年間のなかでも一番の繁忙期を迎え、目の前の仕事を片付けていくだけで日々が過ぎていく。
ある意味では充実しているといえるが余裕がないのも事実・・・機械的で冷徹な数字と格闘して充血した眼を擦りながら、ストレスで満杯になったハリネズミのような心臓を包み込む重い躰を引きずって家路につく。
何というわけではないが何がしかの期待を抱きつつ靴を脱ぎドアを開ける。そして何というわけではないが何がしかの失望によって、自分では気が付かぬピリピリ感のオーラを醸し出す。
辛うじて温かい湯船に浸かり、固く凝り固まった前頭葉に血を通わせることで凍りついた感情がやさしく鼓動をはじめる。それが叶わぬ時には安物の赤い葡萄酒で疲れを癒す。だがそれは危険な賭けで、時として劇薬となり、ますますフラストレーションを高めてしまうこともある。
そして、いつも思う・・・なぜ?
さらに思う・・・やさしさは何処に消えた?
たとえそれが画面の中で寄り添う癒しであっても
たとえそれが次女が作ったイミテーションのチョコドーナッツであっても
この傷んだハートをやさしく解かしてくれるのであればそれでイイ。