てんぱっていきまっしょい。

国内旅行をこよなく愛する人間の日記です。でも最近は出かけてないよねぇ。(現在コメントは事前承認制にしています。)

わげもん~長崎通訳異聞~第2話:消えた漂流民1

2022年01月21日 | わげもん~長崎通訳異聞~

嘉永2年(1849)

ペリー来航4年前の長崎

通詞だった父親の失踪の謎を追って江戸からやって来た青年:伊嶋壮多(いじま そうた)永瀬廉 が、出島の前で出会ったオランダ語通詞:森山栄之助(もりやま えいのすけ)小池徹平 に話しかける。
父親の手掛かりを探すためだ。
彼の父親「周吾」という名を聞いた栄之助は、父親のことを知らないと答えるが・・・
2人の運命は、脱走した漂流民(漂着したアメリカ船ラゴダ号の乗組員のひとり)カイ(カリマ剛ケアリイオカラニ)をめぐり、ここ長崎で大きく動き出す。

唐人屋敷の門の前で

置屋「柳屋」に居候の男:神頭有右生(こうず ゆうせい)髙嶋政宏 にカイの父親の形見である帽子を渡し、カイは浜辺で行き倒れたことにして唐人屋敷に潜り込み、船主の中国人:劉(りゅう)の船で日本を離れる作戦を決行することにした 壮多、芸妓見習いの少女:トリ(都麗)久保田紗友、トリの友人、オランダ人を父に持つ青年:未章(みしょう)トラウデン都仁たち。

唐人屋敷は、交易で長崎を訪れた中国人たちが居留する地区である。
出島と同じく出入りが厳しく管理され、一般の日本人が立ち入ることは禁止されていた。

柳屋の売れっ妓芸者。豪胆で頼りになる、トリの姉貴分:季蝶(きちょう)木月あかり は、唐人屋敷の劉がひいきにしているため季蝶の供の者として、トリたちと一緒にカイと壮多が同行した。
そして、その後ろからは未章が物陰に控えている。

唐人との抜荷がばれた日本人が、獄門になったと。
門の前にある立札にトリが気づく。
「抜荷」即ち密貿易は、固く禁じられていた。

行くぞ。

オープニング

季蝶が門番の前に歩み出て、要件を伝える。

船主の劉さんに呼ばれております。

おぅ。門番が、木戸を開ける。)

季蝶やトリたち女性陣は鑑札もなく通り過ぎるが、その後ろをついてカイと壮多が行こうとすると、門番たちがそれを遮る。

わいたちゃ見覚えがなか、なんか持ち込もうとしとっとやなかとかぁ。
呼び止められたカイと壮多を、女性たちが振り返ってみている。
門番たちが、2人を怪しんでいると

はい、まいどまいどまいどまいどぉ

後ろから、未章が青物を満載したカゴを持って駆け込んでくる。
合計5人の男たちで、当然門の前は大渋滞。

未章:なんですかぁ~。

門番:おまえは、なんね。(怒)

未章:あぁ、今札ば見せますぅ。

門番:おぅ、見せてみぃ。

片足に大きい青物の籠を乗せ、一本足で立って札を見せる仕草をする未章。
すると、青物の籠が傾いて中に入っていたニンニクや野菜が転がり落ちる。

門番:大丈夫ね、荷をこぼしてぇ~。

大慌てで、門番をしていた男どもは未章の後ろに転がった野菜を未章と一緒に拾い出す。
その隙に壮多とカイは中に入ろうとするが、門番の一人に壮多が腕を掴まれてしまった。
カイは驚いたが、トリに手をひかれ門の中へ入いるよう促される。

未章は門番たちを引き付けようと、落とした野菜を買い取ってくれと交渉を始める。(ナイス未章)

カイは壮多を振り返り、お互いが目で合図をして別れを告げ、門の中へ入って行った。

唐人屋敷の座敷でごちそうを囲み、劉の二胡の演奏を聴く季蝶たち。
演奏が終わると拍手が鳴り、宴席は盛り上がっているようだ。
トリが後ろにカイを連れて座敷の廊下にやってきた。
神頭先生から
劉に神頭からの手紙を渡すと、その手紙を読みはじめる劉。
カイは少し心配そうにその様子を見ていた。

置屋 柳屋

神頭が居候する部屋から、少し離れたアヤカの部屋。
どうやら出産の近いらしく、オランダ人と日本人のハーフである、女医:えま- 浦浜アリサ が往診に来ていた。
母子ともに順調とのことで、女性たちの明るい笑い声が神頭のいるところまで聞こえてくる。
だが、その部屋の明るい様子とは違い、神頭は手紙を読んで何か重い決断をしたかのような表情をする。

カイの船は、無事出航したばい。

本当に。

劉さんから先生に知らせがあったと。

浜辺に座る壮多とトリ、その向こうの水辺には未章がいる。

あんた、これからどうするね。

さぁなぁ~。

父親ば探すとやなかとね。

手掛かりが尽きた。
俺もカイみたいに、どこかよそへ流れるのも・・・。

いかんばいっ!

驚いてトリを見つめる壮多。
トリは、自分でもなぜそんなことを言ったのかわからない。

柳屋の前で

置屋・柳屋を束ねる女将しず(紅壱子)を冷やかし、外出しようとする塩頭。
お姉さん方の手紙の代筆なのかと思ったが、どうやら路地に潜む男に用があったらしい。
その男とは・・・

壮多が橋の上でぶつかった国籍も職業もすべてが謎の男:吉次(きちじ)サンディー海 だった。

****************************

浜辺で遊ぶトリと未章を眺めながら、壮多は塩頭に言われた言葉を思い出していた。

そうだ、どこへでも行ける。おまえなら、できる。

****************************

そのとき、カイは唐人船に乗って海へ出ていた。
海に向かって、カイは叫ぶ。

イムンア・・・、イムンア~~~~ッ!

