鏡海亭 Kagami-Tei ウェブ小説黎明期から続く、生きた化石? | ||||
孤独と絆、感傷と熱き血の幻想小説 A L P H E L I O N(アルフェリオン) |
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生成AIのHolara、ChatGPTと画像を合作しています。
第59話「北方の王者」(その1)更新! 2024/08/29
拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、 ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら! |
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メインヒロインの帰還
連載小説『アルフェリオン』の名場面を画像化する試み、AIのオボロさん(*)の力を借りて進めております。本日は、その第55話「五柱星輪陣(第一部)」の続きです!
(*)オボロさんとは「Editorial Oboro」(GPTsの機能を通じて小説広報支援用にカスタマイズされたChatGPT)のことです。多彩な機能のひとつとして、小説を読んでその内容を画像化することができます。
前回、「ディセマの海」の深海底にある闇の神殿にて、「試練」に敗れたエレオノーア……。
――もう、何が何だか……。わたし、今度こそ、本当に、消えちゃうのかな……。
薄れゆく意識の中で、エレオノーアは無表情につぶやいた。もはや視覚や触覚で感知できる世界であるとも、自身の内面に浮かぶ心象の世界であるとも区別できない、あらゆる雑多な感覚が交じり合い、煮詰められたような認識の淀みの中を、エレオノーアはいつ終わるともなく落ちていく。
そんなエレオノーアの前に現れたのは。
「こんにちは、わが友、遠き世界の闇の御子よ。私は、ミロファニア王女、ルチア・ディラ・フラサルバス。私のことを、人は《ミロファニアの時詠み》あるいは《光と闇の歌い手》と呼びます。そして、あなたも気づいているように、私も闇の御子です」
――ルチア・ディラ・フラサルバス。これまでに無数の世界に存在してきた御子たちの中でも、ごく限られた、本来の紋章の他に別属性のもう一つの紋章を併せ持つ、《双紋の御子》の一人ですね。しかも彼女は、右目にもつ《闇》の紋章に加えて、左目のもうひとつの紋章も、ほぼ完全に使いこなすことができました。他の《双紋の御子》は、申し訳程度にしか、二つ目の紋章を扱えないものですが。かつ、左目のその紋章は《光》。自然の四大とは異なる属性である光と闇の紋章をいずれも完璧に使える御子など、彼女の他には存在しません。でも……」
そこでエレオノーアは、心の内でこれ以上つぶやくことを戸惑った。
――でも、彼女は戦いませんでした。最後のときに至る直前まで。彼女ならば、《あれ》の《御使い》たちから世界を救うことができたかもしれなかった、にもかかわらず。
ルチアの残留思念は、エレオノーアに問いかけます。
「ねぇ、エレオノーア。あなたのお話の中のフィンスタルは、いまも微笑んでいますか?」
「勿論ですとも! フィンスタルは笑っています。いいえ、正しくは、私はフィンスタルに笑っていてほしいのです。私にとって、その物語だけが、空想だけが、くじけそうになる私の心を支えてくれました」
エレオノーアがルキアンに手渡した白い花、例の「ヴァイゼスティアー」の伝説が、ここで再び伏線として効いてきます。その最後の涙がヴァイゼスティアーの花になったという黒騎士フィンスタル、聖女への届かない想いの果て、彼は魔界の英雄へと堕ちた……その伝説からいわば勝手に二次創作して(笑)脳内でハッピーエンドに書き換えて妄想し続けていたエレオノーア。さすが、やることがルキアンそっくりですね(!)。
