ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

裁判における良心の問題

2008-12-12 14:32:58 | ときのまにまに
日本国憲法によると、「裁判官はその良心に従い、独立してその職権を行い(憲法第76条)」とあり、弁護士も弁護士倫理規定第19条に「弁護士は、良心に従い、依頼者の正当な利益を実現するように努めなければならない」と規定されている。裁判というような人間を裁く場において、最終的には法律よりも「良心」が問われているのは興味深い。ちなみに、検事には少なくとも法規的には「良心規定」はない。このあたりのことは素人にはよく理解できない。
ところが、まさにところがであるが、裁判官と協力して裁判に当たる裁判員には「良心規定」はない。そもそも、裁判員法には「良心」という言葉が一度も用いられていないらしい。なぜだろう。裁判官や弁護士は自由な意志に基づいて職務に就いているのであるから、「良心の自由」によって悩まされることはない筈であり、もし良心の自由が侵されるような場合には、その仕事を辞めればいい。ところが、強制的に裁判に関わらされている裁判員には「良心の自由」は保証されていない。なぜだろう。
おそらく、推測するところによると、裁判員が「良心の自由」を主張しだしたら、裁判所としては困るのであろう。何が困るのかは、それぞれ想像すればいい。要するに裁判員には「良心的判断」は必要ないと考えられている。というよりもむしろ、裁判員になる一般人の良心なんか信じていないのであろう。「この裁判に関する限り、あなたたちの良心は裁判官がお預かりいたします。あなたたちは、ただ専門家である裁判官の指導に従って、イエスかノーかを判断していただければそれで結構です」という姿勢がありありと見える。
この部分については、コリン・ジョーンズ『アメリカ人弁護士が見た裁判員制度』の165頁前後による。

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