国宝一遍聖絵と時宗の名宝展
とうに終わってしまった展覧会で、
6月に行って来たのに、なかなかじっくり感想を書けなくて
もう祇園祭の始まるころになってしまった(>_<)。
始まる前に何とか感想。
行って来たのもなかなか機会がなく、後期の終わりころ。
それでも見たかった一遍聖絵(いっぺんひじりえ)展。
正式には「一遍上人絵伝」というらしいが、
「一遍聖絵」として親しまれている。
特別展 時宗二祖上人七百年御遠忌記念
国宝 一遍聖絵と時宗の名宝
https://www.kyohaku.go.jp/jp/special/korekara/jishu_2019.html
2019年4月13日(土)~ 6月9日(日)1,500円
公式ツイッター
https://twitter.com/kokuhoippen2019
チラシなどと突き合わせてみるけれども、あまり知識がないので、
かなりいい加減かもしれないけど、間違っていたら申し訳ない。
一遍は「時宗」という宗派の開祖で、
鎌倉時代、踊り念仏で全国を行脚(遊行)した。
「一遍聖絵」は、一遍の生涯を描いて、
遊行先の全国の風物も描いて、旅情も感じさせる。
全12巻、国宝指定、円伊筆。鎌倉時代
前期・後期で展示替えがあり、
展示方法は、全巻を並べる形だが、
展示替えの部分は江戸時代の複製を代わりに展示していた。
---------------------------
一遍はまず、遊行僧の先輩である空也上人を敬愛していたようで、
(敬愛という言葉は適切ではないかもしれないが)
展示の初めに、
六波羅蜜寺にある、空也上人像を写した像があった。
六波羅蜜寺のものより、非常に小さく、60㎝くらい(目視で)、
だが空也上人とのつながりが理解出来て、興味深かった。
恐らく空也上人の踊念仏を参考にしたのだろう。
「一遍聖絵」を見て、気がついたことは、
弟子たちと、全国各地を巡り、その各地で踊念仏を披露するが、
当時珍しく、評判になっていたようで、
踊念仏を繰り広げる所を、貴族たちも含めて、現地の人たちが、
興味津々で、見物しているさまが描かれていたことだ。
とくに、貴族の人々が、
車を寄せて(一基ではなく、ずらりと並んでいる)、
一遍の踊念仏の舞台を見ているのが、
見世物を見ている感覚で見ているようだったのが興味深かった。
一遍たちの「踊り」は見世物でもあったのだと思った。
一遍は念仏(南無阿弥陀仏)を唱えることで、
誰もが往生できると考え、
踊りによって、布教につとめた。
ただ、貴族たちにとっては、珍しい見世物、
という感覚だったのかもしれない。
そのあたりがリアルに描かれていたのが、
「踊り」を重視して、見世物として受け取られたとしても、
人々に分かりやすく説こうとする、一遍のあり方を感じさせた。
もちろん各地の風景、
点景に現れる小さな人物たちの詳細な描写とともに、
犬や馬などの動物の描写が、ひとつひとつ楽しい。
一遍が各地でもてなされる様子、
のどかな田園風景、
それぞれに趣きがあった。
踊念仏の様子は、
各地の寺で、
ステージ(舞台)のようなもの(舞殿?)が設けられていて、
その中にぎっしりと踊る者たちが整列して、
一心不乱に念仏を唱えながら、トランス状態になっている様子が。
この熱狂が珍しくて、客(?)を集めたのだろう。
*****
後期には、「洛中洛外図・舟木本」が展示されると知って、
それも楽しみにしていた。
なぜこの舟木本が展示されているかというと、
「時宗寺院のひとつ、御影堂新善行寺」が描かれているからだと。
(チラシの説明より)
行ってみたら、右隻、左隻、両者とも展示されていて、
驚いてしまった。
期せずして舟木本の本物を見てしまった…。
岩佐又兵衛は、人物を大きく描くというイメージが
自分の中にいつの間にか出来ていたのだが、
大画面の中に、精一杯小さめに描かれていた。
又兵衛らしい縦に引き伸ばされた人物だが、気にならない。
五条大橋を渡る人物たち、
有名な大きな袰(ほろ)を背負って祭行列をする人物たち、
寺の前で、稚児の手をうれし気に引っ張る僧、
あまり時間が取れなかったものの、
有名な場面を中心にしっかりチェックした。
登場人物があまりにも沢山なので、
時間をかけて見たい所だったが、タイムアウト。
それでも、再びもう「舟木本」の本物を見る機会はないだろう。
またとない機会に感謝。
感動した。
「洛中洛外図屏風」では、もちろん永徳のものが最も好きだが、
あまり好きとはいえなかった舟木本も、
迫力に圧倒され、実物を見て、初めて良さが分かったかな。
*岩佐又兵衛の舟木本は、巨大な方広寺で有名だが、
現在、京都に方広寺はもうない。
あるにはあるが、
観光客も知らないような、人知れず小さな寺になってしまっていて、
行く人も滅多におらず、境内(といってもとても小さい)には
車が止まっていて、駐車場みたいになってしまっている。
だが、もともと京都国立博物館の敷地も、方広寺に含まれていて、
今もある巨大な石積みが当時を偲ばせる。
「洛中洛外図」は描かれた時期によって、
いろいろ違いがあるが、又兵衛の時代は、
秀吉の権力というか、威光が大きかった時だろう。
だから秀吉の権威を象徴するような方広寺を、
ことさら巨大に描いたものだと思う。
以上ざっくり感想。
収穫のあった「一遍聖絵」展でした。
*虎りんに会ったのもうれしかったヨ。
