Coronavirus Crisis /コロナ禍
12. 全員に行きわたるだけのワクチンは、確保されているのだろうか。
⇒ 今(2022年3月)は状況が変わり、ワクチンの量も確保されているだろうが、ワクチン接種の初期は、なかなか予約が取れず誰しもが苦労した。世界では、特にアフリカ諸国など、いまだ接種が進んでいない状況を考えると、日本はまだ恵まれているだろう。
さて、英作であるが、アメリカでワクチンが開発され、接種が始まった時、日本ではいつワクチンが輸入できるのか、やきもきしていたのも、記憶に新しい。
まず『行きわたる』というのが、ネックとなるだろう。
ある程度語彙力のある人であれば、例えば、go around というのを知っているかもしれない。go+前置詞 で、いわゆる句動詞と呼ばれるものだが、go と前置詞のaround の組み合わせで、例えば簡単な例では、go around the park で、公園をぐるっと回る。 go around the world in 80 days で、世界を80日間で回る(80日間世界1周)などだが、これが例えば、Are there enough chairs to go around? というと、イスはみんなに回りますか(みんな座れますか)というように使われる。もしこの言い方を知っていれば、英作の課題は
・Are there enough vaccines to go around?
というようになる。
では、この表現を知らなければ、お手上げだろうか。
ここからが、英作の本領発揮である。知らなければ、考えればよい。
『全員に行きわたるだけのワクチンは、確保されているのだろうか。』
「行きわたる」「確保」といった箇所が気になるが、要するに、ワクチンの話であり、それらが有るか無いかの話である。
簡単に言うと『全員のために、ワクチンがあるのか』ということである。誰でも知っているhave を使えばよい。主語は、どこの誰の話かというと、当然我々の社会の話なので we を用いて、
・Do we have enough vaccines for everyone?
・Will we have enough vaccines for everyone?
となる。別にgo around を知らなくても困らない。知っているなら、両方言える。それだけ説得力も増す。
have が良いなら、there is (ある)だってよい。
・Are there enough vaccines for everyone?
さらに考える。
全員に行きわたるだけのワクチンは、確保されているのだろうか、ということは、要するに、「全員がワクチンを打てるのか」という問いである。よって
・Can everyone get the COVID shot (in Japan)?
・Can we get vaccinated soon?
確保するのは、誰か。政府である。よって
・Does the government have enough vaccines for everyone?
・Does Japan have enough vaccines so everyone can get a COVID shot?
・Can the government get enough vaccines for everyone?
等。
「行きわたる」「確保する」とか言われると、とかく辞書に頼る人も多いだろうが、辞書や、スマホを調べる前に、自分の頭の中を調べることを忘れないようにしたい。
自分の頭で考えて、言いたいことを整理すること。行きわたるとは、確保とは、どういうことだろうか、と自分の頭で考えてみる。
みんな誰しも日常的に忙しくて、答えが早く知りたいから、すぐにスマホとかに手が伸びる。そしてある一定の答えを得て安心する。
本当にそんなことで、英語が上手くなるのだろうか。
背伸びして、見たことも聞いたこともないような英語をもってきて、ようやくできた、継ぎはぎだらけの英語よりも、稚拙であっても、自分の頭で一生懸命考えて、自分が言いたいことを、必死で考えて、作った英語にこそ、生命は宿る。
表現とは、戦いである。