■日本のマスコミが報じない、欧米「ワクチン接種」で見えた副反応のリアル
~「深刻な副反応」が起こるケースも~
週刊現代(講談社)2020.12.25
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78736
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・欧米のワクチン接種の実態
米製薬大手、ファイザーが12月18日、新型コロナウイルス・ワクチンの製造販売に関する承認を厚生労働省に申請した。
心配なのは接種に伴う副反応だが、米国の食品医薬品局(FDA)は詳細な治験(臨床試験)データを公開している。
そこには、何が書かれていたのか。
欧米でワクチン接種が始まったのは、ご承知のとおりだ。
英国は12月8日からファイザー、米国は14日からファイザー、21日からモデルナのワクチン接種をそれぞれ開始した。
両社は米国企業で、いずれもmRNA(メッセンジャーRNA)の技術を利用している。
新型コロナの終息に向けて効果が期待されるが、英国では接種した医療関係者2人に「アナフィラキシー」と呼ばれる激しいアレルギー反応が起きた。
米国でも6人に同様の反応が起きた。
朝日新聞によれば、1人は過去に狂犬病のワクチン接種でアレルギー反応が出ていた、という(https://digital.asahi.com/articles/ASNDN5PYLNDNUHBI015.html)。
数万人単位の治験をして安全性は十分に確かめたはずだが、それでも実際に接種を始めたとたん、それまで確認されなかった副反応が出てきた。
治験段階では、アレルギー経験者を排除していたからなのだろうか。
そのあたりは報道もなく、よく分からない。
ファイザー製もモデルナ製も2回接種する必要があり、ファイザーは2回目までに3週間、モデルナは1カ月の間隔を空けなければならない。
そうだとすると、接種開始日から逆算して、激しい副反応は1回目の接種後に起きたことになる。
先の朝日記事によれば「最初の接種でアレルギー反応が起きた場合は、2回目の接種をとりやめる」という。
そうだとしても、2回目には、1回目で起きなかった副反応が起きる可能性もある。今後も推移を注目したい。
さて、治験段階での効果や副反応については、FDAが詳しいデータを発表している(https://www.fda.gov/emergency-preparedness-and-response/coronavirus-disease-2019-covid-19/covid-19-vaccines)。
なぜか、日本のマスコミは詳しく報じていないが、これを見ると、予想できる副反応の概要は分かる。
そこで、FDA報告を紹介しよう。
まず、ファイザー製のワクチンからだ。
同社は本物のワクチンを打った人とプラセボ(偽薬)を打った人を合わせて、3万7796人を対象に治験を実施した。
本物と偽薬の割合は半々だ。
その結果、ワクチンを接種した人はその後、8人が新型コロナに感染したが、偽薬の人の感染は162人だった。
感染者の合計170人のうち、ワクチン接種者は5%、偽薬の人は95%になる。
そこからFDAは「ワクチンの有効性(感染を防ぐ効果)は95%だった」と結論づけている(https://www.fda.gov/media/144416/download)。
心配なのは、副反応だ。
FDA報告によれば、もっとも多い副反応は注射した部位の痛みで、84.1%に起きた。
注射が痛くない人はほとんどいないので、これは当然だろう。
続いて疲労感(62.9%)、頭痛(55.1%)、筋肉痛(38.3%)、悪寒(31.9%)、関節痛(23.6%)、発熱(14.2%)となっている。
これらの副反応は1回目の接種よりも、2回目の接種後のほうが頻繁だった。
興味深いことに「若い人よりも55歳以上の高齢者のほうが副反応の発生頻度は少なかった」という。
副反応は高齢者のほうが激しいのではないか、と思われがちだが、逆である。
たとえば、18歳から55歳までのグループについてみると、2回目の接種後に38度以上、発熱した人は2098人中の331人(15.8%)、疲労感を訴えた人は1247人(59.4%)、頭痛1085人(51.7%)、悪寒737人(35.1%)だった。
