世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

スピカが主な管理人です。時々留守にしているときは、ほかのものが管理します。コメントは月の裏側をご利用ください。

月ならば

2016-10-12 04:22:24 | 歌集・こてふらん

薄紅の 羽をたたみて 秋草の つぼむごとくに 眠る月かな


白浜に かひを探して さいはひを かぞへかぞへて 風に散る夢


子を産みて こがねの餅を 食はさむと 文をあきなふ をみなとなりき


ためいきの とけて消えゆく まぼろしを 追ひてかひなき 痴れ者の恋


あやかしと 見紛ふ花を のぞき見て あしき思ひに ぬれそぼつ日々


せきのぼる 悔いの涙を 落としては 尽きぬこころを いかにかはせむ


失せ果てて なきものになり 絶え果つも 月ならばまた まみゆるものを






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愛なれば

2016-02-05 05:28:05 | 歌集・こてふらん

愛なれば 剣突く手も 揺れぬほど 愛するものと 言ふこてふらん



風もなき 暗き月夜に 心澄み 大猿の尾を 抜くこてふらん



愛と死の 溶けて流れる 水を飲み つぼみを割りて 咲くこてふらん



はかなきと 思ふなかれと 花は言ふ 世を浄めむと 為すものなれば



墨染の ゆふべを知るは 人心 花の心は 暗きあけぼの





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ともしびの

2016-02-04 05:28:43 | 歌集・こてふらん

たまかぎる ほのかに燃ゆる ともしびの 明日を思ひて まなこを閉ぢぬ



走り来て 走り来てなほ 走り来て 夢の中にぞ 君はやすらへ



春萌ゆる 花は神代の たよりもて 次になす夢 人に語らむ



ゆふやみの 風よしづかに 身をゆりて 赤き実の落つ 夜をなすかな



絶望よ 宴をはりて 人の世に 新たなるもの 来しと歌へよ



あかつきの 星落とさむと のぼる火を 消せる嵐を 呼ぶこてふらん





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たれしらぬ

2015-08-10 05:09:14 | 歌集・こてふらん


たれしらぬ 若き思ひを ゆふづつの 夢に秘したり はつこひの日々



声ありて 知らずほほゑむ はつこひの 甘きこころに ゑふ日もありぬ



すいさうの こゑもとどかぬ 小屋をとぢ 愛失ならぬ 愛失を抱く



てふてふを よびておもひを かたりては 風にゆれなむ 君のともしび



ゆるされぬ ことにしあらず おもひでの きみのなみだを われ知ればこそ



うつしよに あるくるしみを 若き日に 噛みて知るべき こころなるかな




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てふてふの

2015-07-15 04:15:21 | 歌集・こてふらん

奥山にこがねのごとき花ありて夢見る星の名残かと見ゆ



あした咲きゆふべには散るその花の明日夢見るねがほかなしき



去りゆきて胸に焼きつく面影は鉛の玉かしろかねの月



夢の戸をしづかにひらきてふてふの筆でえがかむ細き小川を





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白き蘭

2014-04-18 06:24:01 | 歌集・こてふらん

白き蘭の 扇打つ手も ひるがへり 群鳥よ鳴け 今やその時




早春は 過ぎて桜は 散り失せて 燕は低く まっすぐに飛ぶ





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舎利別

2014-04-06 04:15:27 | 歌集・こてふらん

群れ飛べる こてふのごとき 兵ありて 地に知れ渡る 静寂の鬨



王国を めぐる窓には 鍵さして 君なせること 君はなしたり



雪乱の 中をつらぬく 神の矢を 総身に浴びよ 浮橋の人



死にし子の 沈黙の吐く 白珠を よりときてなほ 舎利別をかけ



百合ひそむ 石工の胸に 真心は 住む龕灯の 明りのごとく





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人魚の姫

2014-03-09 09:10:45 | 歌集・こてふらん



小窓にて こどくがふたつ ならびゐて ともに見上げる ふたごの星を





しづかなる 白き怒りを かみしめて 嵐の声を 呼ぶこてふらん





あかあかと 人魚の姫の ともしびを 燃して照らせり ぬすとの道を





コメント (1)
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