嵯峨・嵐山にある福田美術館で伊藤若冲の新発見作品、
「果蔬図巻(かそずかん)」が公開されていたので、是非行きたいと思っていた。
嵯峨の福田美術館へは一度行ったことがあるが、
京都駅からJR嵯峨野線で行ける。
阪急嵐山線でも行けるし、嵐電でも行けるが、
乗り換えなしで行けるのはJRなのでJR嵯峨野線で行くことにした。
しかし、JR嵯峨野線はかねてより観光客などで大混雑していると聞いている。
社会問題にさえなっていて新聞のニュースにもなっていたくらいだ。
恐る恐るどうなってるかと思いつつ京都駅へ行ったが、
乗客はそれほど多くなく、わりとすんなり乗れたのでほっと一安心した。
福田美術館
https://fukuda-art-museum.jp/
https://fukuda-art-museum.jp/exhibition/202407053434
タイトル
開館5周年記念 京都の嵐山に舞い降りた奇跡!!
伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!
(略称:若冲激レア展)
会期
2024年10月12日(土)~2025年 1月19日(日)
福田美術館は開館して5周年という新しい美術館である。
しかしコレクション収集に力を入れていて、
伊藤若冲の作品の収集にも積極的だ。
今回の目玉「果蔬図巻」も新たに福田のコレクションに入ったものだ。
福田美術館は観光地の嵯峨・嵐山にあり、天龍寺や渡月橋のそばにある。
京都でも一級の観光地である。
観光客でいっぱいの道を歩きながら観光地を通り過ぎて美術館へ行く。
JRにはすんなり乗れたが、しかし福田美術館へは一番混む時に入場したみたいで、
想定外に混雑しまくっていて、なかなか人の列が進まないし、
自分のペースで見られないし、さんざんだった(;_;)
写真撮影は可能だったようで、みんながスマホで撮影しているので、
自分も写真を撮ってみた。
展覧会では若冲の作品のほか、
若冲がお手本にした中国・清時代の沈南蘋(しんなんぴん)と
南蘋派の作品、
若冲と同時代の曽我蕭白と円山応挙の作品も少し展示されていた。
私の好きな若冲の「乗興舟」も展示されていたが、
展示の前は鈴なりの人で全然列が進まず、なかなか見られない(>_<)。
「乗興舟」が人の山で見られない展覧会なんて初めてだった。
細見美術館や京博などで見た時はゆっくりと鑑賞できたのに・・・と、
恨み言を言いたくなったほどだ(>_<)。
ただ現代語訳がついていて、
「乗興舟」は若冲が親交のあった相国寺の僧、
大典顕常と京都の伏見から大坂の天満橋まで淀川下りをした折の情景を
拓版画にしたものだが、大典がそこに漢詩を添えているのだ。
その大典の詩を展示作品の上に現代語に訳していたのは、
作品を鑑賞するうえでよりよい興趣を添えていた。
若冲が淀川下りを仲の良い大典と楽しんだ様子が伝わって来て、
束の間心が和む気がした。
展示室は3つに分かれていて、
第1ギャラリーは若冲のモノクロの墨絵を中心に、
福田美術館が所有する「蕪に双鶏図」、
若冲のみならず当時の日本画家に影響を与えた中国の画家・沈南蘋の作品、
その影響作品、
そしてなぜか白隠の禅画なども展示されていた。
第2ギャラリーは「乗興舟」と「果蔬図巻」の巻物二つ、
そして第3ギャラリーは若冲と同時代の曽我蕭白と円山応挙の作品が
いくつか展示されているという構成だった。
若冲の墨絵で目を惹いたのはぶさかわな犬図。
応挙や長澤芦雪は仔狛を可愛く描いていたが、
若冲のそれはちょっとひねている。
が若冲は晩年に大作「百犬図」でも仔犬を描いている。
「霊亀図」は霊獣とされる亀を描いたものだが、