その一方、常にルチアの側にいて彼女を支えた騎士の名も、フィンスタル。伝説のフィンスタルと関係があるのか、それとも同名の別人? 彼の願いを裏切る結果になったと悔いるルチア。
「あなたの知っているフィンスタルという人と、私の知っているフィンスタルとの間にどういう関係があるのか、それは分からない。ただ、私の知っているフィンスタルは、いつも優しい目をして、静かに微笑んでいました。そして私を支えてくれました。しかし、私は、彼の願いを結果的に裏切ることになってしまいました」
「悲しい伝説よりも、絶望的な事実よりも、私は、たとえ作り物でも奇麗な物語が好きです。だから私が、あなたを助けます。さぁ、もう一度生きて、物語の続きを紡いで」
自身の虚ろな存在に苦しみ、それゆえに「試練」にも敗れたエレオノーアに、ルチアは告げます。
「大好きなおにいさんと、ずっと一緒にいたいですか?」
エレオノーアは、再び黙って肯いた。
一呼吸置いた後、ルチアは濃い茶色の髪を翻し、背筋を伸ばした。ゆっくりと、毅然とした声で、王女に相応しい品格で言葉が紡がれる。
「ならば、自分自身の存在に誇りを持ちなさい。彼の隣に胸を張って立てるように」
「あなたは、自分が虚ろで、どこにも存在しないのではないかと、不安で仕方がないのですね。でも私は思うのです。たとえ、《器》にされた他者の身体と、そこに《受肉》した《聖体》が交じり合い、そこから再構築され生成されたのが、それがエレオノーアであったとしても……冷淡な言い方をして、ごめんなさい……ですが、そのことは、あなたがあなたでないという理由にはなりません。あなたがどういう存在であろうと、いまこうして私が話している相手は、エレオノーア以外の何者でもない。あるいはルキアンの心の中でも、エレオノーアは、他の誰とも違うエレオノーアその人なのです」
(ルチアさん、あっさりと、凄いことを言いますね。他人の身体を媒介として、そこに意味不明な「聖体」が降臨して受肉したのがエレオノーアだとは……それでは、エレオノーア本人は一体何なんでしょう? 普通は、こんな事実を再確認されても、絶望するだけです。しかしエレオノーアも本当に強い……)
ルチアはエレオノーアの両手を取った。そして力強く伝える。
「そのエレオノーアのことを、ルキアンは大切に想ってくれているのでしょう? あなたが何であるのか、どんなふうに生まれてきて、どんなかたちで存在しているのかなんて、そんなことを問題にしているわけではなく、あなた自身として目の前にいるエレオノーアのことを、彼は見ているのではないですか」
「は、はい……それは、たしかに……」
「だから、私やルキアンにとって、《あなたは確かにそこにいる》のですよ、エレオノーア」
「あなたは、私の力を継ぐ者に相応しいと思うのです。まずは、私の《歌い手》の力を委ねます」
歴代の御子の中でも最も強い力をもっていたルチア。その想いを受け継ぎ、エレオノーアが目覚める。
――あまねく音を従え、この場を統べよ。私の《限定支配結界》、取り巻け、《言霊の封域》。
なぜか魔法少女っぽい姿で、覚醒エレオノーアを描いてしまったオボロさん(笑)。
先程の「試練」の際に彼女を苦しめた黒衣の存在を、「言霊の封域」の力で一蹴するエレオノーア。
それにもかかわらず、「試練の間」から出ることができないエレオノーア。この扉の向こうに、大好きな「おにいさん」がいるというのに……。
そのとき、ルキアンもエレオノーアの声に応えます。ここが見せ場だ、主人公!!
