023年1月7日(土)~3月16日(木)

https://ja.kyoto.travel/event/single.php?event_id=7331





大寝殿と白書院は、東本願寺の正面玄関ともいうべき
御影堂門(ごえいどうもん)をくぐり、
正面の御影堂へ行く前に右に曲がり、北へ向かった所に受付がある。
境内は広大で、
御影堂の北側にもいろいろ建物があるのは知っていたが。。


御影堂の北側の受付で靴を脱ぎ、
渡された袋に靴を入れて見学するという形だった。
書院へ行くまでにいろいろ建物があり、というか、
長い廊下があり、どこを歩いているのか分からないという(>_<)、
とても広い場所だった。



入り口近くに、親鸞聖人による直筆(?)の
教行信証が置いてあってびっくりしたが、
影印本とのことで、写真撮影した複製であった。
(ああびっくりした)
しかし本物そっくりで、
親鸞聖人の荒々しい筆遣いがそのまま表されていて、
思いがけず教行信証に出会え、うれしかったのは確かである。





順路どおりに歩いていくと、
まずとても広い「大寝殿」という所へ入る。
禁門の変(1864)の時焼失したあと1868年に再建されたそうで、
本山の中では最も古い建物だそうだ。
竹内栖鳳の障壁画がまわりを飾っていた。



とても広い場所で、係の人がいて、説明書きを読みながら、
東本願寺の正式名称は「真宗本廟」であるなどと説明していた。
周りには真宗と親鸞聖人の教えのパネルが張り巡らされていた。


東本願寺は幕末の禁門の変で焼けてしまい、
建築物はすべて明治になってからの再建である。
それでも貴重な巨大木造建造物ばかりなので、
多くのものが重要文化財に指定されている。

大寝殿は登録有形文化財だということだ。


竹内栖鳳の雀の図、そして竹の豪放な襖絵を鑑賞した。
ガラス張りで保護されていたが、
大変立派なもので、普段公開されていないのが残念だ。
しかし、そのせいで保存状態がとても良い。

写真はいずれも撮っても良いということだったので、
どんどん撮った。


竹内栖鳳の障壁画は「風竹野雀図」「歓喜図」「古柳眠鷺図」
ということである。


風に晒される竹の図は栖鳳らしかった。

ガラスで障壁(襖)が保護されているので、
きれいに撮れなかった。
雀の図は反射がきつくて撮れなかったのが残念だ。




廊下ですべての建物が繋がっており、
廊下自体も風情があった。
踏みしめると音がするので鴬張りなのかもしれない。




大寝殿から白書院へ行く廊下越しに能舞台が見える。
西本願寺の能舞台は有名だが(確か国宝?)、
お東さんにも能舞台があるのは…
多分、あるだろうとは思っていたのだが、
(お西にあるのだから東にもあるだろう、と)
現物を見て本当にあるのだと感動した。

明治13年(1880年)に建てられたものだという。
現在の位置には昭和12年(1937年)から設置されたそうである。
白書院から観覧するように建てられているという。
もちろん現在でも能楽に使われている。






白書院は明治44年(1911年)、
宗祖・親鸞聖人の650回御遠忌に際し再建されたものだそうだ。
来賓の接待などを行う場所で、書院造で、
上品な内部だった。


白書院という名称は柱などその他の用材が白木で、
漆を塗らずに仕立てられていることに由来するという。



中央部分に立派な格天井があり、目を見張るほどだった。

案内によると控えの間と上段の間が設えられており、
一の間は帳台構え、違い棚などを設えた正式の書院造で、
正式な対面施設だということだ。
現在も来賓接待等に使用されているとのこと。





一の間の手前にかけられている額は
「国豊民安」と書かれており、
閑院宮載仁親王(1865-1945)の筆によるものだそうである。




障子の上には壁面に装飾が施されていて、
欄間には木彫りの装飾もあり、
見どころの多い書院造りの部屋であった。
対面施設だけあって、設えに気品がある。
豪華というより質素ではあるが、
整った気持ちの良い空間である。



