五木寛之氏の『親鸞』⑧

2008-11-14 | 仏教・・・
もし、運よく物事がはこんで、自分がなにか偉い者ででもあるかのように驕りたかぶった気持になったときは、この石を見て思いだすことだ。自分は割れた瓦、河原の小石、ツブテのごとき者たちの一人に過ぎないではないか、と。そしてまた、苦労がつづいて自分はひとりぼっちだと感じたときは、この小石のようにたくさんの仲間が世間に生きていることを考えてほしい、と。弥七はそのように申して、これを忠範さまに渡すようにと頼んで消えました。 . . . 本文を読む

五木寛之氏の『親鸞』⑥

2008-11-14 | 仏教・・・
臭いがひどい。糞尿の臭いと死臭が入りまじった、なんともいえない臭気である。  辻のあちこちに倒れた人の姿が見える。飢えと流行病で、無数の人びとが死んでいくのだ。そんな町を、たとえ粗末な牛車であろうとも、車にのってとおりすぎていくのは、体が震えるほどうしろめたい気持だった。 . . . 本文を読む