鏡海亭 Kagami-Tei ウェブ小説黎明期から続く、生きた化石? | ||||
孤独と絆、感傷と熱き血の幻想小説 A L P H E L I O N(アルフェリオン) |
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生成AIのHolara、ChatGPTと画像を合作しています。
第59話「北方の王者」(その1)更新! 2024/08/29
拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、 ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら! |
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小説目次 | 最新(第59)話| あらすじ | 登場人物 | 15分で分かるアルフェリオン | ||||
受け継がれる想いの力、宿命を超えてゆけ!(更新予告)
こんな感じで、今晩深夜に更新予定です。連載小説『アルフェリオン』からAIさんと生成する名場面集、続編! かつての闇の御子ルチアから、エレオノーアに受け継がれる力と、そして哀しい記憶。
鏡海
エレオノーア、復活から覚醒(更新予告)
本ブログの連載小説『アルフェリオン』の名場面をAIさんに画像化してもらう企画、現在、第55話の分まで進んできております。エレオノーアが消滅の危機を脱し、自身の力に目覚める第55話からのAI画像集を、明晩、5/14(火)深夜にアップできればと考えております。お楽しみに!
鏡海
永劫庭園(エーヴィガー・ガルテン)!!
連載小説『アルフェリオン』の名場面集用に、アマリアさんがいにしえの四頭竜と戦うところをAIに画像化してもらったら、なかなか迫力のあるものができました。第56話、ルキアンたちを追って深海から上昇してきた竜に、地上で待ち構えていたアマリアの「《永劫庭園(エーヴィガー・ガルテン)》」が炸裂します。
今週はちょっとあわただしいのですが、すきま時間に、AIで画像生成です(笑)。
鏡海
「虚海」の深海底に隠された秘密に挑む――第54・55話、AIによる名場面画像集
連載小説『アルフェリオン』の名場面をAIのオボロさん(*)に画像化してもらう企画、本日は「ハルスの邂逅」編の第二回目です。
(*)オボロさんとは「Editorial Oboro」(GPTsの機能を通じて小説広報支援用にカスタマイズされたChatGPT)のことです。多彩な機能のひとつとして、小説を読んでその内容を画像化することができます。
早速、前回からの第54話「御子の力」の続きです。
不安定な「片割れのアーカイブ」であるがゆえに、この世に長年とどまることはできず、ついに消滅してゆくエレオノーア。しかし、彼女をこの世につなぎとめたいというルキアンが無意識に発動した、闇の御子の支配結界「無限闇」の力によって、エレオノーアの魂は蝶の姿となって、ルキアンの結界内にかろうじて存在を保ちます。
ルキアンが想像したものを創造し、結界内で実体化することができる「無限闇」の力は、エレオノーアをぎりぎりのところで助けます。しかし、エレオノーアを結界内に取り込んだ時……アーカイブの御子である彼女が本来そこに還るさだめであった広大な「ディセマの海」を同時に結界内に留め置き、維持しなければならないという絶望的な結果となります。
代々のアーカイブの御子の集めたほぼ無尽蔵のデータとアーカイブの御子自身の心とを保管する、現実と幻の狭間にある「ディセマの海」、あるいは「虚海ディセマ」。これを長時間にわたって実体化させ、維持しておくことは、ルキアンの御子の力をもってしても困難でした。彼の魔力が尽き、「虚海ディセマ」を結界内に実体化させておくことができなくなったとき、エレオノーアは今度こそ本当に消滅します。
ルキアンの視界が闇に落ちた。周囲の暗さのためではなく、彼自身がもう目を開けていられなくなったのだ。気を抜くと一瞬で意識を失いそうな中、ルキアンはうわ言のようにつぶやいた。
「誰か、力を、貸して、ください……。助けて……」
死にゆく二人に、天からの迎えの光か。にわかに暖かく眩い光にすべてが包まれる。
だが、それと同時に、光の向こうで力強い声が聞こえた。
――そうだ、諦めるな。君が最後まで諦めなかったから、私が間に合った。
ルキアンの背後で光が門のようなかたちを取り、その中から、白い衣の上に真っ赤なケープをまとった女性が、ふわりと舞い降りた。
大地の御子、アマリアさん登場! ルキアンの結界内に思念体を送ってきました。
「遅れてすまない。独りで、よく頑張ったな。この状況でも、そして今までも……。たった一人になっても戦い続けることができる者は、真の勇者だ。誰にでもできることではない」
「私はアマリア・ラ・セレスティル。《地の御子》、つまり君の友となる者だ。人は《紅の魔女》と呼ぶ。私が来た限り、もう君たちに、これ以上の悲しい涙は一滴たりとも流させはしない……。闇の御子よ、結界を上書きする。魔力を開放するから、気を付けて伏せていろ。大切なその子を吹き飛ばされないように」
アマリアが、地のパラディーヴァ・フォリオムの力を借りつつ、ルキアンに代わって「ディセマの海」の実体化を支えていてくれることに。その間に、ルキアンは「虚海ディセマ」からエレオノーアの身体を取り戻しに行きます。
「それに、ここが僕の支配結界の中で、今は魔法力も十分にあるのだから、だったら……」
彼は蝶のエレオノーアを掌の上に乗せ、じっと見つめた。
――君の姿は、はっきりと覚えている。