****************************

I mua e na pokii 若者よ、前へ進もう

壮多にもその声が届いたように、同じ言葉を心の中でつぶやく。

桜町牢では

その時の長崎には、アメリカの捕鯨船から日本に漂着した漂流民が14名存在した。
ラゴダ号の乗組員13名、そして別の船から漂着し森山らに英語を教えていたラナルド・マクドナルド(木村昴)である。

ストレスにより牢で暴れるラゴダ号の乗組員たちを、英語でなだめる栄之助。

彼らの返還を求め、日本にやって来たアメリカ軍艦との交渉は続いていた。

停泊する軍艦に乗り込み交渉を続ける長崎奉行所の船掛:白井達之進(しらい たつのしん)宮川一朗太らと、それを通詞する栄之助。

当地にいるのは、14名ということか。

そうだ。

しかし、カイが脱走したことで13名となり、慌てる奉行所側。
長崎奉行井戸対馬守覚弘(いどつしまのかみさとひろ)石黒賢 に対し、家老:周田親政(すだ ちかまさ)武田鉄矢は

必ずや14名備え置きますからに。

そういって、カイの脱走を隠し続けているのだ。

長崎奉行所

牢ぬけした漂流民が見つかったときいて、驚く栄之助。
大通詞:大田崇善(おおた そうぜん)本田博太郎 からその言葉を聞き、安心した表情を見せる。
大通詞で蘭語通詞会所の長:杉原尚蔵(すぎはら しょうぞう)矢島健一 も同席しており、白井からも

奉行は、江戸からの返書を待つことなく対処するとご決断された。

はい。

すべて周田さまのご尽力のタマモノだ。
という杉原の言葉に、白井も喜びを隠せない。

周田:漂流民はまず、出島のオランダ商館に引き渡す。
然るのち、商館側からアメリカ軍艦へと乗船させる。
こうすれば日本が、アメリカの引き渡しの求めに直々応じたことにはならん。

その指示を聞いて、頭を下げる栄之助。
だが、周田の後ろには、どこかで見たことのある焼き物(蓋つきの壺)が飾られているのが目に入る。

本日は、ここまで

長崎の有名なお祭り「長崎くんち」。
代表的な出し物として「龍踊り」の画像がよく使われてますね。
今回、季蝶たちが訪れた唐人屋敷で、福建省出身者が練習していた雨乞いの踊りが
お祭りに取り入れられたとのお話を、当時配布されたリーフレットで読んだ記憶があります。
ちらっと出ないかなぁと思ったんですが、さすがに出てきませんでした。
「おくんち」の話をしだすと、長くなってしまいますので、本日はこのへんで。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わげもん~長崎通訳異聞~第1話:父を探して5

2022年01月20日 | わげもん~長崎通訳異聞~

長崎奉行所にて

その頃、プレブル号との交渉は難航していた。

長崎奉行所の船掛:白井達之進(しらい たつのしん)宮川一朗太が、 井戸家家老:周田親政(すだ ちかまさ)武田鉄矢に状況報告を行っている。
彼の後ろには、大通詞:大田崇善(おおた そうぜん)本田博太郎と大通詞で蘭語通詞会所の長:杉原尚蔵(すぎはら しょうぞう)矢島健一 太田の後ろに オランダ語と英語の通詞:森山栄之助(もりやま えいのすけ)小池徹平 が控えていた。

アメリカ側にただ待てと言うだけでは状況が良くなるはずもなく、近頃は声を荒げるばかりだと報告する白井。

恐れながら・・・。

上申しようとする栄之助の言葉を、大田が止める。

ただ待てと申すは、もはや限りがございます。

次に杉原が言葉を止めさせ、周田に詫びる。
だが周田が栄之助に発言を許し、栄之助は言葉を続けた。

牢よりとん走した者がおることを、正直に申した方がよかです。
アメリカ人も人でございます。
いきなり大筒(大砲)ば向けることはなか、英語ば学んできたのはこげんときの為でございます。
必ず、必ず尽力いたします。

白井:控えろ(怒)、指し出口を申すな。
その命令に、頭を下げる栄之助。

周田:なるほど、そうか。

その言葉を聞いて、何か考える様子を見せていた。

柳屋にて

漂着したアメリカ船ラゴダ号の乗組員のひとりで、牢屋から逃げ出した男:カイ(カリマ剛ケアリイオカラニ)は、父親の形見である帽子を、自分を治療してくれた置屋「柳屋」に居候の男:神頭有右生(こうず ゆうせい)髙嶋政宏 に渡す。

タンキュウ

礼を述べて帽子を受け取る神頭。
通詞だった父親の失踪の謎を追って江戸からやって来た青年:伊嶋壮多(いじま そうた)永瀬廉
芸妓見習いの少女:トリ(都麗)久保田紗友
トリの友人、オランダ人を父に持つ青年:未章(みしょう)トラウデン都仁
3人に、この帽子をどのように使うかを説明する。

これを奉行所に渡す、浜で行き倒れた異国人の仏のモンだって言ってな。
仏は海に流された(そう言ってカイにウィンクする。)それでなんとか落着するだろう。
オゥ(トリに合図する)、カイ(そう言って英語でカイに説明する。)

お前は明日、こいつらと唐人屋敷へ行く。

唐人屋敷は、交易で長崎を訪れた中国人たちが居住する地区である。
出島と同じく出入りが厳重に管理され、一般の日本人が立ち入ることは禁止されていた。

中で劉(りゅう)という船主に会う。
その男の手引きで唐船に乗り、この国を出るんだ。

わかるな。

カイ:アイ

カイは、トリが用意した手拭いを頭にかけられる。

****************************

表を歩く、柳屋の売れっ妓芸者。豪胆で頼りになる、トリの姉貴分:季蝶(きちょう)木月あかり ご一行。
トリの後ろには頬かむりをし、柳屋の上着を着て荷物を背中に担ぐカイがいた。
他の町なら目立つであろうカイも、異人だらけの長崎では誰も気にもとめない。
その横には、同じく頬かむりをした壮多が一緒だ。

