Joy Yoga

中東イスラエルでの暮らしの中で、ヨガを通して出会う出来事あるいは想いなど。

ペサハ(過ぎ越しの祭り)とミムナ

2012-04-16 11:01:11 | イスラエルの行事
8日間に渡る長い祝日が終わり、今ようやくひと息ついているところです。

先々週の金曜日からユダヤ教の「ペサハ」、日本語では「過ぎ越しの祭り」というものがありました。
この祝日は旧約聖書の『出エジプト記』に因んだもので、当時エジプトの奴隷支配を受けていたユダヤの民がモーセに率いられてエジプトから脱した際の苦労を忘れないために代々受け継がれてきたものです。エジプト軍に追いつめられた時に海が二つに割れたという逸話はあまりにも有名ですね。

エジプトの追っ手から逃げながらの移動だったので、移動中はゆっくりとパンを発酵させて焼く時間が惜しまれました。ですから、手っ取り早く作れるイースト菌なしの「マツァ」と呼ばれるパンを代わりに食べていたそうです。

ペサハを象徴するこの食べ物、パンというより味のないクラッカーみたいな感じです。



いつ誰が決めたのか分かりませんが、いつしかこのお祭りではイースト菌の入ったパンだけでなく小麦を使った食品全般がマツァ以外は禁じられるようになり、そのおかげで8日間はパスタもダメ、クッキーもダメ、ビールもダメとダメダメ尽くし。たぶん麦焼酎もダメかもね。
それだけではありません。家中から小麦という小麦を処分するために日本の年末さながらの大掃除、普段使っている食器や鍋などの調理器具の類いも総入れ替え。スーパーなども小麦を含む商品を棚から撤回したり、あるいはカバーをかけて販売しなくなります。なんかもう、かなりストイック。

信仰心の厚い「ジューイッシュ・ポリス」(と勝手に命名。笑)からは非難されそうですが、わが家はゆるめ。明らかに小麦を使用した食品を口にしないという以外はだいたい普段通り。
それだけでも結構大変なのに、8日間のためだけに食器類や調理器具を揃えるのは私にはスケールが大き過ぎるというか、「どこに収納しとくんだ?」という感じで一歩を踏み切れないでいます。
主婦泣かせなのは毎日の食事の準備。子供たちが好きで手軽に作れるパスタやサンドイッチがダメ。「今日はちょっと疲れたから」と言ってピザを注文することもできず、家族には申し訳ないなと思いつつも後半はストレスで投げやりになってしまいました。


ペサハが明ける晩にモロッコ系のユダヤ人が行うお祝い「ミムナ」がやってきます。
これは「やっと小麦が食べられるぞー!」という喜びを小麦を使ったお菓子などを作って来客をもてなすもの。そして、私は何のご縁か正真正銘のモロッコ系の家庭へ嫁いでしまっていたのでした。

おもてなし好きの義母の本領発揮と言わんばかりのこの「ミムナ」、いつもは義母宅で催されるのですが、今回はわが家の長男の成人の儀「バル・ミツバ」のお祝いも兼ねるのでわが家で開催する運びに。
ペサハ6日目から義父母やその兄妹が連日わが家に泊まり込み。7日目は5人の宿泊客に7名追加の計12名、最終日はそれにさらに6人増えてそこにわが家のメンバーを入れると総勢22名の大晩餐会。それで終わらないのが最終日の「ミムナ」。

数日前から主人が親戚やら友人やらにご招待の連絡を入れていました。傍にいて把握できるだけでも軽く数十人。そこへ義父母たちがさらに遠い親族や自分たちの友人まで呼ぶので「こりゃ100人いくな。どこの物置のCMだよっ」と思っていたら、義母が私たちの知らない間に会ったこともないご近所さんにも声をかけていると聞いて軽い目眩・・・。
ペサハの食事制限のストレスに加え、家の中に自分の家族より多い人数が増えて寛げなくなっていたストレスも重なり、「おかんが強烈すぎてついていけない」とついには泣いてしまいました。

