『忖度(そんたく)』
6.籠池氏は大阪府に小学校設立認可の申請を行なった。
⇒ 自分の頭で考える、ということが大切である。自分で考えるということは、自分の目で見て聞いて、自分の皮膚感覚で判断することである。自分で考えるということは、他人に頼らず自分に頼るということである。自分で考えるということは、人の言葉をそのまま鵜呑みにするのではなく、自分の中に取り込んで、咀嚼すること。
自分で考えるということは、言い換えれば、自分の言葉で考えるということである。
ある事柄を理解するということは、そのことに関して自分の言葉で語れるということである。
自分で考える。
恐らく自分で考えるということは、仏教で言うところの『自灯明』という言葉に近いのではないだろうか。
『自灯明』
かつてよくテレビに出ていた評論家の竹村健一氏が、ファンにサインを頼まれると必ず『自灯明』と書いていたという。私は竹村健一氏のファンで、竹村氏の自由な考え方に多大な影響を受けた人間である。人生観もそうであるが、竹村氏独特の考え方、そしてその独創的な発想を生み出す氏独特の読書法、勉強法、発想法に私は多くの示唆を与えられた。私の今の英語に対する考え方、言語観並びに学習法を確立するにあたり、数えきれないほどの先人、諸先輩方の知恵を拝借してきた。竹村氏もその一人である。語学が思うように上達せずに絶望している時分、私は何度となく氏の著作を読み返し、その都度前に進む勇気を得てきた。氏の発想、特に言語学習に関する考え方は、単なる語学の専門家からは生まれようがない、特異な発想である。
ある時、半年ほど前に始められた生徒さんが、うちの教室のhave 等の練習をやっていると、なぜか竹村健一氏を思い出す、という趣旨のことを話されたことがある。その方は何十年前に学生だった時に、竹村健一氏の本で英語を勉強されたらしく、氏の自由な考え方に共鳴したそうである。しばし『竹村談義』に花が咲いた。何を隠そう、私の英語学習法の根底には、竹村氏の考え方が色濃く根付いている。竹村氏の何物にもとらわれない自由な発想から私は多くを学んだ。とりわけ氏の独壇場である『逆転の発想』。氏の発した言葉で『日本の常識は世界の非常識』といったものがある。一つの物事にとらわれず、多角的に考える自由な精神は、そのまま英作の精神でもある。
さて本日の英作に入る。
『籠池氏は大阪府に小学校設立認可の申請を行なった』
竹村健一氏ならどう訳すだろう。氏の著書に『これでええんや英会話』というのがある。いいタイトルだ。英語に対する無用な気負いが取れる。
私にとって簡単英語のパイオニアみたいな存在である。
『設立』『認可』『申請』といった難しいそうな日本語が並ぶ。こんなものを見ると、すぐ和英辞典に手が伸びるだろう。
でも自分で考える習慣がある人は、単語レベルで妙な英語を『瞬間英作』することなく、いったん立ち止まって観察して考える。
自分で考えるとは、自分の言葉で考えることである。
自分の言葉で考えるとは、いつもの普段着のままの言葉である。いわば子供の時から慣れ親しんだ言葉である。
上の仰々しい、行政文書のような言葉は、自分の言葉に直すとどうなるか。
『籠池氏は大阪府に小学校設立認可の申請を行なった』
⇒『籠池さんは、大阪府に「小学校を作りたい」って言った』ということである。よって
・Mr. Kagoike said to the Osaka prefecture that he wanted to make a new elementary school.
簡単である。
『申請した』ということは、頼んだということである。頼むということは、それがいいかどうか、尋ねることである。
・Mr. Kagoike said to the Osaka prefecture " I want to make a new elementary school. Is it OK? "
ask を使うと、
・Mr. Kagoike asked the Osaka prefecture if it is OK to make a new elementary school.
・Mr. Kagoike asked the officials of Osaka prefecture if it would be OK to make a new elementary school.
・Mr. Kagoike asked the Osaka prefecture "Can we make a new school?"
あきれるくらい簡単な言い方である。全部中1レベルの英語である。
大事なのは、かっこつけないことである。かっこつけず、身の丈にあった英語を話す。
かっこつけない時、その英語は意外と自然な英語に近いと気づくだろう。
ちなみに『自灯明』に関してであるが、お釈迦様が亡くなる際に、これからどうしたらよいか悲嘆にくれる弟子にさずけた言葉である。これからは自分を頼りなさい、自分の中に光を見出し、その灯を頼りに生きていくのだという教えだ。
これはこのまま英語上達の秘訣である。
英語が上手くならないのは、記憶力が悪いからか、才能が無いからか、お金が無いからか、歳のせいか。時間がないからか。
色々原因はあるだろう。
仮にお釈迦さんに、どうしたら英語が上手くなりますかねと問えば、何と答えられるだろう。
『自灯明』と言われるのではないかな、と勝手に想像する。
安易にネイティブに頼る心、辞書に頼る心、機械翻訳に頼る心、簡単で楽なやり方に頼る心、近道ばかりを探す心。それらの依存心を打ち捨てて、地道に洋書などの本を読み、単語や表現を覚え、面倒でも英英辞典を引いて、言いたいことを必死で自分の頭で考えて英語で表現する努力をする。
こういった他(人)にではなく自分に頼る努力こそ『自灯明』ということであろう。
『運は自ら勝ち取るもの』。これも竹村健一氏の本にあった言葉である。若い時、いつも手帳にこの言葉が書いてあった。記憶力が悪く、飲み込みの悪い私をいつも励まし、勇気づけてくれた言葉である。
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