まさに、いま目の前にいる蝶のように、
森の小道をひらひらと舞うように歩き、
ルキアンを導くエレオノーアの姿。
振り返って、
いっぱいの笑みを浮かべる銀髪の少女。
自分の胸、心臓の上に掌を置き、
その上にルキアンの手を取って重ねる彼女の姿。
隣に座って、目に涙を浮かべながら、
これまでのことを語るエレオノーア。
ルキアンの前に立ち、
剣を構え、山賊たちと対峙する勇敢な後ろ姿。
純白のドレスを身に着け、
僅かに顔を赤らめながら
その姿をルキアンに披露するエレオノーア。
いま幸せであるということを
何度も何度も口にして、
突然に号泣し
ルキアンの胸に伏したエレオノーア。
《ヴァイゼスティアー》の白い花を差し出し、
いつになく真剣な目で
ルキアンを見つめるエレオノーア。
「まずは君の姿を呼び戻す。これから何が起こるか分からないあの《海》で、君が身を守り、一緒に戦えるように」
ルキアンが念じると、掌の上の蝶は激しく光を放ち、輝く霧のようになって背後に流れた。それは次第に人のかたちを取り、その細部がやがてルキアンのよく知るものとなって、彼の前にたたずんだ。
エレオノーアに一時的に実体を与えたルキアン。彼女は戦乙女ワルキューレのような姿に。いきなりルキアンに抱きつき、彼を押し倒してしまうエレオノーア。
「もしもまた、さっきみたいに消えて、今度こそ私が消え去ってしまって……おにいさんと二度と会えなくなったら、手遅れですから。いつそうなるか分かりませんし、いますぐにでも、こうして想いをぶつけておかなくては、と。本当に、本当に心残りだったんですよ? このまま死んじゃうのかなって。でも今のは一方的だったですね。嫌でしたか? おにいさん」
色々と事情があって、いまさらながら恥じらうエレオノーア(苦笑)。
覚悟を決め、「虚海ディセマ」の深海底の奥底に向かうルキアンとエレオノーア。
ここは幻の世界なので、何でもできます! 「妄想王」ルキアンの本領発揮です。
幻想的な、ファンタジー物らしい場面(!?)が続きます。
深海のそのまた深奥、ルキアンたちは海底に眠る謎の神殿に到達します。
最後まで一緒だと誓った二人。しかし、巨大な漆黒の扉が二人を引き裂きます。この中にはエレオノーアしか入れません。自身の身体を取り返すために、単身で扉の中に吸い込まれてゆくエレオノーア……。
彼女の前には、黒いローブをまとった3体の謎の存在が現れ、「試練」を課します。
「僕らが何をしたの? 僕は、ただ、その日まで遊んだり、ご飯を食べたりしていただけなのに、ママと引き離されて、何も分からないまま、《受肉(インストール)》された《聖体》に適合できず、体がバラバラになって死んだんだよ。おねえちゃんだけ、なんで生きてるの?」
「ねぇ、知ってるよね。《ロード》が実行されるときには、町や村がひとつ、まるごと生贄にされるんだ。おねえちゃんが生まれたせいで、どれだけ多くの人が犠牲になったと思っているの?」
「そんなに沢山の、罪の無い命を踏み台にして生まれて、どうして平気で生きていられるのかな。何も感じないの? おねえちゃんには、人間の血が流れていないの? 生まれてきて本当にすみませんでしたと、床に頭を擦りつけてみろよ。そして消えてしまえ!!」
エレオノーアは必死に抵抗します。
「私を生み出すために犠牲にされた人たちに対しては、お詫びの言葉をどんなに尽くしても、決して足りることはないと思います。でも、それでも……」
「それでも、何といわれようと私は生きて、おにいさんと一緒に《御子》としての使命を必ず果たします。たとえ、血だまりの中から創り出されたのだとしても、どんなに忌まわしい存在でも、それでも生まれてきた御子が世界を救わなければ……生贄にされた人たちは、ただ意味もなく命を奪われたことになってしまう。私は嫌です、そんなこと!」
しかし……。謎の存在たちから、エレオノーアは「弱点」を突かれます。
「違う。それはあなたが決めることではない。そうやって図太く生き延びて、犠牲になった多くの魂をいつまで冒涜し続けたら気が済むの?」
「そういうこと、言ってもどうせ無駄かしら。生贄にされた人たちの命や御子の使命なんて、建前で挙げているだけで、あなたにはどうでもいいことなのでしょう? 本当はただ、愛しい《おにいさん》と一緒にいたい……あなたが考えていることは、結局、そればかり。もっと本音のところでは、《おにいさん》に抱かれたくて、いつも妄想に溺れている気持ちの悪い女。それがいかにも理想に殉じるという顔をして、この、嘘つき、けだもの!」
「あんたは御子であるよりも先に、女としての自分の欲望にばかり忠実に動いている。普段は少年みたいな格好をして、何も知らない純朴そうな顔をして、とんでもない子だよ。あんた、ルキアンに言ったね。《日が暮れると、もっと寂しくなってきて。おにいさんのことが、どうしようもなく気になって……》」
そりゃ、「ヒロイン」にも欲望はあるでしょうから、仕方がないよね……と思いつつも衝撃的なシーンが。
「《ベッドに入っても眠れなくて、とてもとても切なくなって、おにいさんのことを想うと身体が熱くなって、そして……そして私は……》。そして、それからどうしたの?」
「どうって、それは……」
そこで言葉が終わったまま、エレオノーアはしばらく彫像のように動かなくなった。
彼女自身からの答えが返ってこないことを確認し、《それ》が手をゆっくり上げると、壁に掛けられた大きな鏡の表面が次第に渦を巻いて何かの形を取り始める。
まもなく、魔法の鏡に浮かぶ絵姿がはっきりとして、そこに何が現れるのかを理解せざるを得なくなると、エレオノーアは平静を失い、拒否の言葉を繰り返した。