さて、いざ、ミムナの準備。わが家のキッチンとリビングは完全に義母の支配下。
家具の配置などでことごとく意見を却下され、ここ数日で溜まっていた感情がよろしくない方向へうごめき始めたので、子供たちに後を任せて自室でふて寝を決め込むことに。こういう時は距離を置くのが賢明です。

少しして部屋を出て行くと、義母は孫たちと一緒にのびのびと好きなように準備ができて上機嫌。私はというとまだあまり気が乗らないのですが、後はモロッコの音楽を流し、モロッコの民族衣装に身を纏い、来客を待つばかり。
8時半くらいからぼちぼち訪問者が現れました。9時を回ってからは勢いが増し、あっという間に庭にまで人が溢れかえる有り様。案の定、初対面の人もたくさんいて、中には最後までどこの誰だか分からない人もいました。恐るべし、おもてなし大王。

なんだかんだと11時半頃まで宴は続きました。
その間じゅう、私は次から次へとやってくるお客さんに挨拶をしてまわるのが精一杯で親しい人たちとゆっくり話せなかったのですが、その分たくさんの人たちから祝福の言葉をいただき、熱いハグをされ、「あ~、いつの間にこんなにたくさんの人に受け入れられていたんだろう。」と我ながら感動。かつては縁もゆかりもなかったはずの異国の地で抱く愛されている実感に数時間前までのお疲れ&イライラモードが一気に吹き飛ばされました。

存在感のあり過ぎる義母に振り回されがちな4日間でしたが、結局最後には、私たち家族のために熱烈な愛情をもっておもてなし役を全うしてくれたことに素直に心から感謝できる私がいました。(0時におかんの友達がやって来たのは今となってはもはやネタ。)
ちょっと現金かもしれないけれど、とりあえずそういう気持ちへ着地できたので「終わりよければすべてよし」ということで。



記念すべき長男の『バル・ミツバ』についてはまたこの次に。


ナマステ&シャローム
Nozomi






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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お義母さんw!! (佳代)
2012-04-17 01:38:13
こんにちは!
過ぎ越し祭のときには小麦製品はご法度というのは聞いたことがありましたが、
まさかここでも食器類やキッチン用品まで総とっかえするとは・・・!
しかもお義母さん強いですね~(汗)
のぞみさんのうちなのに彼女が指揮するとは。。あはは(汗)
でも長男君の「バル・ミツバ」、おめでとうございます。どんなふうにお祝いしたのかな・・・!そしてどんだけ人が集まったのでしょうか・・・(汗)
次のアップを楽しみにしていますw!!!
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☆ 佳代さん ☆ (Nozomi)
2012-04-17 16:48:57
こんにちは~。
あはは。うちの義母はどこに行ってもこんな感じでワンマンショーを繰り広げます。ある意味ものすごいオーラの持ち主でもあるのでしょう。パワフルで何よりというほかありません。
昨日は台風一過のような実に穏やかな一日でした。(笑)

長男のバル・ミツバはひとまずシナゴーグでの儀式のみを。パーティーは6月に予定していますが、招待客が200人超えしそうです。(苦笑)
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これはすごい (rie)
2012-04-17 20:43:35
読んでいるだけでこちらがくらくらしてしまいそうなご家庭のダイナミックさ。
nozomiさんタフですね(笑)
6月はさらにスケールアップされるようで、、、これはほんとすごい!
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☆ rieさん ☆ (Nozomi)
2012-04-17 21:14:01
タフにならざるを得ないといいますか...。
いやはや先週はアシュタンガ以上にインテンシヴな日々でした。
久々に自分の中心軸を完全に失っていたように思います。
6月のお披露目パーティーはイベント会場をお借りするので自宅で準備するものはほとんどないはず、と願うばかり。
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Unknown (yossy)
2012-04-21 05:08:13
着地点がフラットで良かったです。御疲れ~!
怪我の無いように、しばらくゆっくりしてね。人生色々な大変さがあるもんだと、勉強になりました。
そして、最後になりましたが息子君の成人の儀、おめでとうございます。
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☆ yossyさん ☆ (Nozomi)
2012-04-22 02:09:15
お祝いのお言葉ありがとうございます。
いやぁ~もう本当に疲れました。
今週はちょっとした放心状態で過ごしていました。
やっぱり週休一日じゃ足りません...。
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