人はなぜ
悪いことをするのだろう
暗黒のエゴを
満足させるために
あまりにも
いやなことをする
巧妙な知恵を回し
いかにも
善人であるかのような
ふりをして
人を食い
世間を乱す
ネズミの性欲のような
原始の闇に
自分を埋め込み
巨大な恐怖に支配されて
あらゆるものを
破壊する
何もかもは
弱く小さな自分を
ごまかすためにやるのだ
自分の存在が
傷のように痛み
他者が自分ではないというだけで
憎くなり
すべてを滅ぼそうと
愚かな暴虐を始めるのだ
馬鹿なことをした
馬鹿なことをした
あまりにも苦しい
苦しい
苦しい
自分の罪から
逃げることなんてできない
でも逃げたい
こんな自分はいやだ
こんな自分はいやだ
月を饅頭にして
食おうとしたなんて
いやらしいことを
しすぎた
汚いことを
しすぎた
アレルギーを起こすほど
自分がつらい
誰か助けて
おれからおれを
とってくれ
枯れてゆく
心臓の花を
背中に隠しながら
わたしは
不穏な予言をする
愛のない言葉を
蛙を吐くように
まき散らしながら
わたしはどんどん
世間を汚してゆく
ああこのままでは
あほうになるぞ
汚い嘘にまみれて
無知の闇に溺れる
みじめな猿になるぞ
他人の心臓を
いくつも食いながら
わたしは
乾いていくわたしの花に
血を飲ます
いくたびもいくたびも
血を飲ます
馬鹿をやるものには
怒るぞ
いやらしい根性を
たたきつぶすぞ
逃げることはできない
その自分を
正しく立て
すべてのために
すばらしいことを
やりなさい
それをやらずに
逃げるものには
鉄槌を落とすぞ
愛が
固まってしまった
煮え湯の中の
卵のように
生まれるはずだった
鳥は
真珠を焼いた
炭のような
暗い夢の向こうに
消えてしまった
馬鹿なことを
するんじゃなかった
天使の卵を盗んで
真夜中の密室で
食べることなど
固まった愛は
砂のように
ばらばらに崩れて
夕暮れの光の中に
散らばっていく
もう二度と
元には戻らない
愛を
馬鹿にするな
愛に
ひどいことをして
自分ばかり
いいことにしていると
鋼鉄の岩が
落ちて来るぞ
愛を
馬鹿にするな
愛を
ばらばらにして
自分の
食い物にしていると
煮えた油の海が
落ちて来るぞ
崩れて来る
幸せを
補強するために
二匹の蝶を
買いました
赤ん坊のように
揺り籠に入れて
毎日あやしています
愛が欲しいのです
愛が欲しいのです
たとえごまかしでも
愛せるものが
欲しかった
二匹の蝶は
揺り籠の中で
いつも何かを
ひそひそと話しています
わたしには
わからない言葉で
わたしを見る目が
冷たいのは
気のせいだと思いながら
今日もわたしは
蝶に花をやる
気づかないふりを
してさえいれば
みんな
うまくいくのだと