「い、いや、いやです……。見たくないです、見せたくないです、やめてください」
「お願いです、お願いですから。これ以上は、もう……許して、ほしいです」
だが懇願の言葉は無視され、鏡の中のエレオノーアは、布団を首まで深めに掛け直すと、思い詰めた表情で目を閉じた。ベッドに身を横たえたまま、やがて彼女は幾度も《おにいさん》と口にし、切なげな表情で身悶えを繰り返す。その尊い名が唇からこぼれるたびに、それに呼応して吐息は荒くなり、銀の髪は乱れ、紅潮した頬だけでなく、耳から、首筋から、体中が次第に薄紅色に染まっていく。
「おにいさん。早く会いたいです、わたしのおにいさん……」
上気した顔のエレオノーアが、絞り出すように、うめくように、恍惚としてつぶやく。
その姿は、それ自体としては決して恥じるべきものでもなく、美しかったにせよ、この場においてはエレオノーアの敗北を暗示していた。
気が動転して頭の中が空っぽになったまま、エレオノーアは精一杯の勇気を振り絞り、途切れ途切れの言葉で言い返した。
「た、たとえ、はじめは妄想でも……ひ、人を……人を愛しく思って、切なくて、辛くて……それで……その、どうしようもない、気持ちを、何とかしたくて……その、それの、何が……悪いの、ですか」
率直な気持ちをぶつけるエレオノーア。そんなエレオノ―アと同じ顔をもつ存在が、彼女を罵ります。
「ねぇ、あなたが欲望を実感しているその体は、もともと、私の体を《器》にしたものだってことを、忘れていないでしょうね。他人の体を勝手に乗っ取って、さも人間であるような顔をしている化け物。これ以上、私を汚さないで! その体も魂も、何一つ、あなたのものなんて無い!!」
両手で顔を押さえてすすり泣きながら、とうとう、エレオノーアの心は真っ二つに折れてしまった。
――はい……。あなたの言う通り、私なんか、最初からどこにもいなかったのです。この体となった《聖体》も《器》も、どちらも私ではありません。そう考えている私の心さえ、この私自身だって……《聖体》が人間を演じている結果、仮に生じただけの、虚ろな現象に過ぎないのかもしれません。
エレオノーアは、うわごとのように繰り返した。
「私は《消えてしまった》のではなく、どこにもいなかったのですね。そうです、いないのです」
彼女の周囲の床の色が、白い紙に絵の具の染みが広がるように、徐々に真っ黒に変わり始めた。煉瓦の床が溶け出し、泥沼と同様の様相になる。その中から、死霊を思わせる枯れ枝のような細い腕が何本も伸びてきた。それらはエレオノーアの手や足、体中に取りついて、彼女を底無しの暗闇に引きずり込んでゆく。
――それでも、もう一度だけ会いたかったです。おにいさん……。
エレオノーアは、《試練》を超えられなかった。
そして《ディセマの海》に、永遠に沈む。
えぇぇぇ!? 「消える消える詐欺」(?)と言われてきたエレオノーアも、今度こそ本当に、この世界から完全に消滅してしまうのか。続きは次回にご期待ください。
本日も鏡海亭にお越しいただき、ありがとうございました。
次回もお待ちしております。
ではまた!
孤独と絆の物語――いま、宿命を超えろ!!
本ブログの連載小説『アルフェリオン』各話からAIが画像を生成する名場面集、第54話および第55話の分を次回にアップする予定です。できれば、明日というか本日、5/12(日)の深夜に。ルキアンとエレオノーアの「絆」の強さは、二人の宿命を変えるのか!? ご期待ください。
鏡海
消えたくないです、生きたいよ……エレオノーアの願い。
連載小説『アルフェリオン』の各話をもとに生成される、AIのオボロさん(*)による名場面集。いよいよ「ハルスの邂逅」編に入ります。ここに至る「深淵」編からワールトーア編の流れの中で、深く傷ついてゆく主人公ルキアン……。ある意味で「どん底」状態から迎えた第53話「光翠の谷を越えて」なのでした。
(*)オボロさんとは「Editorial Oboro」(GPTsの機能を通じて小説広報支援用にカスタマイズされたChatGPT)のことです。多彩な機能のひとつとして、小説を読んでその内容を画像化することができます。
それでは、さっそく参りましょう。
どこまでが現実でどこまでが幻だったのか、曖昧なままのワールトーア村での出来事を経て、いわば「ループ2周目」的なかたちで、ルキアンとブレンネルは「再び」しかし「初めて」出会います。ここまでは、まだ第52話のお話です。ミルファーン王国に向かうルキアンに、助力になりそうなとある人物をブレンネルが紹介してくれるとのことで、彼らはオーリウム王国とミルファーン王国にまたがる辺境の地、ハルス山系に向かいます。アルフェリオンで飛べばあっという間です。
ちょっと格好いいルキアン(笑)とアルフェリオンノヴィーア・フィニウスモード。
目的地は、ハルスの森に包まれた渓谷の奥地。一方、そこでは、朝からせっせと洗濯に勤しむ少女が。
彼女は何かの予感を覚えたようです。おそらくオボロさん、あちこちでせわしなく洗濯物を干す彼女の姿を描こうとしたのでしょうが、なんだか分身したみたいになってしまいましたね。
この地に隠棲しているのは、ブレンネルの古い知り合いで、ミルファーン王国の特務機装騎士団「灰の旅団」の元団員、リオーネ・デン・ヘルマレイアでした。かつてミルファーン最強の機装騎士とよばれ、シェフィーアさんともかかわりの深い人物です。
そんなリオーネのもとには、ルキアンに対して妙に距離感の近い「少年」エレオンも……。
おにいさん、おにいさんと、一方的にすり寄ってくる少年に、戸惑うルキアン。ルキアンのことを唐突に「御子」だと言い、何か様々な秘密を知っているような、不思議な少年。その正体は?