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とうに終わってしまった展覧会で、
6月に行って来たのに、なかなかじっくり感想を書けなくて
もう祇園祭の始まるころになってしまった(>_<)。
始まる前に何とか感想。
行って来たのもなかなか機会がなく、後期の終わりころ。
それでも見たかった一遍聖絵(いっぺんひじりえ)展。
正式には「一遍上人絵伝」というらしいが、
「一遍聖絵」として親しまれている。
特別展 時宗二祖上人七百年御遠忌記念
国宝 一遍聖絵と時宗の名宝
https://www.kyohaku.go.jp/jp/special/korekara/jishu_2019.html
2019年4月13日(土)~ 6月9日(日)1,500円
公式ツイッター
https://twitter.com/kokuhoippen2019
チラシなどと突き合わせてみるけれども、あまり知識がないので、
かなりいい加減かもしれないけど、間違っていたら申し訳ない。
一遍は「時宗」という宗派の開祖で、
鎌倉時代、踊り念仏で全国を行脚(遊行)した。
「一遍聖絵」は、一遍の生涯を描いて、
遊行先の全国の風物も描いて、旅情も感じさせる。
全12巻、国宝指定、円伊筆。鎌倉時代
前期・後期で展示替えがあり、
展示方法は、全巻を並べる形だが、
展示替えの部分は江戸時代の複製を代わりに展示していた。
---------------------------
一遍はまず、遊行僧の先輩である空也上人を敬愛していたようで、
(敬愛という言葉は適切ではないかもしれないが)
展示の初めに、
六波羅蜜寺にある、空也上人像を写した像があった。
六波羅蜜寺のものより、非常に小さく、60㎝くらい(目視で)、
だが空也上人とのつながりが理解出来て、興味深かった。
恐らく空也上人の踊念仏を参考にしたのだろう。
「一遍聖絵」を見て、気がついたことは、
弟子たちと、全国各地を巡り、その各地で踊念仏を披露するが、
当時珍しく、評判になっていたようで、
踊念仏を繰り広げる所を、貴族たちも含めて、現地の人たちが、
興味津々で、見物しているさまが描かれていたことだ。
とくに、貴族の人々が、
車を寄せて(一基ではなく、ずらりと並んでいる)、
一遍の踊念仏の舞台を見ているのが、
見世物を見ている感覚で見ているようだったのが興味深かった。
一遍たちの「踊り」は見世物でもあったのだと思った。
一遍は念仏(南無阿弥陀仏)を唱えることで、
誰もが往生できると考え、
踊りによって、布教につとめた。
ただ、貴族たちにとっては、珍しい見世物、
という感覚だったのかもしれない。
そのあたりがリアルに描かれていたのが、
「踊り」を重視して、見世物として受け取られたとしても、
人々に分かりやすく説こうとする、一遍のあり方を感じさせた。
もちろん各地の風景、
点景に現れる小さな人物たちの詳細な描写とともに、
犬や馬などの動物の描写が、ひとつひとつ楽しい。
一遍が各地でもてなされる様子、
のどかな田園風景、
それぞれに趣きがあった。
踊念仏の様子は、
各地の寺で、
ステージ(舞台)のようなもの(舞殿?)が設けられていて、
その中にぎっしりと踊る者たちが整列して、
一心不乱に念仏を唱えながら、トランス状態になっている様子が。
この熱狂が珍しくて、客(?)を集めたのだろう。
*****
後期には、「洛中洛外図・舟木本」が展示されると知って、
それも楽しみにしていた。
なぜこの舟木本が展示されているかというと、
「時宗寺院のひとつ、御影堂新善行寺」が描かれているからだと。
(チラシの説明より)
行ってみたら、右隻、左隻、両者とも展示されていて、
驚いてしまった。
期せずして舟木本の本物を見てしまった…。
岩佐又兵衛は、人物を大きく描くというイメージが
自分の中にいつの間にか出来ていたのだが、
大画面の中に、精一杯小さめに描かれていた。
又兵衛らしい縦に引き伸ばされた人物だが、気にならない。
五条大橋を渡る人物たち、
有名な大きな袰(ほろ)を背負って祭行列をする人物たち、
寺の前で、稚児の手をうれし気に引っ張る僧、
あまり時間が取れなかったものの、
有名な場面を中心にしっかりチェックした。
登場人物があまりにも沢山なので、
時間をかけて見たい所だったが、タイムアウト。
それでも、再びもう「舟木本」の本物を見る機会はないだろう。
またとない機会に感謝。
感動した。
「洛中洛外図屏風」では、もちろん永徳のものが最も好きだが、
あまり好きとはいえなかった舟木本も、
迫力に圧倒され、実物を見て、初めて良さが分かったかな。
*岩佐又兵衛の舟木本は、巨大な方広寺で有名だが、
現在、京都に方広寺はもうない。
あるにはあるが、
観光客も知らないような、人知れず小さな寺になってしまっていて、
行く人も滅多におらず、境内(といってもとても小さい)には
車が止まっていて、駐車場みたいになってしまっている。
だが、もともと京都国立博物館の敷地も、方広寺に含まれていて、
今もある巨大な石積みが当時を偲ばせる。
「洛中洛外図」は描かれた時期によって、
いろいろ違いがあるが、又兵衛の時代は、
秀吉の権力というか、威光が大きかった時だろう。
だから秀吉の権威を象徴するような方広寺を、
ことさら巨大に描いたものだと思う。
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