世界でもっとも巨大な木造建築とも言われる
御影堂に負けない重厚感のある書院で、
お東さんにこのような一室があるのをまったく知らなかったので、
大寝殿、能舞台ともども驚くばかりだった。

境内だけでも思ったより広大だった。
…確かに京都駅近くにあれほど存在感のある敷地であるし、
境内にいろんな建物があっても不思議ではない…。

東本願寺はまだまだいろんな非公開部分を持っていそうだ。




帰りに巨大な御影堂門を斜めから写す。
そうでないと全貌が入らない。


御影堂門の内部も荘厳である。
いつ本山へ行っても、
この巨大木造建築になぜか安心感を覚える。
木造建築が好きだからだろう。。


近くにあるのにまったく知らなかった、
お東さんのいくつかの建物を見ることが出来て、
まだまだ知らない東本願寺の姿があることを知る。
あらたな発見をした気持ちになった。



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京都ハリストス正教会

2022年12月22日 | 京都の社寺と文化財



11月だからもうだいぶ前になる(>_<)が、
「京都非公開文化財特別公開」の一環として、
京都ハリストス正教会が公開されていた。

機会がなくて上げられなかったが、
せっかく行って来たので取り上げておきたい。
行って来たのは、11月の紅葉の季節だった。



とても小さい教会だが、正教会の建物として、
美しい外観を持っているので、近代建築好きとして
とても好きな建物なのだ。
正教会の建築が京都にあるという事もうれしい。
普段は非公開で、当然だが教会として信徒にのみ解放されている。


http://www.kobunka.com/tokubetsu/
【特別公開】令和4年度
「第58回京都非公開文化財特別公開」開催のお知らせ
京都ハリストス正教会
期間
2022年11月8日(火)~18日(金)


京都ハリストス正教会は、
京都市中京区柳馬場通二条上ルにある。

地下鉄烏丸丸太町で降りて、丸太町通を柳馬場通まで歩き、
そこを二条まで上がる。



ここへ行くのは2回目で、前回も特別公開の時に行ったことがある。
ビルの谷間にあり、しかも小さな教会なので、
背景が残念なのは仕方がない。

内部は撮影禁止なので外観のみしか撮影出来なかった。
最近、重要文化財に指定されたようだ。
白い壁が美しい正教会建築である。




設計は京都府庁を手掛けた松室重光であった。
ロシア・ビザンチン様式を踏まえた聖堂だが、
どおりで美しく、端正で整った外観である。
京都府庁に通じる品格があった。


正教会とはキリスト教の一派で、
カトリック、プロテスタントなどキリスト教でもいろいろあるが、
正教会はギリシャ正教といい、東方で始まったキリスト教だ。
(ざっくり)

ハリストスとはイエス・キリストのキリストのことを言うのだという。
今回それを初めて知った。(わりとびっくり)
ゲッセマネのことも「ゲフシマニヤ」と称するらしい…


日本の正教会は、ロシア正教である。
確か、明治時代にロシアから聖ニコライが来日し、
ロシア正教を日本に広めた。
そのため、日本の正教会はすべてロシア正教で、
ギリシャ正教ではないはず。

ロシア正教は、ギリシャ正教の一派で、
ロシアで独自に発展してロシア正教となった
(歴史は疎いので良く分からず…(>_<))。



京都ハリストス正教会は
内部はとても狭く、礼拝堂の一部屋のみだ。
正教会独特のパネル(イコノスタス・聖障)が教会内部の正面にある。
内部は撮影禁止なので立派なパネルは写真に撮れない。


