夜の街が華やかなシーズンになった。
例年は早々と11月からスタートする忘年会もあったが何故か今年は12月に集中している。
一次会で早々退散するにしてもタクシー代やなんやかんやで小一万は掛かる。下手に話がまとまると出口で捕まってごった返した2次会会場に連れて行かれる。
できれば騒がしくないワインバーがイイ。もしくはカラオケの無いスナックのカウンター。
しかしセットされているのはラウンジ・・・苦手だ。
ボキャブラリーの無い若さだけが売りの御嬢さんは自分が面白くないと相手をシラケさせる天才だ。
「残念ながらお前が言っている事がよく判らない・・・オレは耳が遠いんだ」
などとワタシのココロの叫びを理解する筈もなく、冷たい水割りを何杯も飲ませる。
『お客さん強いんですね・・・』
やっと絞り出した褒め言葉だろうが、タバコもカラオケもヤラナイので間が持てないだけだ。早いこと〆の挨拶が出ないかと主賓たちが座るボックスを横目で見るが変に盛り上がっている。
まぁ調子のイイ奴らが集まってヨイショノ連続攻撃を仕掛けているのだろうが、付き合わされる方も大変だ。
酒は嫌いではないが、一時間何千円も持っていかれるようなラウンジよりも静かな処で一人酒する方が性分に合っている。
『俺って本当に安くできてんだなァ』
などと独り言を呑みこみながら隣の御嬢さんのご機嫌を取るべきか悩んでいる・・・辛いシーズンの始まりだ。
拝