HIRO-P'S ROOM

撮影場所:富山県 相倉合掌集落 2024年11月

紀伊半島縦断ツーリング R169~R168

2012-03-25 23:00:06 | バイクショートツーリング


 まだまだ朝晩冷え込みますが、「暑さ寒さは彼岸まで」の言葉通り、日中は過ごしやすい陽気となってきました。日も長くなって、明るい時間が増え、ちょっと得した気分(?)。先週20日は飛び休で休みだったので、久しぶりに紀伊半島縦断ツーリングにR1200GSで出かけてきました。

ルート:自宅(奈良・橿原)→(R169)→吉野→(R169)→熊野→(R42)→新宮→(R168)→十津川→(R168他)→自宅
距離:290km

 久しぶりの「紀伊半島縦断ツーリング」。行きはR169で帰りはR168で、距離は約300kmで、適度なワインディングが楽しめるボクおススメのコースなのだが、皆さんご存知の通り、この地域は昨年9月の台風12号で甚大な被害がもたらされた地域であり、今回その台風の後、初めて現地を訪れるツーリングとなった。紀伊半島を縦断するR168、R169は、谷間を沿うように走る国道なので、今まででも当ブログで紹介してきたように、土砂崩れによる通行止めによる迂回路を走ったり、ちょっと脇道の林道へ入ったりすると、コロコロ小さな石が斜面から落ちてきたりというのはあったけど、今回のように広範囲かつ大規模に災害が発生したのは、胸が痛む思いがする。まぁ「被災地」と言われる地域にバイクで足を踏み入れるのは、少し抵抗があるけど、これまで何十回と走ってきた地域なので、やはり現状というものを見ておきたい、そして少しでも地域の役に立てればと思い、今回のツーリングに出かけることにした。



 行きはR169経由で、ひとまず熊野市を目指す。朝冷え込んでいたけど、出発する頃には気温も上がってきて、絶好のツーリング日和になってきた。川上村の道の駅手前では、大規模な土砂崩れが発生して、対岸の道路が迂回路として設定されていた。土砂崩れの現場は、その対岸の迂回路から見たが、何台もの重機で復旧作業にあたられていた。記録的な大雨の影響だろう。R169の迂回路は、ここのみとなっていた。久しぶりに走るR169、以前と何かが違うと思って、吉野川の方を眺めてみたら、以前は遥か下に流れていた川が道路と同じくらいの位置まで水位が上がっている。そうか長年にわたって建設されてきた「大滝ダム」の貯水がようやく始まったのだということが分かった。家へ帰ってきてHPで検索してみたら、現在は試験貯水中とのこと。ボクがこのダムの建設を知ったのは、小学校1年の遠足の時、「バスで今通っている道が将来ダムができて水に沈みます」という説明を受けた時。それから28年経って、ようやく貯水が開始された。その間地滑りが発生して、色々と問題も起きている。道路は格段によくなり走りやすくなったけど、水面は以前見られた透明度の高いものとは違い、エメラルドグリーンになり、透明度は0になった。以前は見られた旧道も沈んでしまい、本当にこれでいいのか考えさせられる。



 伯母峰のループを快走し、伯母峰トンネルに入る。ここは少し車幅が狭くて、トンネル内を照らすライトもセンターに1列あるだけなので、いつ来ても不気味。まぁ夏場来たら涼しくていいところでもある。このトンネルがサミットで抜けると上北山村に入り、どんどん下っていく。



 道の駅吉野路上北山で一休み。大台ケ原を抱えるこの地域は、もともと多雨地域として知られるけど、この度の台風では、72時間雨量が統計が取られ始めた1976年以降で国内で最も多い雨量を観測したそう。総降水量は1808.5㎜に達したということで、とんでもない雨が短時間に降ったことになる。幸いR169沿線はバイクで見た限りは、以前と変わらない感じがしたが、見た目の交通量は減っており、この道の駅もガラガラ。以前なら、今日みたいな天気のいい祝日は、人であふれかえっていたのに・・・観光客、行楽客が減っていることを実感した。



 R42に入り、佐田坂を下っていくと、太平洋が見えてくる。この光景を見ると、「熊野に来たなぁ」とホッとさせられる。今日は、久しぶりに「鬼ヶ城」へ寄ってみた。国の名勝天然記念物に指定されており、海の浸食で造られた大岩壁が、来る者を圧倒させられる。





 この後、新宮までR42を走り、昼食を取り、R168で帰路につく。新宮市内も熊野川が氾濫して、テレビの画面では大規模な水害が報じられていたが、見た限りでは、以前の街に戻っている感じがした。鉄道も復旧して、「くろしお」が駅に停まっているのが見えた。ただ、R168に入った途端に、様子が一変して、今回の台風の凄まじさを実感させられることになった。道はあちこちで復旧工事中で、対面通行のある区間もあり、よく見れば、バス停の小屋が倒れているところもある。本宮までは川幅の広い熊野川に沿ってR168は走っており、川の増水による氾濫で国道まで水が溢れ返ったのだろう。所々、対岸の大規模な土砂崩れも見えた。「道の駅熊野川」と「道の駅ほんぐう」に立ち寄る。