壮多は、神頭に聞かれたことを思い出していた。

ひとつ聞いていいかい。

はい。

おまえさん、なんでそこまでカイに力を貸そうとする。

おっかさんが亡くなって、父親はとうにいなくなって一人になりました。
カイと同じです。(歩きながらカイの横顔を見つめる壮多。)
寂しかった。
でも、なんですかねぇ・・・なんかこぅスッと風が吹いた気がしたんですよ。
俺はもう、どこへ行ってもいいんだって。(それを聞いて何かを想う神頭。)
カイはそれを思い出させてくれたんです。

(一行が唐人屋敷の前に到着する。)

そうだ、どこへでも行ける。(横を向いて話していた神頭が、壮多の前を向く。)
おまえなら、できる。

壮多は、神頭に頷いて見せた。

****************************

唐人屋敷の門の前で、後ろにいる壮多を励ますように見つめる一行。

目で合図をするトリ。
受け取った合図を、さらに後ろの物陰にいる未章に、壮多が目線で合図する。
最後に、カイを安心させようと見つめることで励ます壮多。
カイもそれを感じ取っている。

行くぞ。

壮多のその言葉に、一行は唐人屋敷の門へと向かうのだった。

第1話 父を探して 終了

登場人物がとても多く、どうなることかと思いましたが
なんとか第1話を終えることができました。
ジャニーズファンの方よりも、長崎人のツッコミが怖いよぉぉぉ~。
高浪様、うちをブクマしたってメールいただきましたけど、どうか海よりも広いそのお心で
オラを許してやってください。
それにしても、このドラマ。
自分のルーツを探すのがだいちゅきな長崎の人には、とても好かれる気がしております。
大ヒットを心からお祈りするものでございます。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わげもん~長崎通訳異聞~第1話:父を探して4

2022年01月19日 | わげもん~長崎通訳異聞~

奉行所の牢屋で

カイ(カリマ剛ケアリイオカラニ)が逃げ出した牢屋では、彼が逃亡のため床板に開けた大穴を、トリの友人でオランダ人を父に持つが蘭語は不得手な青年:未章(みしょう)トラウデン都仁 が大工の一人として修繕にあたっていた。
狭い畳敷きの牢屋に10数名の外国人の大男たちが押し込められていては、喧嘩が起きても不思議ではない。
ちょっとしたことで騒ぎが起き、暴力行為が日常となっていることに驚く未章。
棒を携えた牢番が2人がかりでやっと静かになる。
それを目の当たりにして、もしや柳屋にいるカイは下僕ではなく、ここから逃げ出したのではないかと考える。
この壁や畳に残っている血は、ケガをしていたカイのものかも知れないのだ。

柳屋に寄った未章、
置屋「柳屋」に居候の男、医術の他に英語の心得がある。:神頭有右生(こうず ゆうせい)髙嶋政宏
芸妓見習いの少女:トリ(都麗)久保田紗友
通詞だった父親の失踪の謎を追って江戸からやって来た青年:伊嶋壮多(いじま そうた)永瀬廉
たちに、そのことを伝える。

牢ぬけ・・・。

あぁ、カイは出島の下僕ではなか。
オアフちゅう島から来た漂流民ばい。

牢屋から脱走ばしてきたってこと。

ただの脱走やなか。
今沖に浮かんどる船は、カイらを引き取りに来たアメリカの軍艦ばい。
奉行所は必死んなってカイば探しとる。
まだカイは眠っている。

知らせんば、ならんたい。

奉行所へ行こうとするトリを、壮多が呼び止める。
トリ、カイを牢に返したらまたカイは同じ目にあう。

わかっとぅ・・・

殴られて蹴られて・・・

わかっとぅ。

カイは必死で逃げてきたんだ、そんなところへ返すなんて・・・。

だからって何ができるぅ?
奥で薬草を調合していた神頭が会話に加わって来た。
あの役人も言ってたろぉ~、今あいつらがここに乗り込んできたら(首をはねられる仕草)
さぁ~、どうする。江戸へ逃げるかい?お前はそれでいい、でもこいつらはどうなる。
長崎でこそ目立たないが、顔立ちが混血児と分かるトリや未章は長崎以外では生きられないのだ。

この町で生きてきた、これからも生きていく。
生まれた土地から弾かれるってことがどういうことか、おまえには解るかい?

こん顔で、よそで生きるのは無理ばい。

うちも・・・うちは、芸妓になりたかさ。唐人と遊女の娘やなんて、よその町では無理かもしらん。
ばってん、ここでは願いが叶うとよ、長崎やけん。

迎えの船はもう来てる。牢に戻っても、しばらくの我慢だ。(船に)乗ればアメリカに帰れる。
ここでずぅ~と息潜めてるより、その方が先もある。

明日、検番に届ける。明日・・・。
決して乗り気ではないトリと壮多の肩を叩く塩頭。
それが、カイにとって最善の行為でないことは皆理解できているのだ。
目が覚めていたカイは、彼らを見つめていた。

唐人屋敷

柳屋の売れっ妓芸者。豪胆で頼りになる、トリの姉貴分:季蝶(きちょう)木月あかり が、他の芸者や供を連れ立って唐人屋敷にやってくる。
いかつい門番にも「船主のリュウさんに呼ばれております。」と告げるだけで、彼女たちは鑑札なしで通行可能なのだ。(男性は鑑札を見せている。)
その中には、三味線を演奏するためのトリも来ていた。
ただ、カイのことで気持ちが晴れずに暗い表情をしている。

夜になり、柳屋でうたたねをしていた壮多が目を覚ますと
布団にいたはずのカイの姿が無い。
ケガをしていたカイは外に出られる筈もなく、座敷の廊下に座り込んでいた。
カイは昼間の壮多たちの会話から、意味は解らないまでも何かを察していたのだろう。

もう逃げなくてもいいんだ、力になれなくてごめんな。
でも少しうらやましいよ、俺には帰るところなんてないから。
父親の帽子を握りしめたまま、壮多の手をとるカイ。

ファザー?