なぜか目が大きくて可愛らしい。
若冲がこんな愛嬌のある動物を描くなんて珍しい。
「蕪に双鶏図」は福田美術館が入手した若冲の得意な鶏図だ。
若冲の初期作品と伝わり、のちの動植綵絵に繋がる、
細かい描線で神経質なまでの植物の描写に拘りつつ、
淡い色彩が美しく感じられた。
]
なぜか白隠の禅画が展示されていたが、
若冲がその大胆な筆致に影響を受けたそうだ。
「金棒図」は地獄の鬼が持ち金棒を墨で描いたものだという。
さて3階へ上がり、(「乗興舟」と)「果蔬図巻」の部屋に入る。
下のガラスケースの中に絵巻の実物が展示され、その上部には解説がある。
描かれた果実と野菜は殆どが名前が判明していて、
解説には番号を振って、果蔬の名前を書きだしているのであった。
この「果蔬図巻」のケースにも人だかりが酷く、
人の頭越しに見る感じだったので写真に撮るのが一苦労だった(>_<)。
「果蔬図巻」は絵巻であるが思っていたより割と短く、
ガラスケース一つに収まる長さだった。
この作品は虫などと果物・青物と一緒に描いた「菜虫譜」と似た巻物だが、
菜虫譜の方が長くて果蔬図巻はコンパクトだった。
「菜虫譜」は果蔬と昆虫や小動物が並行して描かれ、
野菜などが虫に浸食されやしないかと気味悪さもあった。
(貶しているのではない。菜虫譜は大好き。それが若冲独自の特質)
「果蔬図巻」はそれに比べれば果蔬のみなので、抵抗感はないが、
それでも果蔬の並べ方が独特で若冲の美意識があるのだろう。
食欲をそそるというより、並べた事物の形の面白さを強調するかのようだった。
巻末の大典による跋(ばつ)文には
絵の中の果物や野菜を思わず口にしたいと思うほどだ、と書かれているが、
とても食べたいとは思われなかった(>_<)。
ただ彩色が「菜虫譜」と同様にシックで趣きがあるのだった。
最後の第3ギャラリーは若冲と同時代の曾我蕭白と円山応挙の作品が
幾つか並べてあった。
応挙の華麗な孔雀図も良かったが、「龍門鯉」という、
滝を登って龍になろうとする鯉をシルエットで描いた絵が印象的だった。
福田美術館のある嵯峨・嵐山は観光地で景勝地であるので、
渡月橋を見渡せる場所にいるとしばし観光客の気分になった。
駅から美術館へ行く道すがらにも土産物屋さんや、お食事処、
キャラクターグッズの店など賑やかだった。
もちろん観光客も大勢いて賑わっていて、
此方はおひとり様なので侘しさも募ったが京都の観光地は元気だった。
自分は見疲れてへとへとになってしまったが(>_<)
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「果蔬図巻(かそずかん)」が公開されていたので、是非行きたいと思っていた。
嵯峨の福田美術館へは一度行ったことがあるが、
京都駅からJR嵯峨野線で行ける。
阪急嵐山線でも行けるし、嵐電でも行けるが、
乗り換えなしで行けるのはJRなのでJR嵯峨野線で行くことにした。
しかし、JR嵯峨野線はかねてより観光客などで大混雑していると聞いている。
社会問題にさえなっていて新聞のニュースにもなっていたくらいだ。
恐る恐るどうなってるかと思いつつ京都駅へ行ったが、
乗客はそれほど多くなく、わりとすんなり乗れたのでほっと一安心した。
福田美術館
https://fukuda-art-museum.jp/
https://fukuda-art-museum.jp/exhibition/202407053434
タイトル
開館5周年記念 京都の嵐山に舞い降りた奇跡!!
伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!