いや、この画像では、もう明らかに女の子になってしまっているのですが(苦笑)。
次第に「少年」エレオンに惹かれていくような、奇妙な気持ちにとらわれるルキアン……。いや、これはもはや美少女。
「僕の好きな花、おにいさんにあげます。花言葉は《あなたに、すべてを捧げます》」
「それは嘘、うっそでーす! びっくりしましたか?」
「本当は、この花はヴァイゼスティアーといいます。いにしえの勇者の時代、聖女を愛し、想いが届かずに魔界側の英雄へと堕ちた人の、最後の一粒の涙の生まれ変わりと言われています。そこが好きなんです。僕は、魔界に堕ちていった人の側の人間でしょうから」
「あ、おにいさん。今の言い伝えを聞いて、一瞬、何か共感するところがありましたね……」
「闇、深いですね」
夕食のために魚を釣りに来たエレオンと、一緒に動員されたルキアン。二人はいい感じで親密になっていきます。そして、ふとしたことから、エレオンが女性であることを知るルキアン。「彼女」の本当の名は、エレオノーア・デン・ヘルマレイア。
彼女自身も闇の御子であること、正確には、「聖体降喚(ロード)」が失敗し、対になる執行体の御子を失って生まれてきた、不完全な「片割れ」のアーカイブの御子であることをルキアンに明かします。また、「ロード」の残虐な実態をも。
ラブラブな二人の世界に嫉妬する「監視者」ヌーラス・ゼロツーが、意地悪く山賊を彼らにけしかけます。
実はルキアンよりも遥かに戦えるエレオノーア。「僕、これでも結構強いんです」
勇ましいエレオノーアさん。このあたりから、第54話「御子の力」に入ります。
しかし、ルキアンがヘマをして敵の人質になってしまったため、エレオノーアは山賊に降伏し、捕らえられることに。
これからどんな目にあわされるのか、恐怖でいっぱいのはずなのに、毅然と覚悟を決めるエレオノーア。
大切な「おにいさん」の命を助けるために、エレオノーアは無抵抗のままで、山賊に嬲り者にされそうになります。そのとき……。
な、何ぞ!? 多数の骸骨の騎士が地面から呼び起こされ、山賊たちを襲います。ルキアンに力を貸したのは……いや、エレオノーアを助けるためにルキアンの体に憑依したのは、かつての闇の御子、ルカの残留思念でした。ルカは僧侶であり、かつ、死霊術師(ネクロマンサー)です。詳しくは小説本編でどうぞ。
こわかったです、おにいさん……。
とっておきの衣装に着替えたエレオノーア。
その夜、リオーネのもとで、ささやかな夕食会が開かれます。
冷涼な谷間の流れが奏でる、さらさらとした響きを背景に、エレオノーアの声だけがぽつんと響いた。
「わたし、幸せです」
残りの三人は食事を続けながら、彼女の言葉に頷いている。
「はい。とても幸せです」
先程と同様に、三名は黙って頷いている。
「わたし、こんなに幸せです」
なおも……。
だが次の場面で、エレオノーアは突然大声で泣き出した。
「私、わ、わたし、こんなに幸せで、こ、こ、こんなに幸せで……いいのかな!?」
不意に号泣し、周囲も気にせずとめどなく涙を流して、天を仰ぎ見るエレオノーア。
ルキアンは慌てて胸元からチーフを取り出し、彼女の涙を拭おうとする。だがエレオノーアは首を振って断ると、三人の目をはばからず泣き続けた。
「おにぃ、さん……」
幸福の絶頂の中、突然に消滅し始めるエレオノーアの体。せっかく「おにいさん」に、やっと会えたのに!
(今回は、AIのHolaraさんも画像生成に頑張ってくれました。以下、一部、絵柄が違うのはそのためです)
「私、消えちゃうみたいです……。いつか、こんな日が来ると覚悟はしていました。《片割れのアーカイブ》は、《聖体》の定着が不安定なため、独りでは長く存在できないのです」
「私だって、消えたくないです。生きたいよ……。だけど、私を作り出すために生贄にされた人たちは、同じように、生きたいと願いながら、命を奪われていったのですよね。そのこと、ずっと考えないようにしていました。怖かったから。それでも、本当は生きたいです。自分だけ助かりたいという私は、地獄に落ちますか?」
「もうお別れのようです、おにいさん。会えて、一日だけど一緒に居られてよかった。それだけで、私は世界で一番幸せでした。でも、もしもひとつだけ願いが叶うなら」
彼女は、静けさの中に寂しさがあふれ出しそうな、微かな笑みを浮かべた。
「おにいさんのアーカイブになりたかったな……。だって、私は」
もう生身の体すらなく、影のように揺らめくだけのエレオノーアが、ルキアンに口づけをした。
最後の言葉を残して。
「わたしは、あなただけのために咲く花です」
このままエレオノーアは消失してしまうのか。この後の超展開に次ぐ超展開で(?)、エレオノーアを取り戻せ、ルキアン!! 次回に続きます。
本日も鏡海亭にお越しいただき、ありがとうございました。
ここ2、3日、5月とは思えない冷え込みもありましたが、今日からは再び穏やかなようです。良い週末をお過ごしください。
ではまた!