   
↑道の駅熊野川のトイレ                       ↑道の駅ほんぐうの芝生広場

   
↑道の駅ほんぐうから熊野川上流を見る             ↑仮設の折立橋を渡る

まず「道の駅熊野川」に立ち寄る。もともとここは、トイレと最低限の施設しかなかったので、立ち寄ったのは2~3回だろうか。トイレは屋根が流されてしまい、無残な姿となっていた。近くにいた人の話によると、この建物の2階位の高さまで、川の水面が上がったとのこと。残念なことに、この道の駅は現在営業休止中となっていた。
次に立ち寄った「道の駅ほんぐう」は、この地域にツーリングに来たら必ずと言っていいほど立ち寄って、よく昼食をとったので馴染みのある場所である。建物は大丈夫そうだったけど、よく休憩場所として使っていた芝生広場や昼寝をしていた河原は流されて、重機による復旧作業が行われていた。この場所から見る熊野川の河原はかなり広く、川がどこにあるか分からないくらいだった。それが、増水によって川の流れが変わったのか、すぐそこに川が流れているのにはビックリした。ここが増水して水に埋まったというのは、にわかには信じがたい。



 道の駅熊野川から熊野川を望む。対岸に見える大量の土砂は、今回の台風で運ばれてきたものなのか、土砂崩れによるものなのか、R168沿線はもう半年が経とうとしているのに、傷跡が残っていた。なお、この場所からは4月1日より「熊野川川舟下りが再開される」と先ほどの人が言われていた。救命着を着た観光客がぞろぞろと河原へ歩かれていったので、何が始まるのかと思うと、今日はその試験運行の日だったそうで、川舟に分乗されるのが見えた。ちなみにここから少し上流に行ったところにある「瀞峡ジェット船」も運行が再開されており、R168からもウォータージェット船が進んでいるのが見えた。観光面でも復旧が進んでいる。



 同じ場所には、亡くなられた方の慰霊碑が立てられていた。この日は「彼岸の中日」。熊野川に向けて呆然と立ち尽くす人、橋の上から拝んでいる人の姿も見られた。亡くなられた方は和歌山県、奈良県だけで61名、行方不明者は18名。台風が去った後も、土砂ダムで避難を余儀なくされた方や仮設住宅に入居されている方、依然として不便な生活を強いられている方がおられることを忘れてはならないと思う。



 本宮の街を後にして、十津川の山間部へ入っていく。七色ダムの高架橋を走る。今年は梅の開花が遅れていることからも分かるように、山肌もまだまだ新緑の季節とは程遠い。



 折立の鉄橋は今回の台風で流されてしまい、仮設橋となっていた。ここから道の駅十津川郷までは、以前クネクネした1.5車線路が続いていたが、新しい道が出来上がっていて、あっという間に道の駅十津川郷へ着いた。ここは湯泉地温泉(とうせんじおんせん)があり、どちらも営業は再開されていた。今回は温泉には立ち寄らずに、道の駅下にある河原へ降りてみた。以前紹介したボクお気に入りの場所(記事はこちら)。小さな滝が見える素敵な場所なのに、いつ来ても人がいないという河原へ降りてみる。



 降りてみて、改めて土砂が多くなっていることに気付いた。↑の写真では左の方になるが、住宅の2階位の高さの土砂が堆積していて、今回の台風で上流から運ばれてきたのだろうか。川面が以前は手が届くほど低かったのに、今日は手が届かなかったことから、全体的に河原の高さが上がったようだ。以前はここでもよく昼寝をしたものだけど、ごつごつした石が多くて、今回は寝ころぶ気になれなかった。
 道の駅へ入ると、今回の台風で、増水した川の写真が展示されていた。この道の駅のすぐ下まで水位が上がっていて、尋常ではなかったことが分かる。喫茶コーナーでコーヒーを飲みながら、渓谷を見る。今はもう平常に戻っているこの谷を飲み込むくらいの水が押し寄せたと思うと、恐ろしい気がした。



 谷瀬の吊り橋は、今回の台風では大丈夫だったようで、以前と同じように渡れる。ここから先、旧大塔村は被害の大きかった地域の一つであり、その爪痕が残っている地域もあった。天辻峠を越える頃には日が傾いてきて、気温も下がってきた。西吉野村に入ると以前と変わらない感じであり、山一つ越えるだけで、こんなに差があるのかと改めて思わされた。

 今回のツーリングは、最初にも書いたように、「被災地」をバイクで走るのは少し抵抗がありましたが、復旧工事が急ピッチで進んでいて、走る分には問題がないことが分かりました。ただ、観光客が少なくなっていることは気になります。R169、R168一部区間は対面通行や迂回路がありますが、問題のない範囲であり、これからの新緑の季節、日帰り温泉と組み合わせて、ツーリングには気持ちのいいところなので、応援という意味で、これから少しでも多く足を運んでみたいと思います。



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