アイ・ファザー

ファザー、会い、会える。
アメリカに帰れば、カイは父親に会えるものと思い。両手で「握手」の仕草をする壮多。

しかし、首を振るカイ。
ア・オーレ
そう言って、天を指さす。そう、彼の父は亡くなっていたのだ。
驚く壮多。母についてマザーと聞いてみると

マダァー
再び天を指さすカイ。二親とも亡くなっているらしい。

座敷の奥から塩頭の地球儀を取り出す壮多、カイにオアフの場所をきくと
ゆっくりと日本からオアフを指でなぞり、故郷へ帰りたいのか尋ねるが

ア・オーレ
という彼の返事に驚く、カイはオアフに帰りたいわけではない。
地球儀の上をぐるぐると指を回して指し示すカイ。

ア・アイ(地球儀をぐるぐる指さし)ファーダー(壮多を指さす)

お父さんは船乗りだった?

カイ(地球儀をぐるぐる指さす)

そうか、お前も船乗りになりたいんだ。

ハイ・アイ・・・イムンアエナポーキ

イムンアエナポーキ・・・そうか、そういうことか。

壮多が表を指さし、イムンアエナポーキと言えば
カイも表を指さし、イムンアエナポーキと答える。
壮多は、カイの言葉から伝わる彼の意思を理解することができ、喜びの余り彼に抱きつく。

翌朝、カイに肩を貸し海辺を歩く壮多。

未章は、柳屋からカイと壮多がいなくなったことをトリに知らせる。
2人を海辺でみつけたトリと未章。

どこに行くつもり。

カイを乗せてくれる船を探す。

船ならある、アメリカから迎えが来とる。
牢に戻ればじき乗れる。

カイは出て行きたいんだ。

その言葉に、驚くトリ。

暗い牢や、自分を殴ったりあざけ笑ったりする連中や生まれた土地からも離れて、ただ何処か遠くへ。

顔を背ける未章、顔立ちだけは異国人なのにトリと違って外国語が離せない彼には、少しだけカイの気持ちが理解できる。

でも、そげん・・・。

イムンアっ!(壮多、海を指さす)

アイ・イムンア(カイ、海を指さす)

カイの故郷の言葉だ。
「自分を信じて前に進もう。」

意味の解ったと?

首を振る壮多。
全然、でもきっとそうだ。←え?

再びカイを担ごうとする壮多に、肩を貸す未章。
浜辺を進もうとする3人に、後ろからトリが話しかける。

誰にも知られず、好き勝手遠くの国へ行くやなんて、できるわけなか。
生きていけるわけなか。
乗れる船なんてもなか、助けてくれる人もなか。
異人やろうが日本人やろうが、そげんことば願って叶うはずがなか。

ここならできる、ここは長崎だろっ!

そう言ってトリに笑いかける壮多。(朝日が眩しいっ!)

なんね、そぃはうちの台詞ばい。

ようやく笑みの戻ったトリが、3人に追いつく。

すると、松林の陰から会話を聞いていたのか、太い棒を持った塩頭が戻れと言って現れる。
(先生、いいですね。ソフトなジャイアンスタイル。)

戻れ。

先生。

壮多がトリにカイの肩を担いでもらい、塩頭の前に歩み出る。
今奉行所にカイを渡すわけには・・・。

やみくもに動いたって、潰されるだけだぃ。
どうしたら日本から出られるか、ゆっくり考えようじゃねぇか。

砂浜に棒を放り投げ、不敵に微笑む。
こうして、機動力の若者たちと知恵者のパーディができあがった、ミタイナ。

本日はここまで

こうしてみると、やたら登場人物たちが親切に見えますが
現在の長崎でもそれは、デフォルトなんであります。
むしろ1に登場した長屋の女性とか通詞会所の人の態度ったら、地元の人からNHKにクレームが出るのではないかと
オラは勝手に心配しております。
それくらい、長崎の人は困った人に寛容というか親切で
初めて長崎に行った人は、だいたいヒキます
大丈夫、あなたはひとりじゃない。オラもヒキました。
でも帰る頃には、困った人を見かけたとき
なんで親切にしてあげなかったんだろうと、空港バスの中でだいたい落ち込みます
最近、そういうことで落ち込んでいないです。
きっと汚れてるのね(ゴーナキ)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わげもん~長崎通訳異聞~第1話:父を探して3

2022年01月18日 | わげもん~長崎通訳異聞~

突如鳴り響いた大砲の音に、騒然となる長崎の町

置屋(柳屋)に居候の男:神頭有右生(こうず ゆうせい)髙嶋政宏は、物見遊山とばかりに様子を見に出かける。

この日、突如長崎湾に現れたのは国交を結んでいないアメリカの軍艦。プレプル号であった。
囚われている捕鯨船漂流民16名の引き渡しを要求してきたのだ。
奉行所では、長崎奉行:井戸対馬守覚弘(いどつしまのかみさとひろ)石黒賢 が、なぜ長崎に乗組員がいることに気づいたのかと長崎奉行所の船掛:白井達之進(しらい たつのしん)宮川一朗太 に尋ねるが、先方はそのことについては口を割らないらしい。

この当時の長崎には、ラナルドとは別にアメリカ国籍の捕鯨船ラゴダ号から漂流した人々が、桜町牢にいた。

対馬守:直接引き渡すことはならん。わが国では、オランダ国以外とそのような取引を許してはおらん。船をこれ以上港に近づけることもならんっ!

