『大相撲』
8. 暴力事件が発生し、相撲界に激震が走った。
⇒ 大相撲だけではないだろう。今は他のスポーツでも、いわゆるラフプレーなどで、度々こういう話題となる。
さて、暴力事件とは何だろうか。
簡単に考えると、暴力事件とは、誰かが誰かを殴ることである。
殴るとは、一番簡単に言うと hit が使える。
誰かが誰かを、ということなので、someone を使い、
・Someone hit someone. (誰かが誰かを殴った。hit の過去形は同じくhit)
これだけでも、大体『暴力沙汰』だとわかる。
具体的には、この場合、相撲界のことであり、当事者が両方力士だったので、
・A sumo wrestler hit another sumo wrestler.
hit が一番使いやすいが、他の線でも考えると、危害を加えたので harm を使って
・A sumo wrestler harmed someone.
暴力をふるうとは、どういうことか。殴る蹴るなので
・A sumo wrestler hit or kicked someone.
・A sumo wrestler punched or kicked another sumo wrestler.
暴力を振るうということは、相手をケガさせることなので、injure や hurt を使い
・A sumo wrestler injured someone.
・A sumo wrestler hurt someone.
暴力を振るうということは、怒っていることが前提であるので
・A sumo wrestler got angry, and hit someone.
暴力を振るうということは、差し当たりケンカをすると考えてfight を使い、
・Sumo wrestlers had a fight. A man hit the other one.
暴力を振るった結果、病院にお世話になった、ということなので
・An angry sumo wrestler hit another one, and that wreslter had to go to the hospital for treatment.
上記のように、angry やら、hospital を出すことで、暴力沙汰という感じがよく出る。
英語は『補う』ということが大事である。
他にも beat も使える。
・A sumo wrestler beat another one.
ラフプレーのラフは英語で rough であるが、これを用いた rough up というイディオムがある。
【OXFORD Advanced Dictionary】によると、to hurt sb(=somebody) by hitting or kicking them. とある。なんだか上記の『暴力事件』の訳みたいな定義だ。例文として次のようなものがある。
・He claimed that gurads had roughed him up in prison. (彼は、刑務所内で看守に痛めつけられたと言っている)
これを拝借すると、
・A sumo wrestler roughed another wrestler up at a party. という感じになる。
まあ別に知らなくても、英英辞典の定義にもある通り、hit やkick を使えれば、十分である。何のことはない。
暴力というと、機械的に violence や violentが浮かぶ人も多いだろう。使えるだろうが、これ単独では、どう使うのかわからない場合は、それを使うよりも、英作の発想で、少し考えて、暴力沙汰とは一体何か、自問自答したならば、要するに殴ったのだから、殴るということは、一番自分に近い言い方は何か、考えたら、やはり hit だなと判明する。
使い方がわからないものは、使わない。代わりに使い方を知っているもので代用する。これは英会話で、特に重要な知恵である。
単語だけ知っていて、使い方が分からない場合は、せめて辞書(英和か英英辞典)を引いてほしい。
では『相撲界に激震が走った』とはどうなるだろう。
激震が走る、ということは、赤ちゃん言葉で言うと、要するに驚くことである。相撲界に激震が走る、ということは、相撲取りや相撲関係者が、すごく驚く、ということである。よって be surprised at を使い、
・Everyone was surprised at the news.
・Everyone in sumo was very surprised at the news.
・Sumo wrestlers and all the people in sumo were really surprised at the news.
激震が走るのは、いわば地震のような揺れが心に生じることである。比喩的表現である。そのまま愚直にearthquake などと言ってもしょうがない。激震の核になる感情は何かを分析しなければならない。
激震が走るとは、心の動揺であり、要するにそれだけその事柄が『衝撃的』であるということである。衝撃的ということは、要するにショックであるということなので、shock を使い、
・Everyone was shocked to hear the news.
・Everyone in sumo was shocked by the news.
うちの教室の生徒さんで、『感情(速習)』を練習されている方は、上の be surprised at と be shocked by が頭に入っているだろう。
『感情』のトレーニング(33文)を1分以内に暗唱できる人も、『激震が走る』を英語にするのは、なかなか難しいだろう。
なぜか。
応用する姿勢が関わってくるのである。英会話の上達に必須である『応用力』。自分の知っている英語を、特定の状況において使いこなす応用力は、考える力がもたらす。だから覚えた英語表現を、自分の言いたいことにどう結び付けるか、よく工夫する必要がある。
相撲界に激震というが、本当のところは、世間がそのセンセーショナルな事件があった相撲界のニュースを聞いて驚いた、というのが実際であろう。世間、ということは、具体的に言い換えると『我々』ということになる。よって、
・We are all surprised at the news.
・We are shocked to hear a sumo wrestler hit another wrestler at a party.
at a party くらいを補足でつけないと、力士が力士を hit したところで、土俵上であれば hit は当たり前なので、イメージが伝わらない。土俵の『場外』だからこそ、問題であり、不祥事なのである。
自分が知っている表現が、今実際に言いたいことに使えるかどうか。
それを決めるのは、工夫する心である。
必ずしも多くなくてよい。
数は少なくても、質の高い、少数精鋭の英語表現を蓄えていき、それらを工夫して、最大限活用する術を知る。
その心掛けが、英語の上達をもたらすのである。
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