ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

『日本の思想』、初版以来46年で第86刷

2008-11-08 20:12:29 | ときのまにまに
今日は久しぶりに博多に出たので、ついでにヨドバシカメラの3階にある「あおい書店」をのぞいた。結局、現在進行形(読みかけ)の本が数冊あるので、何も買わないで1時間ほど書棚を眺めて過ごした。近頃の大型書店は、「立ち読み」には寛容で結構楽しい一時であった。
それで、昨日も触れた、丸山真男氏の『日本の思想』が現在何刷りまで行っているのかと思って手に取ってみると、2007年12月5日の印刷が86刷ということである。わたしの手元にあるのが初版以来10年目の1971年9月10日印刷で第20刷なので、大雑把に言って、はじめの10年で20刷、46年目で86刷ということは初版以来毎年2回印刷発行のペースを維持していることになる。これはこの種の本としては驚異的記録である。
読み直してみると、マルクス主義についての議論や、労働組合の組織論、平和論争など、多少「時代」を感じさせるものもあるが、基本的なラインは今でも健在である。官僚制、マスコミ論など当時よりももっとひどくなっている。つまり、丸山氏がこの著書において提起した「タコツボ型の社会論」はますます顕著になり、しかもその弊害は深刻な問題となっている。
丸山氏が提起した視点で現代を切るならば、当時想像も出来なかったコンピューターの普及により、個人が拠り所としていた「タコツボ」さえ粉砕されてしまい、拠り所をなくした「孤人(個人の変換ミスではない)」が海底に沈み、泡だけを発しながら、「タコツボ」を懐かしがっている情景が見えてくる。ただ、例外的に官僚の「タコツボ」だけは、ますます健在で、肥大化している。これも結局、「甘い汁を分け合う」蜜蜂の巣状態になっている。
さて、麻生首相に蜂を眠らせて(黙らせて)、蜂蜜をごっそり取り出すことが出来るか、出来たら拍手喝采である。

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