井戸家の家老:周田親政(すだ ちかまさ)武田鉄矢らの前で、そう申し渡す対馬守。

アメリカ船の船内

白井:ただいま江戸表に処遇を問うているので、それを待て。

通詞の森山栄之助(もりやま えいのすけ)小池徹平 が、英語でアメリカ軍官プレブル号艦長:ジェームス・グリンに通訳する。
艦長の「いつまで待てばよいのか。」とう言葉を和訳すると、「待てばよいのだ。」というだけの白井。
艦長は苦笑いをし「我々に知られては不都合なことがあるのか。」という。

わが国では、貴国が抑留した漂流者を虐待し、死に至らしめたとのうわさも流れている。

白井:そんなことはない。抑留者2名が当地にて死亡した。だがそれは病で・・・。我らは手を尽くした。

二名、では当地にいるのは14名ということか。

白井:そうだ。

だが、奉行所に戻るとオアフ島出身の1名が行方不明であると知らされる白井。
牢内での暴虐に堪えかね、脱走したのではないかというのだ。
牢の床には穴が開いており、そこから脱獄したらしい。
牢番は手分けして探していたといい、報告があげられていなかった。
アメリカ側には14名と説明しているため、大騒ぎになる。

蘭通詞会所

稽古通詞:杉原敬生(すぎはらけいしょう)重岡漠 が通詞の長(大通詞)である父親:杉原尚蔵(すぎはら しょうぞう)矢島健一 相手に何かを見せている。
息子をお供に何処かへ出かけようとしているようだ。
もう一人の大通詞:大田崇善(おおた そうぜん)本田博太郎 と出くわすが、あまり二人の仲は良いとは言えないようだ。
どこへでも息子を連れて行く杉原を、太田はくさしている。

そこへ、通詞だった父親の失踪の謎を追って江戸からやって来た青年:伊嶋壮多(いじま そうた)永瀬廉 がやってくる。
通詞の会所に来れば、父親の手掛かりがあるかもしれないと思ったからだ。
周吾」という父親の名前を聞いた途端、少し困ったような顔で「知らん」と言われてしまう。
調べて欲しいと頼んでも、どうにも取り次いでくれない。確かに母親から、父親が長崎で通詞をしていたと伝えても

「周吾」ちゅう通詞は長崎にはおらん。帳面にもそがん名はなか。

そう言って冷たい扱いを受けるのだった。

長崎奉行所

その頃、奉行所では白井が対馬守に牢から一人の乗組員が失踪していることが伝えられていた。
14人の乗組員を返さなければ、相手方が砲撃も辞さずと脅していることも報告している。
時間を稼ぐことにした対馬守。家老の周田も「江戸の判断を待つよう伝えろ」と白井に命令を下した。

柳屋で眠っているカイを見守る壮多。
昼間の会所での出来事に気分が重くなり、神頭が食事を持ってきてもぼんやりしている。
神頭が持ってきたアガリと称する食事は、カステラにパン(ボーロ?)。豚の角煮やエビなどのさまざまなおかずが盛られた皿もある。
そのアガリの元は、芸妓たちの外国人への手紙を代筆したことへの手間賃らしい。
オランダ語の手紙を、出島の商館員に渡しているそうだ。
彼女たちは鑑札なしで、出島も唐人屋敷も出入勝手(フリーパス)舌も肥えているからウマイ料理もよく知っていると
神頭はウハウハしている。
成り行きなのに世話になって申し訳ないと、恐縮する壮多に「そうやって出入りする奴は多い。君には何も教えていない。」と言い、自分のことは、先生ではなく「神頭」でいいという。

初めて口にする長崎の料理が、おいしくて驚く壮多。
神頭はトリ -久保田紗友 から聞いたのか、壮多が父親を捜して長崎に来たことを話題にしていた。

母親から、父は通詞であると聞いていたがそれはカタリだったようだと話す壮多。
通詞会所にそのような男のいた記録はない。どこを周ってもそんな男はいない。
住んでいた長屋でも、ある日突然消えたままだと。

懐から、あの手帳を取り出す。

俺と母親は、父に捨てられたんです。

神頭は、手帳を開いてみるように壮多に指図する。
カタリとは思えんがな。よう記してある。

壮多から手帳を手に取り眺める。
その手帳は、蘭語を学び始めた頃母から渡されたものだという壮多。

あるページには

己のことばを捨てよ 周吾

そう書かれていた。
塩頭に意味を聞かれても、分からないと首を振る壮多。
眠るカイを見つめ、彼は逃げてどうするつもりだったのだろうと言う。

枕元に置かれた帽子は、塩頭によると「ファザーのもの」とカイが答えていたらしい。

ファザー・・・。

父親っていう意味だ。
会いたいんだろぉ、父親に。

翌日。柳屋の女将:しず(紅壱子)の元に、同心:滝口修二郎(たきぐち しゅうじろう)平山祐介 と栄之助がやってくる。

お役人さまがこげんところに、よかとね?(ニヤニヤ)

お役目でな。

どうやら、牢屋から逃げたカイを探しているらしい。

奥では、塩頭と彼にオランダ語を教わる芸妓たちがいた。
座敷の戸の隙間から、滝口を見かけた壮多は急いでカイを何処かへ隠す。

塩頭に、異国のケガ人を手当てしなかったかと尋ねる滝口。
ケガ人はいくらでも見たが、異国人は一人も診ていないと答える塩頭。
家探しを始める滝口。
奥の襖を開け、大きく膨らんだ布団をめくると・・・。

壮多が出てきた。

彼を見かけた栄之助が、ここにいるのかと驚く。
女将のしずに、港の仕事を世話してもらっているという壮多に、滝口が知り合いなのかと尋ねる。
カイの帽子が残っていたのだが、壮多が「粋でしょ、これ。被ってみます?」と滝口に渡そうとするが、埃まみれの布団から出てきた壮多の帽子を、いらんいらんと断る。
それではと押入れを開けると、そこにあったのはカイではなくこれまたホコリだらけの布団の山が崩れ落ちてくる。
堪らず出て行く滝口。
栄之助と壮多が知り合いだったことを知った塩頭。
壮多が父親のことを尋ねたが知らないと言われたことを伝えると、「力になれずすまない。」と詫びる。

