約束の鍵はまはりて馬鹿どもの塔はくづれて現象の波
銀鈴の声を鳴きては人の世のまことをたのむいのりなるかな
野にありてむらさき光るあやめ草風を呼びつつしづかにうたふ
いそのかみふる霧雨に音もなくかすかにぬるる君のかなしみ
春は来てとけて消えぬるうすらひの中より出づるためいきの風
くるほしき罪の闇夜を背に塗りて夜明けの色におびゆる心
やさしさのふりをしてやるごまかしの自分に語るいひわけの山
えらさうなやつは無能な馬鹿ばかり強く出なくちゃさぼりがばれる
いはを打つ波のごとくにくりかへしいひてかひなきちとせのためし
空晴れて山はゆるぎて水は散り花はさわぎて春となりぬる
ためいきを積みてはかりてひとつぶのしらたまほどの重みをつくる
根が伸びて高くなりたる浮草の根もなきうそのくるしかりけれ
馬鹿どもの力関係くそにカビ生えぬ山にも無理やり生える
巻紙や死人の口を拭き清めよけいなことはいはざれといふ
馬鹿女男だませの心もてなにかは馬鹿を無垢とあざむく
人を食ひ我が身をしきといふほどに汚れゆく身の苦しかりけれ
いづれにかきみがゑまひのかなしきをせむるすべなきよき世となさむ
花嵐春の川水深けれどくれなゐの野に玉見出さむ
われならぬものとなりはてたまちはふ神も知らざるものとなりけり
くれなゐをわづかにふくむうす月の春にまよひてまぼろしの恋