京都モダン建築祭 参加建築
https://kenchikusai.jp/event/architecture_detail.php?id=146


こちらのサイトから画像を拝借したが、とても美しいイコノスタスだ。


キリストの一生や聖人や、聖母マリアなど、
キリストにゆかりのイコンがずらりと掲げられている。

イコンを描いたのはイコン画家山下りんも含まれるという。


靴を脱いで教会内へ入り、礼拝堂の椅子に座り、
しばらく案内の説明を聞いてから内部を見ることが出来た。



中は広くはないが、今回の特別公開用にイコン画や、聖十字架などが
特別に展示されていた。


ロシア正教や正教については詳しくないので、
普通のキリスト教との違いに戸惑いはあったが、
厳粛な雰囲気はどの教会でも同じはず。

料金は1000円と高かったが、キリスト教とか、正教とか、
宗教的なことはともかく、近代建築が好きな者として、
見学出来るのは貴重な機会なので再び見ることが出来てよかった。
こういう機会でもないとなかなか行こうと思わないから。




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京都文化博物館・別館内部

2022年03月20日 | 京都の社寺と文化財


京都文化博物館は三条通に面していて、
住所は京都市中京区三条通高倉角にある。

いつも美術展でよく行くが、建物自体も重要文化財に指定されている。





設計は、東京駅を設計したことでも知られる、有名な辰野金吾と
長野宇平治という人の共同設計で、明治39年に竣工された。

もとは日本銀行の京都支店として、銀行だった。
当時の京都のメインストリート、三条通に建てられた。

建て増しされた本館(新館)は高倉通に面した所に玄関があり、そこから入る。
銀行だった部分は文化博物館の別館として、
今ではいろんなイベントに活用されている。








三条通は有数の近代建築が立ち並ぶ、
近代建築好きにはたまらないストリートで、
その中でもひときわ目を引く美しい建物がこの京都文化博物館・別館だ。



ただ、この別館は建物の外観だけではなく、
内装も極めて美しく、細部まで丁寧にデザインされていて、
とても贅沢な空間である。







フラッシュなしなら写真撮影はオッケーなので、
いつも行くたびに撮っているが、
何かのパンフレットにとても美しい内部の写真が掲載されていたことがあり、
自分はあんなにいつも撮っているのに、
その写真のようなきれいな写真が撮れたことがない。
その写真にすごく嫉妬した(笑)。


それで、それから行くたび、何とかあの写真のような内部を撮りたいと、
ずっと撮りためていたものである。


何度も見た写真と同じアングルで撮ってみた。






内部は銀行だった時の名残りがそのまま残されていて、
柱の一つ一つや窓などが、とてもきれいに磨き上げられており、
今も新築のような美しい空間そのままを堪能できる。


とにかく保存状態がとても良いのだ。
手入れを入念にしているのだろう。









かつての人はこのような贅沢で美しい空間で、
お金のやり取りをしていたのかと思うと、
それはそれで羨ましい限りである。




天井も美しく…




薄暗い内部にシャンデリアなどの照明が輝いているのも美しい。


一つ一つのディテールが細やかで雰囲気があり、美しい。
この空間がとても好き。




京都文化博物館の内部は撮影可能なのがうれしい。


ほかの施設では撮影不可の方が多いので、それが残念。

重要文化財でもこのように撮影が自由な場所もあるので、
ほかの建物でもぜひ撮影が出来るようになればいいのにな、と思ってる。

いっぱい写したい所があるのだ…



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東本願寺・御影堂門

2022年03月01日 | 京都の社寺と文化財
「京の冬の旅」で毎年開催されている
「非公開文化財特別公開」(1月8日~3月18日)で、

今年は東本願寺の御影堂門が特別公開しているというのを
京都ブログで知った。


他にも東福寺・三門や、大徳寺・聚光院、醍醐寺・三宝院など、
名だたる京都の文化財が公開されてるが、
お東さんは近所なので一番行きやすい。

手っ取り早く行ける所なので行くことにした。




事前予約優先だったが、予約している人はそんなに多くない。
だから予約なしでもすぐに入れた。

料金は800円、
西本願寺の書院などは以前は無料で公開していたこともあるので、
少し高い。





東本願寺の御影堂門(ごえいどうもん)が公開されるのは初めてだということだ。


明治時代の再建であるが(明治44年、110年前)、
2019年に重要文化財に指定されている。

木造楼門(二重門)と言うそうで、堂々と聳え立つ木造建築だ。





御影堂門の上に登れる日が来るとは思いもしなかった。

子供の頃からよく、あの巨大な門をくぐってお東さんの中へ入り、
境内で遊んでいた(!)が、あの門の上にスペースがあるとは思わなかった。


ものすごく急な階段があって、そこを登る。
あまりにも急だから怖くて、登っているうちに息も上がり(年寄りなので💦)、
上に辿り着けるのかを心配になってしまったほどだ。


