ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

鈴木絹代詩集「ありがとう」(編集工房ノア)

2008-12-07 19:24:52 | ときのまにまに
大学(関西学院大学神学部)の同級生から、彼の奥さんの「詩集 ありがとう」が贈られた。帯にはこんな言葉が書かれている。「鈴木絹代さんは癌の告知を受け、入退院を繰り返し、それでも言葉を手離すことなく詩を書き続ける・・・・・・。この一日をつみ重ねて祈るように願いを込めて。生きているとは、すごいことなのだ。安永稔和」
鈴木君は学生時代は超真面目で、不真面目なわたしなどは彼のノートで無事卒業できたようなものである。彼は卒業後、教会の牧師になり、その後いろいろな「戦い」を経て、現在も彼独自の形で、宣教を続けている。
彼の奥さんも、わたしたち同級生の「仲間」である。彼女は7年8ヶ月前に卵巣癌の告知を受け、それ以後、家族をあげての闘病生活が続いている。
ともかく、彼女の透き通った言葉に触れていただきたい。

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母の顔を見たくて
ちょこっと里帰り
私は娘になる


長女が里帰り
私は母になる

そして
もうすぐ
私は祖母になる

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ドキドキ

知らない言葉が
ある言葉とつながった
知らない人が
ある人とつながった
知らない事が
ある事とつながった
もうドキドキ

この一年 数えきれない
ドキドキを感じてきた

新しい年も
この小さなドキドキを
感じていたい
それが私が私であること

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うれしいこと

私の作品がほめられると
プチ
プチ
プチ
細胞が
生きかえる

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生きていく

明日はどうなるか
誰にもわからない
今日一日を生きていく
私は
この一日を
つみ重ねていきます

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手をつなぐ

六甲おろしの吹く寒い夜
寮への道を
初めて夫と手をつなぎました
かじかんだ手が
からだ中が
ぬくくなりました
あれから
四十数年ぶりに
夫と手をつないで歩きました

病気もいいものだな

・・・・・・・・・・

生きていること

口から食べ
下から出す
このあたり前のこと
このすごいこと

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この詩集には、このような詩が64編も集められている。そして、「あとがき」は感謝の言葉が詰まっている。「あとがき」の最後に日付として「2008年10月25日 夫・鈴木慎梧の67歳の誕生日に」と書かれている。そうか、彼ももう67歳なのか。

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