更新遅延のお知らせ(陳謝)とメインヒロインのタイトル画像
連載小説『アルフェリオン』、AIさんによる各話名場面集を今晩更新の予定でしたが、現実世界の方で急な仕事が入ったので、明晩に延期させていただきます(今晩というより、もうすぐ朝ですね。汗)。今晩(今朝)のところは、メインヒロインのエレオノーア嬢を主役にした上掲のタイトル画像でお楽しみください。エレオノーア、遅れて来た初登場からいきなりルキアンに一方的に懐いたかと思えば、山賊につかまって大ピンチに……。間一髪で切り抜けるも、今度は、この世から消滅してしまうかもしれないなんて!? お騒がせヒロインの魅力(?)の詰まった第53話と第54話の名場面集、ご期待ください。
鏡海
実は女の子だったりします(更新予告)
連載小説『アルフェリオン』の名場面をAIで画像化する企画。第1話分からスタートし、現在、第53話まで進んで参りました。メインヒロインのエレオノーアがいよいよ登場する第53話「光翠の谷を越えて」のAI画像集、本日(5/9)深夜に更新予定です。
鏡海
AIによる名場面集 ワールトーア編から「ハルスの邂逅」編へ
こ、これは……。連載小説『アルフェリオン』各話の名場面をAIのオボロさん(*)に画像化してもらう企画、好評継続中です。ワールトーア編が堂々の(いや、超展開の?)完結を迎え、続く「ハルスの邂逅」編にて、いよいよ本作のメインヒロインであるエレオノーアが登場します。ここまで本当に長かった……。「もう大丈夫なのです、わたしのおにいさん!」(by エレオノーア)
(*)オボロさんとは「Editorial Oboro」(GPTsの機能を通じて小説広報支援用にカスタマイズされたChatGPT)のことです。多彩な機能のひとつとして、小説を読んでその内容を画像化することができます。
それでは、ワールトーア編の最終回・第52話「師と真実」から。
「いらない子」のルキアンがシーマー家に預けられた過去、その実態。これまでにルキアンの辿ってきた18年の人生が、すべて「月闇の僧院」の掌の上で、予め定められた通りに操られていたことが暴露されます。
僕は《ルキアン・ディ・シーマー》、この家の子です。さようなら、師父様(マスター)。
自身がこんなカルト教団みたいな連中(!?)の操り人形だったと知り、ルキアンの衝撃はどれほどのものだったか。
でも、オボロさん、白ずくめの僧侶たち……ちょっと、多すぎません?(笑)
小説本編において、実際にシーマー家にルキアンを連れてきたのは、マスター・ネリウスとヌーラス・ゼロワンとあと一人、計3名でした。万一、この画像の場合のようにゾロゾロと押しかけてきたら、それは引きます(苦笑)。
でもマスター・ネリウス個人は、幼かったルキアンのことを大切に想っていたのですよね?
そして明かされる、ワールトーア村の惨劇、「聖体降喚(ロード)」の真実。
アリーオとエメレーアの姉弟は、「聖体」がこの世に顕現し「真の闇の御子」が生まれるための生贄とされます。
たとえネリウスが、時折、人間らしい一面を垣間見せても……同時に彼は、何の罪もない幼い姉弟が「聖体降喚」の犠牲となって散ってゆくおぞましい場面を見守り、術式の完成を粛々と進行させていたのです。この落差、矛盾が……。
胸が詰まります。なぜ彼らが犠牲にならなければいけなかったのでしょうか。もし二人が「適合者」でさえなかったなら……。
発動された「聖体降喚」、初めてにして最後の成功例。血溜まりの中から生まれた、決して歓迎されない救世主、真の闇の御子ルキアン。
オボロさんが描いた「聖体降喚」とその犠牲となるワールトーア村のイメージ。
現在のルキアンの魔法の師であったカルバ先生、すなわちその正体である「月闇の僧院」のマスター・カルバと、そして幼年時代のルキアンを育てたマスター・ネリウスと対面して、ルキアンの記憶の封印が一時的に解けてゆきます。
幼年時代の幸せなひとときの記憶。
傷つき、濁ったレンズの向こう側を垣間見るように、ぼんやりと、緑の中に溶け込んだ三つの人影が、ルキアンの心の目に映った。
荒削りの木材でできた粗末な野外用の食卓につき、黒い衣をまとった体格の良い僧が、おそらくは礼拝時よりも省略されているのであろう、簡易な作法で祈りを捧げている。
「いただきます、神様、師父様!」
そう言った幼子の頭を、大きな手が撫でた。
「すごい、大きいの釣れたね、師父様!!」
苔むした岩壁と木々に囲まれた谷川で、竿を握り、丸々とした立派な渓魚を釣り上げたネリウスに、目を輝かせて銀髪の幼子が駆け寄った。その後ろから、同じく銀色の髪の少女が、彼が足を滑らせないかと心配そうに見ている。
男の子が無邪気に笑う。
「師父様! えへへ。一回だけ、その・・・今だけ、《パパ》って呼んでも、いい?」
隣で微笑んでいるのは、彼よりも背の高い、おそらく姉のような女の子。
流行り病か何かにかかったのか、顔を赤く染めてベッドに横たわっている銀髪の幼い少年。苦しそうな吐息。そのか細い手をしっかりと握るネリウス。例の女の子が、水を入れた桶と手拭いを運んでくる。
だが、幼年時代の眩いばかりの記憶に、次第に濃い霧がかかる。大切な思い出を暗闇が呑み込んでいく。そして最後に残されたひとこまは、《あの日》の夜のことだった。
青みを帯びた墨を平板に広げただけのような、月の無い夜のもと、茫漠とした空と枯れ野。あちらこちらに、黒く点々と、寒村のみすぼらしい家々の影が見え、その真ん中に、ただ規模は大きいにせよ古ぼけて荒れた館が、置き去りにされている。
門の前に立つ二人は、この館の主人とその妻であろう。彼らと向き合っているのは、頭巾から長衣を経て足首まで、すべて白ずくめの、闇夜に漂う亡霊のごとき、あるいはどこか邪教の神官を想起させる、異様な装いの三人である。
真ん中の一人が、僧衣には似つかぬ逞しい腕を伸ばして言った。
「《ルキアン》、ここが君の家で、こちらが君のお父さんとお母さんだ」