何とか上(2階)に辿り着くと、そこで説明をしてくれていた。


2階の上層には釈迦三尊像が安置されていた。

釈迦如来と弥勒菩薩、阿難孫者という三像という変わった取り合わせ。
東本願寺はてっきり阿弥陀如来だと思っていた。

いつも見ていた御影堂門の上に、仏像が安置されているとは思いもしなかった。





東本願寺は(確か…)江戸時代の創建である…

説明によると、織田信長とは真宗は折り合いが悪く、戦をしていた。
それ以前は本願寺は京にはなくて、流浪していた。

豊臣秀吉の時代に、秀吉が今の堀川七条に土地を与え、
そこでやっと京に本願寺が出来た。

家康の時代に今度は烏丸七条の地を隠居していた教如に寄進し、
二つ目の本願寺(東本願寺)を作ることになった。

ここで西と東、本願寺が二つに分かれることになった。
家康が強大な勢力を持つ本願寺を分裂させたと言われている。




そんなわけでお東は家康の時代に立てられたが、
今まで4度再建されているという。


最後に焼失したのが幕末の蛤御門の変の時で、その時は京の町じゅうが燃えた。


明治時代になり、当時の門徒の努力で東本願寺は再建された。
現在のお東は、だから明治時代の建築である。


けれども
御影堂門も、御影堂も、阿弥陀堂も今では重要文化財に指定されている。
(阿弥陀堂門は今は修復中)

明治時代の再建とはいえ、これほど立派な木造建築群は滅多にないので
東本願寺の境内は壮観だと言える。



木造建築としては、御影堂(ごえいどう)はもっとも広大な面積を持つ
(千畳敷と言われている)。

御影堂門は、京都でもっとも高い木造の楼門であるという。
京都で最も高いということは、日本一ということだと、
説明の人は言っていた。





確かに御影堂門はものすごい高層建築である。
子供の頃から、あの巨大な門をくぐる時、
あまりの高さにどこがてっぺんなのか分からなかったくらいだ。


その巨大さは近くに寄ってみなければ分からない。
すべてが木造だというのもすごい。


私は近代建築も好きだけれども、木造建築はことのほか好きだ。
町にこういう木造建築が聳えているだけで、何となくほっこりする。

歩いていて、巨大木造建築を見るとなぜか、安心出来るのだ。








天井が真っ白で無粋な感じがしたが、明治に再建する時、
画家の竹内栖鳳に天井画を依頼していたそうだ。

様々な理由があって、それはとうとう実現しなかったというが、
今回の公開では写真で竹内栖鳳の天井画の下絵が展示されていた。


とても繊細な描線の天女が描かれており、
実現しなかったのが残念だった。

竹内栖鳳は東本願寺の前の噴水のデザインも手掛けた。



堂内は撮影禁止だったが、上からの眺めだけは撮影出来た。
網が貼ってあるので見にくいけれど

東西南北、


北を向くと烏丸通がまっすぐ、


西には広大な御影堂、



南は分かりにくいが、京都タワー。


カメラが壊れかけなので満足な写真が撮れなかった(>_<)のが残念…


料金は少し高かったが、
身近に思っていた御影堂門に上層があるとは知らなかったので、
何十年と見て来たあの門の上に登れてよい経験になった。



京都はキエフと姉妹都市だという。
…キエフは美しい都市。
美しいものは破壊しないでほしい…



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