ばばちゃんの友人から「ユリの花(カサブランカ)」を頂いた。
帰宅した家の中は、ユリの花の香りでいっぱいだった。
娘が香りのことを話し出した……。
『ユリの花の香りは、ママのお葬式を思い出すんだよね……』
あれから、10年が経過しようとしている。
当時5歳だった園児は、立派な高校一年生になった。
定かでない子供の記憶の奥底にそれはあったのか……。
もしかしたら、愛娘はこれからずっとそんな想いと生きてゆくのかもしれない。
母の思い出は、悲しみとセットなのだろうか。
それとも、娘の中では「思い出は思い出」なのだろうか。
怖くて聞けない勇気のない父(私)だと思う。
いや、聞く必要はないのか……。