ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

東野圭吾『仮面山荘殺人事件』

2009-05-14 08:40:44 | ときのまにまに
この作品を書くにあたって、作者は「推理小説につきものの結末部分の饒舌な謎解きをいかに排し、かつ物語の緊張感を持続させるかに心を砕いている」という。確かに、その努力は見られる。謎解きは登場する「名探偵」によってなされるのではなく、物語そのもの、筋そのものが語る。読者自身が最後のどんでん返しによって、すべてを了解する。
この作品は、この前に読んだ『ある閉ざされた雪の山荘で』とよく似た構成になっている。もっとも『ある閉ざされた…』の方では読者は、これは芝居なのか現実なのか最後まで悩まされるが、『仮面・・・・』では、芝居の稽古という設定であるにもかかわらず芝居っけが少しも感じられず、最後までいって成る程と思い、ホッとする。

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