邯鄲
2023-11-13 | 能楽
孫が残していったクレヨンでお習字しています。
邯鄲
邯鄲
唐土蜀に住む盧生(ろせい)という者、日々為すこともなくてただ茫然と暮らしていたが、
ある時、楚(そ)の国の羊飛山(よおひざん)に偉いお坊さんがいると聞き、身の後生を訪ねんと思い立って、楚国に到り
邯鄲の里にてある旅亭に一宿した。宿の主の勧めによって、夕餉の粟飯をの炊ける間を、邯鄲の枕に委ねて一睡する。
ここに勅使が表れて、盧生を祖国の王位を譲る旨を告げ、そのまま盧生は玉の輿に乗せられて宮殿に導かれた。
庭には金銀の砂を敷き、雲龍閣や阿房殿は光彩満々としてきらびやかに、千顆萬顆の宝は山と積まれ、まこと名に聞きし都喜見城も斯くやと思ふばかりの美しさには、まったく驚くばかりであった。この時大臣が進み出て、一千年の齢を保つという天の
濃漿(こんず)と沆瀣(こうがい)の盃とを捧げ、小童達は舞ひ興じて面白く、盧生自らも立って舞などして、昼夜四季の別もなく50年を経過した。するとすべての物が忽ちに消え失せ、ここに盧生の夢はは淡く冷めたのであった。(謡本より)