(略称:若冲激レア展)
会期
2024年10月12日(土)~2025年 1月19日(日)
福田美術館は開館して5周年という新しい美術館である。
しかしコレクション収集に力を入れていて、
伊藤若冲の作品の収集にも積極的だ。
今回の目玉「果蔬図巻」も新たに福田のコレクションに入ったものだ。
福田美術館は観光地の嵯峨・嵐山にあり、天龍寺や渡月橋のそばにある。
京都でも一級の観光地である。
観光客でいっぱいの道を歩きながら観光地を通り過ぎて美術館へ行く。
JRにはすんなり乗れたが、しかし福田美術館へは一番混む時に入場したみたいで、
想定外に混雑しまくっていて、なかなか人の列が進まないし、
自分のペースで見られないし、さんざんだった(;_;)
写真撮影は可能だったようで、みんながスマホで撮影しているので、
自分も写真を撮ってみた。
展覧会では若冲の作品のほか、
若冲がお手本にした中国・清時代の沈南蘋(しんなんぴん)と
南蘋派の作品、
若冲と同時代の曽我蕭白と円山応挙の作品も少し展示されていた。
私の好きな若冲の「乗興舟」も展示されていたが、
展示の前は鈴なりの人で全然列が進まず、なかなか見られない(>_<)。
「乗興舟」が人の山で見られない展覧会なんて初めてだった。
細見美術館や京博などで見た時はゆっくりと鑑賞できたのに・・・と、
恨み言を言いたくなったほどだ(>_<)。
ただ現代語訳がついていて、
「乗興舟」は若冲が親交のあった相国寺の僧、
大典顕常と京都の伏見から大坂の天満橋まで淀川下りをした折の情景を
拓版画にしたものだが、大典がそこに漢詩を添えているのだ。
その大典の詩を展示作品の上に現代語に訳していたのは、
作品を鑑賞するうえでよりよい興趣を添えていた。
若冲が淀川下りを仲の良い大典と楽しんだ様子が伝わって来て、
束の間心が和む気がした。
展示室は3つに分かれていて、
第1ギャラリーは若冲のモノクロの墨絵を中心に、
福田美術館が所有する「蕪に双鶏図」、
若冲のみならず当時の日本画家に影響を与えた中国の画家・沈南蘋の作品、
その影響作品、
そしてなぜか白隠の禅画なども展示されていた。
第2ギャラリーは「乗興舟」と「果蔬図巻」の巻物二つ、
そして第3ギャラリーは若冲と同時代の曽我蕭白と円山応挙の作品が
いくつか展示されているという構成だった。
若冲の墨絵で目を惹いたのはぶさかわな犬図。
応挙や長澤芦雪は仔狛を可愛く描いていたが、
若冲のそれはちょっとひねている。
が若冲は晩年に大作「百犬図」でも仔犬を描いている。
「霊亀図」は霊獣とされる亀を描いたものだが、
なぜか目が大きくて可愛らしい。
若冲がこんな愛嬌のある動物を描くなんて珍しい。
「蕪に双鶏図」は福田美術館が入手した若冲の得意な鶏図だ。
若冲の初期作品と伝わり、のちの動植綵絵に繋がる、
細かい描線で神経質なまでの植物の描写に拘りつつ、
淡い色彩が美しく感じられた。
]
なぜか白隠の禅画が展示されていたが、
若冲がその大胆な筆致に影響を受けたそうだ。
「金棒図」は地獄の鬼が持ち金棒を墨で描いたものだという。
さて3階へ上がり、(「乗興舟」と)「果蔬図巻」の部屋に入る。
下のガラスケースの中に絵巻の実物が展示され、その上部には解説がある。
描かれた果実と野菜は殆どが名前が判明していて、
解説には番号を振って、果蔬の名前を書きだしているのであった。
この「果蔬図巻」のケースにも人だかりが酷く、
人の頭越しに見る感じだったので写真に撮るのが一苦労だった(>_<)。
「果蔬図巻」は絵巻であるが思っていたより割と短く、
ガラスケース一つに収まる長さだった。
この作品は虫などと果物・青物と一緒に描いた「菜虫譜」と似た巻物だが、
菜虫譜の方が長くて果蔬図巻はコンパクトだった。
「菜虫譜」は果蔬と昆虫や小動物が並行して描かれ、
野菜などが虫に浸食されやしないかと気味悪さもあった。
(貶しているのではない。菜虫譜は大好き。それが若冲独自の特質)
「果蔬図巻」はそれに比べれば果蔬のみなので、抵抗感はないが、
それでも果蔬の並べ方が独特で若冲の美意識があるのだろう。
食欲をそそるというより、並べた事物の形の面白さを強調するかのようだった。
巻末の大典による跋(ばつ)文には
絵の中の果物や野菜を思わず口にしたいと思うほどだ、と書かれているが、
とても食べたいとは思われなかった(>_<)。
ただ彩色が「菜虫譜」と同様にシックで趣きがあるのだった。
最後の第3ギャラリーは若冲と同時代の曾我蕭白と円山応挙の作品が
幾つか並べてあった。
応挙の華麗な孔雀図も良かったが、「龍門鯉」という、
滝を登って龍になろうとする鯉をシルエットで描いた絵が印象的だった。
福田美術館のある嵯峨・嵐山は観光地で景勝地であるので、
渡月橋を見渡せる場所にいるとしばし観光客の気分になった。
駅から美術館へ行く道すがらにも土産物屋さんや、お食事処、
キャラクターグッズの店など賑やかだった。
もちろん観光客も大勢いて賑わっていて、
此方はおひとり様なので侘しさも募ったが京都の観光地は元気だった。
自分は見疲れてへとへとになってしまったが(>_<)
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