「想いの力を……想いの、力を……見せてやる!」
一転、ルキアンの目が漆黒色に変わる。紋章の輝きも閃光のごとく高まった。彼の心の中でも、《ダアスの眼》のイメージがいっそう大きく見開かれる。《盾なるソルミナ》の化身との戦いの中で口にした一連の言葉を、彼は無意識に繰り返し、半ば詠唱する。
僕は見た。
生命と因果律の樹の背後に開けた
底なしの暗き穴を。
始まりにして終わりの知の隠されし
静謐の座を。
大扉に当てられたルキアンの両手を中心に、闇の紋章と同じ形状の魔法陣が浮かび上がる。巨大な扉が震え、大きく揺れ始める。さらにルキアンの銀色の髪がそよぎながら、次第に灰色に、そして黒、ついには漆黒の色に変わった。闇の御子が全力で力を振るうときの姿だ。
これまでとは違う膨大な力が扉に流れ込み、表面に浮かんだ魔法陣を光となってなぞりながら、扉の中央に集まっていく。
ルキアンは激高してエレオノーアの名を叫んだ。それと同時の一撃で、扉の中心にひびが入り、周囲に広がる。金属製らしからぬ、ガラスが割れるような高く乾いた音がして、これを引き金に扉が真ん中から砕け散った。現実味が感じられないほど分厚く、重々しい鋼材の破片が、鈍い音と地響きを伴って床に次々と落ち、遂に、人がくぐれるほどの穴が生じるのだった。
「エレオノーア、君は僕の《アーカイブ》だ。なぜなら……」
ルキアンが両目を閉じ、ゆっくりと開いた。右目に闇の紋章。そして左目に輝くのは……。
いち早くそれを感じ取ったアマリアが、声を震わせて言う。
――あり得ない、そんなことは。《双紋の御子》が、同じ属性の紋章を二つ持っているだと? いまだかつて、そんな御子など誰一人としていない。
普段とは異なる冷厳とした口調で、ルキアンは続ける。
「なぜなら、僕のもうひとつの、左目の《闇》の紋章とエレオノーアの紋章は、いま結ばれるのだから」
――《アーカイブ》との契約を承認。両者の《紋章回路(クライス)》をスキャンし、リンクを準備中です。
えっ? ルキアンとエレオノーアが、普通に主人公とヒロインしている……。
――おにい、さん? おにいさんの闇が、わたしの中に、入ってくる……。怖いほどに、こんなにも……孤独で、痛々しい。これまで、寂しかったのですね……。ずっとずっと、辛かったんだね。
目に見える体の動きを生じさせる力は、もうエレオノーアにはなく、言葉を発することすらままならなかったが、彼女はルキアンに届けと心の中で思った。
――そうか、わたしと同じ、なんだ。こんなにも暗く、光の届かない心の闇を、独りで背負うことなんて、できないです。それでも負い続けようとして、ますます、闇は、深くなり、あきらめに押し潰されて、もう、取り返しのつかないほど心が侵食されてく……。それ、知ってます。
――あぁ、会えてよかった。わたしにしか、支えることの……できない人に。これからは、一緒に……背負わせて……ください。
まさかの展開!!
――リンクが正常に構築されました。《執行体》と《アーカイブ》の接続を確立。
自らの身体を取り戻したエレオノーア、そんな彼女を取り返したルキアン。二人は海底の神殿から脱出しようとします。
そのとき……。
な、何ぞ!? 二人を決して生きて返さぬよう、「時の司」が自身の力と本来の姿を分け与えた(劣化コピーの?)いにしえの四頭竜を送り込んできたのです。
どうするルキアン、エレオノーア!!
絶体絶命の危機を前にして、次回に、続きます(えぇぇぇ!?)
ちなみにエレオノーアは、以上の冒険の間、ルキアンに与えられた(やや露出の激しい)ワルキューレ風の姿をしていたのでした。しかし、オボロさん、いや、ChatGPTとDALL-E3さんでは、自主規制というのか、そのエレオノーアの姿をそのまま描くことができないようです。
そこで、規制のゆるい(苦笑)AIのHolaraさんに頑張ってもらいました。
妄想王ルキアンの支配結界の力で、強引にコスプレさせられた(?)エレオノーア。小説本編にも、そんな描写がありました。
「お、お、おにいさん? この衣装のこと、先にひとこと言ってください! ところでその、これ、おにいさんの好みなんですか?」
そんな二人の姿を横目で見ながら、フォリオムが高笑いする。
「ほっほっほ。惨めな少年少女を助けに来たと思ったら、あんな幸せそうな二人組は、なかなか見たことがないのぅ。まったく、《もう君たちに、これ以上の悲しい涙は一滴たりとも流させはしない》と、誰かさんがすまして言っておったが、ちょっと格好つかんかったかの?」
「良いではないか。私が流させないといったのは、あくまでも《悲しい涙》だ。うれし涙なら、いくらでも流せばよいであろう」
アマリアも微かな笑みを目に浮かべ、フォリオムの言葉に同調する。
最後に、凛々しいエレオノーアの姿も。
本日も鏡海亭にお越しいただき、ありがとうございました! 次回もお待ちしております。
ではまた。