ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

最後の一本

2009-09-10 15:08:40 | ときのまにまに
今日はとうとう最後の一本を抜いてもらいました。両親から貰った歯はこれで全部なくなってしまいました。
最後の一本になってから7~8年でしょうか。下の一番奥の臼歯です。最後に治療してもらってからは臼歯としての役割はほとんどしていなかったようで、役割はもっぱら入れ歯を支えるという1点だったようです。7、8年間もよく頑張ってくれたものだと思います。
2~3年ほど前からぐらつき始め、体調を崩す度に、「わたしがおまえの歯だぞ」と主張しているかのように、わたしを痛み付けます。そのときにはわたしが痛いのか歯が痛いのかよく分かりません。もちろん人工の入れ歯が痛むはずなく、その場合は口内炎といいます。
しかし、これを取ってしまうと「わたしの歯」が完全になくなってしまい、口の中が人工的なものによって占領されるような気がして、その度に騙し騙し残してきました。が、暫く前から、「もう駄目だ」と叫んでいるようでした。とくに刺激的な痛みを感じるというわけではありませんが、口の中が重く、発熱しているような感じが続いていました。本を読んでいても落ち着かず、冷たい水を要求してきます。
今朝、近所の歯科医院に出かけ診て貰いました。歯科医の見立ては「もう駄目だ」ということで、抜いて貰うことにしました。
「一寸痛いですよ」と言われ、いつ痛くなるのかどきどきしていましたが、口の中をゴチョゴチョ触っていたかと思うと、女性歯科衛生士から「水で口をゆすいで、暫く待ってください」とのこと。ものの数分ほど待っていますと、歯科医が「それじゃ抜きます」と宣言し、今度こそ口を大きく開けてヒヤヒヤしていますと「もう終わりました、口をゆすいでください」とのこと。もうほとんど自然に抜けていた感じです。治療椅子の横のテーブルの上には、やせ細り、傷付き、変色したわたしの歯が惨めな姿をさらしていました。わたしは思わず手に取り、心の中で「ありがとう」とつぶやいていました。不思議なことに、抜いてしまった後は、口の中のあの重苦しは消えていました。

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