おまえの父親は通詞だよ。

塩頭は、栄之助の前ではっきりと壮多に伝える。
滝口がもし異国のケガ人を見かけたら、連絡するようにと伝える。

その人が何か・・・。

滝口:いやたいしたことじゃないんだ、ただかくまってる奴がいるとタダじゃすまなくなる。
そういって、扇子で首をはねる仕草をする。

滝口:知り合いの晒し首なんざ、見たくねぇだろ。邪魔したな。

先に座敷を離れる滝口、去り際に栄之助が塩頭に話しかける。

英語んほが得手ですか?
さっき、きれいかお姉さんが、蘭語のフッタをグッタて言いよりました。
英語の癖が強か。

滝口に呼ばれ、栄之助も帰って行く。

先ほど滝口が開けた押入れ、下段の奥からカイが出てくる。
カイに父親の帽子を被せる壮多。

出島の下僕が一人消えただけで、なんで通詞まで駆り出される。
塩頭は、どうも様子がおかしいと感じるのだった。

本日はここまで

先日も描きましたが、外国との貿易が盛んにおこなわれていた長崎。
カステラのような砂糖をたくさん使うお菓子も登場しましたね。

そして、高浪様曰く
長崎空港等の売店では、切り分けられたカステラも販売されていますが
作っているお店によっては

切り口から乾いてしまうので、うちは切り分け販売しません( ー`дー´)キリッ
って、「一人分ずつ切られていないカステラを販売するお店」のカステラもあるそうです。
長崎のカステラは分担で作らず、一人の職人さんが全行程を担っておられるので
職人さんによってカステラの味が変わる。ともお話しされ
就職試験が腕立て伏せだったカステラ店もあったらしいですよ。
長崎のカステラと書きました。
電話はイチバンのお店は、同じ店名でも広島から向こう(東)のカステラは、製法が違うそうです。
この
アツい長崎カステラ推し 長崎が近い話のひとつとして書かせていただきました。

今はどうなんでしょうね。確認しに行きたいなぁ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わげもん~長崎通訳異聞~第1話:父を探して2

2022年01月17日 | わげもん~長崎通訳異聞~

崇福寺にある座敷牢

捕鯨船から日本にただ一人やってきたアメリカ人で、帰国まで長崎に置かれ、オランダ語通詞:森山栄之助(もりやま えいのすけ)小池徹平 らに英語を教えるラナルド・マクドナルド(木村昴)。
幕府は開示を迫る西洋列強に対応するため、通詞たちに急ぎ英語の習得を命じ森山らは彼に英語を学んでいた。
通詞の一人:船にはどんな武器を備えているのか。

ラナルド:よか。

栄之助:あなた方は我らを砲撃するつもりか。

ラナルドが笑い出した。

おかしい?どこかおかしかですか?

ラナルド:ブキぃ、持ってますか?アナタタチ、闘いますか?アナタタチ、外国親しいなりたくない。

ラナルド:あななたちはただ他国を拒否するために学んでいる。

英語でその言葉を聞いた通詞たちは、沈んだ表情をみせる。

栄之助:拒否ではない。ただわかって欲しいのです。
我々の話す言葉で、この国は今まで一度も他国に征服されたことがない。
そしてこれからもさせない。

ラナルド:それがあなたたちの誇りだと?

栄之助:イエス。

ラナルド:よか。

他の通詞と違い栄之助の語学センスはかなり秀でているらしく、よどみなくラナルドと会話を始める。
英語を教えるというよりは、議論をしているようにさえ見えた。

置屋・柳屋

通詞だった父親の失踪の謎を追って江戸から長崎へやって来た青年:伊嶋壮多(いじま そうた)永瀬廉 の目の前で、追手から逃れてきた大男(カリマ剛ケアリイオカラニ)が倒れた。
通りがかった芸妓見習いの少女:都麗(トリ)久保田紗友 と一緒に、大男を彼女の知り合いの医者のいる場所:置屋・柳屋に運び込む。

トリちゃん、お稽古はもう終わったとね。
始めて見た置屋に戸惑った壮多だが、トリに促されて大男を奥の部屋へ運び込む。
彼女が「先生」と呼ぶ男は置屋の居候:大田崇善(おおた そうぜん)髙嶋政宏 で、トリの友人でオランダ人を父に持つ青年:未章(みしょう)トラウデン都仁 に背中をほぐしてもらっていた。
トリは急いで未章を背中から剥がし
先生、病人ばい。
そう言って、今度は敷布団を引っ張って崇善を転がし、代わりに大男を寝かせる。
トリのなかなか大胆な行動に驚く壮多。
診察を始める崇善に、壮多が

(彼は)日本人ではありませんよね。

と問いかけていると、いきなりトリと自分との間に割り込んできたと勘違いした未章が

ワイはだいか?(お前は誰だ)
と言って壮多の胸倉を掴み凄んでくるが

手当てが先やろぉ。
と叱られて黙ってしまう。

先生は詳しかよ、蘭学者崩れやけん。
大男の脚のケガを治療する崇善をこれでもフォローしているらしい。
崇善が大男の頬を軽くはたいて、彼に名前を尋ねる。
しかし、日本語が通じないどころか
名前は?と中国語でトリが尋ねても答えられない。トリになにか聞いてみろと促されても、未章はオランダ語を話すことができない。

名前は言えますか?
どこから来たのですか?
流ちょうなオランダ語で質問する壮多に驚く崇善。

アンタ、蘭語が話せるとね。
未章が少し嫉妬した目で、壮多を見る。
壮多は大事に持っているあの手帳を大男に見せ、
この中に話せる言葉がありますか?
と聞いてみたが、男は首を横に振るだけだ。敷布団に置かれた紙を見た崇善は
ここに書かれているのは全て英語だという。試しに崇善が英語で名前を聞いてみると大男は、自分の名前を「カイ」と名乗った。
崇善はカイに腹が痛むのかを英語で尋ね、腹部を押えるとカイが痛みを訴える。
未章が着衣を脱がせると、腹部には暴行を受けた痕があった。

あぁ、出島から逃げてきた下僕だな。仲間にやられたか、商館員から仕置きされたか・・・。

なぜそんなことを。

出島は、オランダ人には牢獄ばい。余程んことが無い限り、島から出るのはご法度たい。
あがん小さか島に閉じ込められとったら、弱かもんにウサのひとつでも晴らしとうなっとさ。
未章が吐き捨てるように言った。
華やかな町の裏側を少し知ったような気がする壮多。

カイ:イムンアエナポーキ

英語ではないその言葉に、疑問を持つ崇善。

イムンア・・・。

未章:出島には返さん方がよか。

今返したら同じようなめに遭うて死んでしまうとよ。

崇善の判断でしばらく様子を見ることにし、このことは口外しないようにすることとなった。
壮多はトリに自分を出島に連れて行って欲しいと頼む。
カイの言葉「イムンアエナポーキ」が、きっと彼にとっては大切な言葉であろうから、力になれるなら助けてやりたいと言うのだ。

あたしトリ、こっちは未章。アンタは?

