Elnady BM et al.
Prevalence and clinical significance of nonorgan specific antibodies in patients with autoimmune thyroiditis as predictor markers for rheumatic diseases.
Medicine (Baltimore). 2016 Sep;95(38):e4336. doi: 10.1097/MD.0000000000004336.
橋本病の患者さんではさまざまな自己抗体が陽性であったり、しばしば膠原病・リウマチ性疾患が合併したりすることが知られています。今回はそのような自己抗体の頻度と意義についてみています。
この研究では、まず[フェーズ1]として61名の甲状腺炎の患者さん(リウマチ性疾患や膠原病の症状がない方)と、甲状腺炎ではない健康な方61名とで、自己抗体の陽性率について調査。
次いで、[フェーズ2]として、その後の膠原病発症や自己抗体との関連について調べた、というものです。
結果としては、自己免疫性甲状腺炎の患者さんでは、抗核抗体が50.8%、抗dsDNA抗体が18%、抗ENA抗体がが21.3%、リウマトイド因子(RF) が34.4%にそれぞれ出現。いや抗核抗体こんなに高頻度なのか。思った以上です・・。
当然、健常人とは有意に異なる頻度であったとのことです (P<0.5と書いてあるんですが、それでいいのか・・・?)
そして全体の約3割(32.8%)が、2年間の観察期間中にリウマチ性疾患を発症。
抗dsDNA抗体陽性であった人のほうが明らかに高いリスク(抗体陰性の人に比べ2.45倍)あり。
その他、年齢、抗dsDNA抗体、抗CCP抗体、RF、甲状腺炎の罹病期間 が発症と関連していたとのことです。特に抗dsDNAとRFが最も強い予測因子でした (P<0.0001)。
ということで
自己免疫性甲状腺炎(橋本病)とリウマチ性疾患・膠原病との関連は予想以上に強いものがあり、上記のような自己抗体が陽性であることが判明したら、早い時期から膠原病内科医にコンサルトして慎重に経過をみていくことが重要である、と結論されています。
まあおおむねそうかなと思える内容です。実際にどんな疾患をどの時期に発症したのかは、原文を読んで確認してみたいと思います。
個人的にも、何か一つの自己免疫疾患があれば、その後別の自己免疫疾患が生じる可能性は少なくないと思うので、患者さんは心配しすぎず・でも油断せず、定期的に受診していただければと思います。