これに対して、55歳以上のグループでは、38度以上の発熱が1660人中の181人(10.9%)、疲労感が839人(50.5%)、頭痛647人(39.0%)、悪寒377人(22.7%)などとなっている。
発熱と疲労感、頭痛、悪寒のどれをとっても、高齢者のほうが発生割合が低い。
副反応はこれだけではない。
吐き気や下痢、局所的には注射した部位の赤みや腫れもある。
気になるのは、ワクチン接種組に顔面麻痺(Bell's palsy)が4例あった点だ。
偽薬組にはなかったので、接種との関連が疑われるものの、FDAは「4例という数字は、一般社会で予想される頻度を上回る数字ではない」としている。
さらに「深刻な副作用」も0.5%以下で発生した。
ただし、FDAは「ワクチン接種組と偽薬組の間で意味のある差異は認められなかった」と結論付けている。
FDA報告は「深刻な副作用」について、とくに1節を設けて詳述している。
もっとも深刻なのは、死亡だ。治験に登録した(接種ではない)4万3448人のうち、6人(うちワクチン接種組で2人、偽薬組で4人)が死亡している。
ワクチン接種の2人は心臓病とアテローム性動脈硬化が原因だった。
だが、FDAは「これらは一般社会でも同じ頻度で起きる」としている。
つまり、ワクチン接種とは無関係という見立てである。
盲腸炎も12人(ワクチン組8人、偽薬組4人)あった。
こちらについても、FDAは「専門調査官によって、これらのケースは一般社会より頻繁とは言えず、ワクチンや偽薬の接種とは関係ないと判断された。
FDAもワクチン関連のリスクと疑う明確な根拠はない(there is no clear basis)」と指摘している。
ちなみに、先に挙げた顔面麻痺については、FDAは「深刻な副反応」に含めていない。
では、モデルナのワクチンはどうか。
こちらもFDAが詳しい報告書を公表している(https://www.fda.gov/media/144637/download)。
それによれば、モデルナの治験には2万8207人が参加した。
こちらもワクチン組と偽薬組の割合は半々だ。
効果はどうだったかと言えば、ワクチンを接種して新型コロナに感染した人は11人だったのに対して、偽薬で感染した人は185人だった。
そこから、FDAは「ワクチンの有効性は94.1%」と結論づけている。
年齢別に見ると、18歳から65歳までのグループでは、ワクチンを接種して新型コロナに感染した人は7人だったのに対して、偽薬で感染した人は156人だった。
「ワクチンの有効性は95.6%」という。
一方、65歳以上の高齢者になると、ワクチンを接種して感染した人が4人なのに、偽薬は29人が感染しているので「有効性は86.4%」にやや低下している。
それでも素人目には、十分に高い有効性とは思う。
副作用についての記述をみると、注射部位の痛みが92.0%、疲労感が70.0%、頭痛64.7%、筋肉痛61.5%、関節痛46.4%、悪寒45.4%、吐き気・嘔吐23.0%、脇の下の腫れ・圧痛19.8%、発熱15.5%、注射部位の腫れ14.7%、同じく赤み10.0%となっていた。
ファイザーに比べると、やや副反応が多いように見える。
ファイザーと同じように、顔面麻痺がワクチン接種組に3例、偽薬組に1例あった。
ただし、FDAは「顔面麻痺とワクチン接種の因果関係を結論づけるには、現在の情報では不十分」と指摘している。
「深刻な副反応」はワクチン接種組と偽薬組の双方に1.0%ずつあった。
うち1例はワクチン接種組で起きた「顔面麻痺」だ。
ファイザーと違って、なぜFDAがモデルナについて、顔面麻痺を深刻な副反応に加えたのか、は不明である。
また、深刻な副反応として「顔の腫れ」の2例を挙げ「ワクチン接種と関係している可能性が高い」と指摘している。
以上がFDA報告の概要だ。
新型コロナワクチンは接種が始まったとはいえ、まだ副反応の実態をはじめ、有効期間がどれほどあるのか、毎年接種の必要があるのか、繰り返し接種が可能なのか、など不明な点が多い。
開発途上と言ってもいいだろう。
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日本のマスコミが報じない、欧米「ワクチン接種」で見えた副反応のリアル~「深刻な副反応」が起こるケースも~週刊現代(講談社)2020.12.25
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78736