そ、壮多。

行こう、早よぉ。

そう言って、早速行動しようとするトリに戸惑う壮多がついていく。

出島の入り口で

禁制の立札が建てられた出島の入り口。
門構えの前には、番人が立っている。長崎に来た外国人は自由に振舞えるわけではなく、この狭い出島の中にいることを強要されるのだ。

出島は、オランダ人やその植民地から来た人々が居住する島で、許可のない一般の日本人が入ることは固く禁じられていた。

その前に立つトリと壮多。連れてくることはできても、中に入ることはできない。

どげんすっと。

その時、中では同心:滝口修二郎(たきぐち しゅうじろう)平山祐介 が通詞の栄之助を連れて出島を訪れていた。
オランダ商館の勝手方:ヤンセン-村雨辰剛 、カピタンと呼ばれるオランダ商館長で出島のオランダ人たちを代表するトップ:
レフィスゾーン(リチャード・ヴァン・ローイ) らに、川で発見された遺体が持っていたあの陶磁器を見せるためだ。

商館長の言葉を栄之助が和訳しようとすると、滝口は会話を重ねるつもりではないので簡単に内容を伝えるようにいう。

確かに西洋の工芸品だが、我々が扱った品ではない。
昨年の積荷控えにもこの品は載っていない。

滝口:えぇ、もちろんそうでしょう。で、話はここからだ。どなたかその品に心当たりのある人が、出島に居ませんかね。

栄之助がオランダ語訳を商館長らに伝えると、商館長はこう伝えてきた。

長年オランダは長崎で日本と友好的な交易を行ってきた。
違法な売買「抜荷」が重罪なのは承知している。

幕府は「抜荷」即ち「密貿易」を固く禁じ、打ち首などの重い刑罰を与えていた。

ヤンセン:不正の取り締まりには互いに尽力しましょう。

屋敷を後にする滝口たち

殺された男が抜荷と関りあるとは、間違いなかですか。

あぁ、前から目は光らせてたんだが・・・。

殺されたとは、仲間割れやったとでしょうか。

或いは、商売品をくすねて制裁されたか。どっちにしろ下手人は、抜荷一味と繋がってる筈だ。

門の外へ出ようとした滝口らが、騒ぎに足をとめる。

どうやら、オランダ人医師モーニッケが出島に戻ろうとしたところを壮多が呼び止めたため、騒ぎになってしまったようだ。

間に入る栄之助が、モーニッケ医師にオランダ語で様子を尋ねると、彼は「なんでもない、いきなり話しかけられただけだ。」という。
彼らが心得違いをしただけだという稽古通詞:杉原敬生-重岡漠。モーニッケ医師に「無頼の者は私が追い払う」と敬生から伝えられ、堪らず壮多がオランダ語で反論する。

無頼の者ではない、教えてください。
「イ・ムア・エ・ナー・ポーキッイ」聞いたことはありませんか?
出島の下僕たちのあいだで

敬生:帰れ、異国人と許可なく話すことは禁じられとるっ。

許されればいいんですか?

言い返されてムキになる敬生に、栄之助は中に行くよう命令する。
敬生と中に入ろうとしたモーニッケ医師は、壮多を振り返り

その言葉、私は聞いたことがない。ポルトガル語でもマレー語でもないようだ。
役に立てず残念だ。

そう言葉を残して立ち去さろうとするが、がっかりする壮多を見て

あなたのオランダ語は聞きやすい。

そう微笑んで帰って行く。

滝口:騒ぎを起こすんじゃねぇぞぉ~。
どうやら滝口は見逃してくれるようだ。

壮多の流ちょうなオランダ語に、栄之助は蘭語をどこで学んだかと尋ねる。

一人で、江戸で。

一人で・・・。

よぉ~身についとぉ。
なぜかちょっと悔しいといった顔で、嬉しそうに去って行く栄之助。
彼を呼び止め通詞であるかを聞くと、父親の名前「周吾」という名の通訳を知らないかと尋ねる。
その名前に表情をこわばらせる栄之助。(台詞では「しゅうじ」と聞こえました。)

何て?

ワタシの父なんです。

そのとき、2人の会話を遮るように大砲の音が鳴り響く。
その音は、座敷牢に居るラナルドにも聞こえるほどだった。
何度も聞こえるその大きな音に、長崎の町はパニックとなっていった。

本日はここまで

長崎と言えば、橋。眼鏡橋はあまりにも有名ですよね。
今の長崎は、当時あった橋がなくなり川に蓋をする「暗渠」(あんきょ)という状態になった場所もあります。
〇〇橋という地名があっても、行ってみると橋がなかったりする場所もあるのです。
そういえば、ブラタモリで長崎ロケがあったとき出島付近の暗渠の中に入るという企画があって
ゾクゾクしちゃいました。あれからどうなったのかな、気になります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ドラマのあらすじを入力中

2022年01月16日 | わげもん~長崎通訳異聞~
NHKの土曜ドラマ『わげもん』のあらすじに、とりかかりました。
登場人物が多くて、どうなるかと思いました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わげもん~長崎通訳異聞~第1話:父を探して1

2022年01月16日 | わげもん~長崎通訳異聞~

嘉永2年(1849)