その手の先をぼんやり見上げながら、幼い銀髪の少年が、何か別のものに憑かれ、言葉を口にさせられているかのように、遠く虚ろな目でつぶやいた。
「はい。僕は《ルキアン・ディ・シーマー》、この家の子です。さようなら、師父様(マスター)」
およそ意志の力を感じられない、抑揚を伴わない声で。
ネリウスが起動させた旧世界の遺産「絶界のエテアーニア」の力によって、ワールトーアで起こったことの記憶をすべて奪われ、さらに、幼い頃のネリウスとの幸せな日々の記憶をも再び封印されるルキアン。
「見ひらけ、針を戻せ……《絶界のエテアーニア》」
彼が口にしたのは、旧世界のある種の至宝を起動させるときに一様に似たような語調で唱えられる、例の力の言葉だ。同時に心の中では、このように自分に言い聞かせながら。
――これで良い。あの日々を再び失うのは辛いであろう。だが、私のことなど……《あの子たち》のことも……そして、お前の《姉》のことも、元のように記憶の海に、深い深い海に沈む。
――ただ、再び我が名を、そしてまた師と呼んでくれたことは……。
ネリウスの銀の杖が、床を鋭く突いた。その清冽な響きとともに、得体の知れない力が、それも途方もない魔力のうねりが、聖堂を飲み込み、さらにはワールトーアの失われた村を覆って、寄せる波のごとく、一面の緑濃い木々の間をも騒がせ、流れ去った。この聖堂の地下に何かがある、あるいは何か巨大なものがいる。
「さらばだ、ルキアン。かつて幼かった弟子(わが子)よ」
ほんのわずか、瞬く間のみ、遠き想いに浸る言葉。
それだけを残すと、《転送陣》を描いたネリウスの姿も虚空に消えた。
深い森の中に、ひとり、取り残されるルキアン。
「どうしたのかな? 本当に、僕、ここで何を」
何の前触れもなく、激しい感情が体の奥底から湧き上がってくる。ルキアンは呆然と天を仰いだ。
「分からない。けど、どうして……。どうして、こんなに」
ルキアンは震える声で言った、いや、むしろ、咽び泣いた。
「こんなに、涙が……止まらないのかな!?」
自分でも理解できないまま、ルキアンは空っぽの胸を、両手で抱きしめた。膝立ちのまま、彼は独りで涙を流し続けた。
ここで第52話の冒頭と同じような場面までループして、再度、ルキアンがブレンネルと出会って似たようなやり取りを繰り返すところが、地味に泣けてきます。
ただただ辛く、哀しい、伝説の廃村ワールトーアでのルキアンの経験でしたが……。この後、ブレンネルと共にハルス山地に向かったルキアンを、待ち続ける者がいました。
川辺で洗濯物干しのシーンから登場する、銀髪の少年……のような少女。
「はい。今日は、きっと何かが起こります」
「分かります。感じます。やっと会える……。私の大切な」
――おにぃ、さん。
心の奥にしまっておくようにそう付け加え、《彼女》は振り返ると、両の掌を胸元で握り合わせた。自らに花の色の漂うことをまだ知らない、男の子のような横顔から、しかし伸びる柔らかな輪郭線は、この子がいずれひとりの女性になることを告げていた。
「ずっと、待ってたのです」
「おにい、さん」
ナッソス家との決戦の場面から、悲痛のどん底にあったルキアン。このタイミングでエレオノーアが登場するのは、さすがメインヒロインというところです。彼女が全てを変え、『アルフェリオン』という物語すらも変えてゆくことになるのは、その後の展開の通りです。
本日も鏡海亭にお越しいただき、ありがとうございました。
引き続き、「ハルスの邂逅」編の名場面を、AIさんと一緒に、皆さんと共に想い起して参ります。ご期待ください。
ではまた!
ひと足早く爆誕!?
やばい、メインヒロイン爆誕!! エレオノーアが登場していると、お話の安定感がやはり違います(笑)。連載小説『アルフェリオン』からのAI画像による名場面集、今晩深夜に更新予定です。ひと足早く第53話分も少し用意してみました。まだ少年エレオンと名乗っていた時のエレオノーアですね。
鏡海
第52話「師と真実」名場面集、ご期待下さい(更新予定)
AI画像で辿る、連載小説『アルフェリオン』名場面集、いよいよワールトーア編最終話に当たる第52話「師と真実」に入ります。本日(5/7)深夜に更新の予定です。
上のタイトル画像を見て、複雑な想いになって泣けてきました(←さ、作者!)。ルキアンの「幸福」な幼年時代の記憶が遂に蘇ります。しかし、それは同時に、幸福であってはならなかったであろう「父」と「子」(師匠と弟子)の物語。その理由は上掲画像の右側の列が物語っています。ルキアンとマスター・ネリウスの師弟、エメレーアとアリーオの姉弟が、それぞれ辿った道があまりにも辛いです。
この物語がいよいよ本気を出してきた(?)ワールトーア編、共に振り返ってみましょう。ご期待ください。
鏡海
一瞬から永遠に転化するような輝きと、その裏側に口を開ける底無しの闇
連載小説『アルフェリオン』の名場面をAIのオボロさん(*)に生成してもらう企画、いよいよ山場に入って参りました。上記のタイトル画像は、第51話「時の止まった村」および第52話「師と真実」からの素材を使ったものです。主人公である闇の御子ルキアンの秘密と「聖体降喚(ロード)」の核心に迫る部分なのですが……世界と人類を救うためには、つまりは「あれ」によって世界が「リセット」されることを止めるためには、「結果を出せる」方法はあっても「正しい」方法などないのです。こんな形でしか世界を救えないなんて。それでも「救った」といえるのか? 何を、誰を? 詳しくは小説本編でご覧ください。
(*)オボロさんとは「Editorial Oboro」(GPTsの機能を通じて小説広報支援用にカスタマイズされたChatGPT)のことです。多彩な機能のひとつとして、小説を読んでその内容を画像化することができます。
それでは、第51話からの画像です。時に失われたワールトーアの廃村に辿り着いた、いや、引き寄せられた(?)ルキアン。
ワールトーア村の各所のイメージ。いずれも、絵の全体的なタッチが、不吉な今後を暗示しているような感じがします。ここで何が起こるのでしょうか。
そんなルキアンが、まさかの人間とも遭遇します。一見して微妙にチャラくて胡散臭い自称作家(苦笑)のパウリ・ブレンネルですね。
しかし、このブレンネルが、本人自身も知らず・意図もしなかったにもかかわらず、ルキアンが自身の秘密と向き合い、さらにはヒロインのエレオノーアと出会うことを、そしてシェフィーアさんと会うためのコネクションをルキアンたちが得ることを、すべてお膳立てするという大金星な結果をもたらすのでした。
ちなみにこちらは、ルキアンとブレンネルが出会った場面のボツ画像で、ブレンネルがちょっと格好良すぎました。
そしてブレンネルが語る、ワールトーア村の「狼狩りの男」の伝説。まず、下の絵は色々と細部がおかしいのですが、それでも雰囲気はあります。伝説のことをオボロさんが見事に画像化してくれました。
かつてのワールトーア村を襲う恐狼(ダイアウルフ)の群れ。
病の体に鞭打ってでも狼たちを仕留める必要があった、伝説の主人公である「音魂使い」。彼は村人からの依頼を受け、呪歌の力により、凍った湖に狼の群れを誘い出し、一網打尽に仕留めます。しかし、彼は村人たちに騙され、うまく利用されていたのでした……。そんな彼の怒りの呪歌の力が、今度はワールトーア村を襲います。そして誰も居なくなり、歴史の影に埋もれてゆくワールトーア。
この伝説を作中で綴った以下の散文詩のような部分は、「感傷系ダークファンタジー」こと『アルフェリオン』の味わいを十分に堪能できる箇所かと思います:
灰の世界に降り続く雪。
緩慢な調子で宙に漂う綿雪は、天で死した無数の鳥たちの羽根が舞い落ちてくるかのようで、じっと見つめ続けていると、理由もなく沈鬱な気分にさせられる。
鉛色の空のもと、それらは音も無く積もり、家々は静まりかえり、立ち並ぶ木々は色を失い、広がる世界は、一面、墨絵のようだ。
夜の闇はすべてを黒く塗りつぶす。そして対極にあるはずの白き色も、こうしてすべてから彩りを奪う。
単色と単調さの中で同じ時間が繰り返され続けるような、凍りついた冬。
その静寂を破り、雪原に刻まれる沢山の足音が響いてくる。
冷え切った風に運ばれ、遠くの方から獣の唸り声も耳に届く。
黒い毛に覆われた四つ足の獣たち。盛んに聞こえる荒い息は、犬のそれにも似ている。狼、いや、狼の姿を持ちながらもそれより一回り、二回り近く大きな野獣が群れをなして続く。
彼らの前方を、おぼつかない足取りで体をふらつかせながら、一人の人間が駆けてゆく。茶色のローブをまとい、フードを被った男だ。ときおり息を切らせつつ、彼は呪文のような歌を詠唱し続けている。男の行く手には凍った湖が見える。彼は脇目も振らず、湖をめざして一心に進んでいた。
それに続く、熊のように大柄な恐狼たち。あるいはその姿は地獄の番犬か。不思議なことに、狼たちは男の《歌》に引き寄せられ、魅入られているように思われた。
ワールトーアの村をさまよい歩くルキアンとブレンネルは、村の礼拝堂にて二人の子供の墓と、そこに手向けられた花を目にします。そして背後から現れた謎の修行僧。
この男は、いきなり支配結界を展開し、自身が「闇の御子」と同様の力を持っていることをルキアンに見せつけます。いや、ルキアンが御子であることも知っているようですが。
エメレーア・ロッタとアリーオ・ロッタという幼い姉弟。彼らの墓を大切に守る謎の修行僧スウェール、その正体は、幼い頃のルキアンの師であった「マスター・ネリウス」こと、ネリウス・スヴァンでした。スヴァンは「月闇の僧院」のリーダー格の一人で、この後、ルキアンは僧院がらみの重大な一件に巻き込まれることになります。
ちなみに、ロッタ姉弟の生前の姿を小説本文の中で描いた、これまた散文詩のような箇所も、美しくはかなげです。その美しさ、一瞬が永遠に通ずるような輝きは、その裏側に暗示され、口を開けて待ち構える闇の深さに直結しています……。
(小説の当該部分からオボロさんが生成した画像付きで、ご覧ください)
細長い花弁をもつ、薄紫色の可憐な花が、
一輪、あちらにも一輪、そしてまた一輪、心地よさげに揺れている。
時の向こう、短くも輝かしい季節の中、その日も花は咲いていた。
丘の上から吹き降りてくる風に、
花々は首をかしげ、身体を揺すり、さざめきを作り、
いつしか紫の波となって草原を駆け抜ける。
風と波の向かう先、野と空の先には、
淡い緑に覆われた山並みがなだらかに続いている。
声が聞こえた。
うたを歌い、無邪気にはしゃぐ男の子の声が。
彼の名を呼びながら、近づいてくる女の子の声が。
流れゆく白い雲に、青の色濃さをいっそう引き立てられ、
天を突き抜けて清々たる晴空の下、
笑い声は風に巻かれ、次第に高く舞い上がって消えていく。
小さな手にしっかりとにぎられた花。
振り返った男の子。
汚れ無き瞳。陽光にきらめく銀色の髪。
つまづきそうになりながらも、駆け寄ってくる少女。
銀の髪を風になびかせ、一瞬かつ永遠の光の中で。
この後、アリーオとエメレーアは。彼らとルキアン、マスター・ネリウスとの関係は……。
と言いつつ、ここで次回に続きます(!)。
本日も鏡海亭にお越しくださり、ありがとうございました。
今後とも、鏡海亭および連載小説『アルフェリオン』(連載小説『カイス・ブリッツ』も!)にご声援をいただけましたら、とても嬉しく、光栄に存じます。
ではまた。
「時の止まった村」の秘密と悲劇(更新予告)
連載小説『アルフェリオン』各話の内容からAIで画像集を生成する企画、ようやく「ワールトーア編」の山場に差し掛かって参りました。しかし諸々の事情のため、次の更新は、今晩ではなく明晩深夜(日付のうえでは5月6日早朝)になります。今しばらくお待ちいただけましたら幸いです。
親愛なる読者様方へ
鏡海
時に忘れられた廃村でルキアンが目にするものとは!?
AIのオボロさん(*)と紡ぐ、連載小説『アルフェリオン』の名場面画像集! 前回より「ワールトーア編」がテーマとされるに至って、過去の御子たちの姿が次々と出てくるようになりました。
(*)オボロさんとは「Editorial Oboro」(GPTsの機能を通じて小説広報支援用にカスタマイズされたChatGPT)のことです。多彩な機能のひとつとして、小説を読んでその内容を画像化することができます。
前回同様、まずは第50話より、続きです。
前新陽暦時代、古代レマリア帝国の治下、孤立無援で「時の司」に立ち向かった者たちがいました。光の御子アレウスと、白の巫女レア。
彼らの旅路。オボロさんが印象的に描き出してくれました。アレウスたちのエピソードは、『アルフェリオン』の外伝として公表したいほどのものです。
レマリア帝国の支配者の身体を乗っ取って歴史を動かしていた「時の司」に挑むことは、あの大レマリア帝国自体を相手にして戦うことを意味しました。光の御子アレウスは、立ちはだかるレマリアの数千、数万体のアルマ・ヴィオをことごとく残骸に変えるほどの凄まじい戦いの果てに、ついに「時の司」のもとに辿り着きましたが……。アレウスは倒れ、レアはせめて一矢報いようと、「ノクティルカの匣」の力で「時の司」の正体を暴きます。
力尽きたアレウスとレアに加えて、異なる時代、いわゆる「旧世界」の時代に御子として生まれた者……いや、正確には、御子として生まれながらも御子としての力に目覚めないままに生を終えた、アマト・コドゥエも、第50話に登場しています。ケレスタリウム灰による「魔染」を避けるために、宇宙服のような防護服を彼は着ています。あの「永遠の青い夜」の環境下では、そうしないと外に出ることすらできない状況だったのです。
「僕は感じる。都合の良い主観あるいは妄想というには、このあまりにも強い確信はどこからやって来るのだろう」
彼は空を見上げた。
もしも空が青だというのなら、
ここには空は無い。
そういう空は、この世界ではとうに失われているから。
「いつか、誰かが……誰なのかは分からないけれど、その登場だけはなぜか確実に予感できる誰かが、置き去りにされた僕らの思いを、必ず晴らしてくれる」
地表を覆ったケレスタリウム灰の絶望のカーテンは、世界を終わりなき薄明の檻に閉じ込めた。人はそれを《永遠の青い夜》と呼んだ。
そしてアマトの想いを受け止め、第57話でルキアンが仲間の御子たちおよびエレオノーアに助けられながら闇属性魔法の究極奥義「嘆きよ我に集え」を発動しようとし、「時の司」の化身(劣化コピー?)である四頭竜をあと一歩で倒すところまで追いつめます。ここでアマトの想いは晴れたのです。アマトが第50話に登場してから第57話まで、途中で長きにわたる本ブログの休止期間をはさんで、現実世界では10年を超える月日が経過していました(汗)。それでも作者としては、ルキアンによるリベンジを描けて本当に溜飲が下がる思いでした。
過去の御子たちの姿を次々と脳裏に浮かべながら、ルキアンは目を覚まします。ただ逃げ出したいという気持ちだけでナッソス家との最終決戦の場から飛び立ったルキアン。彼が無意識のうちに到着したのは、深い森の中にひっそりと身を潜めるような廃村、ワールトーア……。
小説の内容をもとにオボロさんの描き出したワールトーアのイメージ、驚愕のクオリティです。
そこでルキアンは何を見るのか?
「でも、どうして僕は《ここ》に帰ってきたのかな」
そこまで言いかけ、ルキアンは自分自身の言葉を反芻する。
「《帰ってきた》だって? いま、なぜ、そんなことを思ったんだろうか。どうして僕は、こんなところに来たんだろう。ただ行き先も考えずに飛んだ、いや、《逃げて》きただけだったはずなのに」
《この場所は何かがおかしい。でも、僕にとって何か特別な場所かもしれない》
見習いながらも魔道士である彼の感覚が、そう告げていた。
深まるワールトーアの謎、次回に続きます!!
GW最後の週末となりましたが、読者様方、良い休日をお過ごしください。
ではまた。
「聖体降喚(ロード)」の真実とは!?
本ブログの連載小説『アルフェリオン』の各話からAIが生成する名場面集、ついにワールトーア編に突入しました! 最新の記事は今晩深夜にアップする予定です。
鏡海
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