江戸時代の長崎。当時唯一諸外国と貿易ができていた長崎は、オランダ・清国(中国)など幕府に許された国々とのみ交易を行う都市であった。
イギリス・フランス・ロシア・アメリカなどの西洋列強は、この港から日本との国交を結ぶ糸口を探っていた。

沖で停泊している外国船に向かう小舟。
船頭と共に外国船に向かうのは、オランダ語通詞である森山栄之助(もりやま えいのすけ)小池徹平 だ。
彼らが近づく外国船の周りは、明かりを灯した小舟にぐるりと囲まれている。
栄之助は、外国船に乗り込む。

開国を迫る列強と幕府との間に立ち、両者の交渉を言葉を以て担うオランダ通詞(つうじ)と呼ばれる者たちがこの街にいた。

やってきた栄之助を待っていたのは、長崎奉行所の役人 と オランダ商館の人物 だ。
彼の話をオランダ語で通訳する栄之助。
わげぇ(和訳)致します。
船は突然、夜中に現れた。上がってみっと中は明るく、たった今まで誰かが笑いさざめいていたかのように、大勢の人々の気配があった。だが、どこにも人はいない。

奉行所役人:ありえっと、こん港なら。

オランダ語訳で、栄之助が伝える。
この町ならどんなことでも起きる。

ここは、長崎ですから。

役人と共に船内を探索する栄之助。
燭台のロウソクに照らされた船室の中を見て、目を瞠る(みはる)のだった。

海辺を歩く青年

懐には大事そうに(今でいうシステム手帳のようなもの)何かを持っている。どうやら、彼はどこかを目指しているらしい。彼が辿り着いた場所は長崎だった。被っていた傘を取り払い、賑わう町を感慨深げに見つめる。

オープニング

彼の名前は、伊嶋壮多(いじま そうた)永瀬廉 通詞だった父親を捜して長崎にやってきたのだ。
壮多には幼い頃仕事に出かけたまま行方不明となった父親がおり、父が通詞の仕事でこのあたりに住んでいたらしいと僅かな情報を頼りに父の行方を尋ね歩いていた。
それらしい長屋にいる人に尋ねてみても有効な情報はなく、表に座っていた老人に「20年以上も帰って来ない父親なんて、なぜ今頃探しに来たのか。」と言われ

二月前、母が死にました。それを知らせてやりたくて。

そう答える壮多。その言葉にほだされたのか、老人は話し始める。

風の強か晩、あん人の家だけが遅おまで灯りがついとった。

翻訳作業をしていたらしい父親の姿。
しかし、明け方に老人が父親のいた長屋の戸を開けてみると・・・。

消えた?

そんときから、あん人のことば見たもんは誰もおらんくさ。

消えてしまった手掛かりに、呆然と町を歩く壮多。
彼の歩く先、橋の上には川のほとりに水死体があるらしく人だかりができたいた。
奉行所同心:滝口修二郎(たきぐち しゅうじろう)平山祐介 が遺体の懐から、陶磁器のようなものを取り出す。
後ずさりしてその場を去ろうとする旅傘姿の男と、壮多はぶつかる。
詫びる壮多に傘を上げた男(サンディー海)は、オランダ人とは違う顔つきの外国人風の男性だった。
彼のことが気になり、後を追いかける壮多。
男性はそれを振り切ろうと走り出す。
辻を曲がって小さな鳥居の辺りで、男を見失う壮多。
すると、その後ろを大男(カリマ剛ケアリイオカラニ)が荒い息遣いで通り過ぎるのに気づく。
彼が身をひそめると、追手らしき男が2人。彼を探して見当違いの方向へ走り去って行った。
鳥居付近に隠れていた大男が倒れるのを見た壮多は、通りがかりの女性トリ(久保田紗友)に話しかけられる。

ケガ、めまい?

分からない。

運ぼう。一緒に運ぶから肩を貸そうという動作)

運ぶって・・・。

先生のところ、はよっ。

歩けるか?(ぐほっ)

そう言って、2人は大男をどこかへ運んで行った。

崇福寺 大悲庵

まるで座敷牢のような設えの部屋の前の廊下で、栄之助たちが正座で一斉に中の人物に挨拶をする。

フットモーニング

牢と言っても床は畳、上には絨毯が敷かれており、無下に扱われているわけではないらしい。

その挨拶に首を振って笑いながら訂正を入れる男性:ラナルド・マクドナルド(木村昴)

ノット、フット。グーッ、グッドモーニング。

どうやら栄之助たちに英語を教えているらしい。
彼らの挨拶を直すと満足したらしく、こちらに来てから覚えたらしい九州弁で

よか。

そう伝えてきた。
当時、照明の主流であったランプに使用する鯨の脂を求め、列強諸国から多くの捕鯨船が日本近海に出没してきていた。
ラナルドはこのような捕鯨船から蝦夷地に上陸し、長崎に送られてきたアメリカ人なのである。

本日はここまで。

トリと壮多の出会い。長崎が近い(長崎らしい)ですね。
困っている人を放っておけなくて、トリが大男に自分から肩を貸してます。
もし台詞があったとしたら、もたもたしている壮多に

せからしか、はよぅ肩ば貸しんねっ。

そう言って叱りつけていたかもしれませんね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

時代劇と言えば、時代劇なんだけど。

2022年01月15日 | わげもん~長崎通訳異聞~

わげもんは、登場人物が凄く多いです。

多い、大富豪同心より多いです。(コラコラ)

なんとかクリアしたいと思います。

そして、エンディングで踊ったりしません。←どうしても大富豪同心基準なんかいっ!

CMなしの45分番組ですので、民放なら1時間30分くらいのボリュームなのかな。

徹平ちゃんの台詞は、「准教授・高槻彰良の推察」からひきつづき「紫」です。

主役(永瀬くん):青

栄之助(小池くん):紫

ヒロイン-トリ(久保田さん):暗いピンク

先生(TM1号):暗い赤

その他台詞:赤

ナレーション:茶色

オラのツッコミ:オレンジ

(忘れそうなこれ)

日本語→外国語:下線と斜字

外国語→日本語:斜字のみ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする