犬がおるので。

老犬から子犬まで。犬の面倒をみる暮らし。

おじいわん検診(1)

2015年02月11日 | 健康・フード・病気・治療・腎不全


仕事の都合でなかなか行けなくて、

延ばし延ばしになっていたワクチン接種(病院)。

ついに週末行ってきた。



オレコがほかの子に吠えたらいけないのでいつもギリギリに行く。

2か月ぶりに来たらルールが変わっていて、15分前に来ないとダメなんだけど、

先週問い合わせと予約をしてあったので、受け付けてもらえた。



待合室はぶるぶる震えるシェルティちゃん。

診察室からはあの「ぴ、っぴ、ぴー、っぴ、ぴ、ぴー」という、

心臓の鼓動の様子をお知らせする機会音が聴こえてきた。

その機械の子とは別に、診察に訪れた外来の子、多分相当のお年なのだろう、

その子の飼い主さんと、先生の声が聞こえてきた。



 もうここまで来ると、いのちを助けるはずの注射も、

 この子にとっては負担でしかない、どこまで(延命)やるか、

 それは飼い主さん次第です、いのちを永らえることが、

 今はこの子の小さな体にとっては負担にもなるから、よく考えて、



消え入りそうな飼い主さんの返事、同じことを繰り返す会話。

長い沈黙。

待合室も重苦しい雰囲気。

シェルティちゃんも老犬で、時折目線が合うと、

やさしくにっこりしてくださる飼い主さんも、

全身耳となって、診察室の会話に傾けている。

おじいわんを抱っこしたわたしも同じだった。

ずいぶん時間がかかっているのだけれど、

「いつまで待たせるの」という雰囲気にはならない待合室。

聞きながら私は、今日もし同じようなことを言われても、

取り乱さない、静かに聞いて、持ち帰って、家族で相談することにする、

そう決めてきたのだから、落ち着いて、落ち着いて。

と自分に語りかけていた。



 とりあえず今日はいったん戻ります、それからまた様子を見て

 そうですね。ご家族とも相談されてください



そんな会話が聞こえてきて、

小さな小さな子犬のような、老犬を抱えた老婦人が出てきた。

やわらかそうな布と、ペットシーツにくるまれて、表情はわからない。

見た瞬間、ドキリとしたけど、会釈するでもなく、目を伏せて、

その方たちを見ないようにした。泣いていられるようだった。

そりゃそうだよね。そうだよ。うん。




続いて先に来ていたシェルティちゃんが呼ばれ、先生と飼い主さんが軽快な会話。

様子を見せるというより、お薬をもらいに来たようで、1分とかからなかった。



 心臓はやっぱりあんまり変わらないけど元気はよさそうだから食べさせて運動も少しさせてね

 老老介護だからねえ。どっちが先かわからないけどねえ~



噛みあわない会話だけど笑顔で交わしているのがわかった。

ぶるぶるしていたシェルティちゃんはぶるぶるしたまま帰って行った。



名前を呼ばれる。

心に力を入れる感じで、

「ハイ」と返事をしておじいわんを抱っこして診察室へ。

先生は男性と女性とふたり。

いつも男先生が見てくれるけど、多分、奥にいるんだろう。

あの、ぴっぴっぴっぴ、ていう音がする機械のところにいるはずだ。


まず、おじいわんの血液検査をしてもらい、次にワクチン、それからオレコ、という順番。

検査に入る段階で、女先生が男先生を呼びにいった。

ずっとおとなしく、暴れもせず、ちゃんと診察を受けていたけれど、

血液を抜くときと(30分くらい間があった)ワクチンを打つ時、おじいわんはちょっとヘンな顔になった。

寄り目?みたいな感じ。何かに似てると思ったら、海老蔵とか、写楽の絵だった。

見たことない面白い顔。さすがに撮影はできなかったけど。

男先生がおじいわんの胸に聴診器を当てて、何度か頷いている。


 ああ、これはなんかあるな。


先生の顔を見ただけで、わかった。

聴診器を外して、病名があきらかになった。

続けて3つ言われた。追いかける耳が必死。

僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)

参考資料2>

三尖弁閉鎖不全症(さんせんべんへいさふぜんしょう)

そして心臓病が原因の肺水腫



いずれも後天性のものだった。

どちらも、心臓の弁の具合が悪く、血液が逆流したり、

スムーズに行き来ができず、体に悪い血がめぐったり、

肺に水がたまったり、ということらしい。

結論と対策をさらりと説明するのではなく、

獣医を目指す人にするような、ものすごく詳しく丁寧に説明してくれる。

図解やなんかを見せてくれながら、私が阿呆なのも意に介さず、淡々と説明される。

そのときはすごくわかったような気がするんだけど、診察室を出たらすぐにわからなくなってしまう。

いつも録画したいと思うのだけれど、それは無理なので、忘れないように、こうして書き留めておく。




難しい手術をすれば別(老犬はやめたほうがいい)だが、そうでないなら、

薬で治癒できるわけではないけれど、この弁を大事に使うためには血流(血圧)を安定させることが大事で、

そういう薬がある、それを飲ませるのがいい、という。

心臓の具合が悪いせいか、肺だけでなく、腎臓も悪くなっていて、その薬はどっちも安定させることができる。

ここでは投薬を悩んでいる場合ではなくて、すぐに先生のいうとおりに用意をお願いした。

エースワーカー2という薬で、ひとまず1か月分をもらうことに。


「今も前より元気に見えるけど、もっと元気になるよ。苦しいのが楽になるから」


治ることはないのだが、病気の進行をゆるやかにすることで、今の苦しみからは解放されるそう。


 そうか、おじいわん、苦しかったのか。ごめんよ、もっと早くくればよかった。


時々ぜんそくのような咳をしていたけど、咳はぜんそくと同じ仕組みだと先生も言った。


「温度差。冷たい空気を吸い込んだとか、だから室温は一定にして、湿気はだめね。循環系は水が大敵。乾燥させておくこと」

「朝と夜お水飲んだらすぐ下げちゃって。常に水を飲めるようにはしない。極力飲ませない」


おお。お水好きのおじいわん(老犬はお水飲ませろという本を読んだばかりだったし)にそれは酷だな。

いきなりはかわいそうなので、水の量を減らして、徐々に忘れさせよう。

心臓と腎臓のほかに気になるところを質問。

おなかのぷにゅっとしたおへそのようなもの、もしかしてヘルニアだったら、

悪性腫瘍だったら大変と心配していたけど、さわりながら先生は、


「これは脂肪腫じゃないかな」


という。そして歯がもう歯石だらけで汚いのだが、歯磨きしたときに


「キャン!」


と泣いたことがあって、それ以来、やっていない。

この歯をクリーニングしてもらいたいのだが、心臓に負担かかるから無理だろうか。


先々、食べられないようになったらかわいそうなので、麻酔ができるうちに歯の掃除をしてもらいたい、といったら、


「うん。泣いたのは知覚過敏のに触っちゃったからだろうね。

悪い歯が骨とつながって炎症おこしたりすると大変なんだけど、麻酔は心臓への負担もだけど、

このくらい(の年齢)になると、歯はキレイになったけど、頭がね、麻酔の影響で、痴呆になったり、

そういうことが起きたりもする。痴呆になると世話が大変だから、どっちをとるかだよね」


それについてはよく考えて家族で相談もして、投薬と健康状態を見て、できればやる方向でお願いしたい、といった。

かつて実家に、歯が悪くて食べられなくなってずいぶん老いてから手術をした猫がいて、とてもかわいそうだった。

それからこれはよその子の話だけど、かわいそうな理由で飼い猫から外猫になった子も、歯がだめで、食べたいのに食べられなくて、亡くなった。

あれはかわいそうだった。とてもかわいそうだった。だから、元気なうちに。

できればボケないように手術してもらって、寿命まで、好きなだけ食べさせてあげたい。

だってこの子は食べることが大好きなんだもの。





それから気になることは?と聞いて、おしりの穴がちょっとへん(ぶよぶよ)なんだけど、と聞いてみた。


「うん、これはね、心臓のせい。心臓が悪いから、肛門が出ちゃってる。頭が悪いと肛門がふやける」


え?なにそれ、そんな話、聞いたことない。ふやけるってなに?

これについては東洋医学の見地が入るため、ながーい説明が必要になるので、割愛。

なんでも少林寺や高野山に伝わる医術を習得した方がいらして、その方が先生と旧知の間柄で、

そういう方から学んでいるらしい。だから医術というより秘術に近いのだろう。


いろんな話を聞いて、えー!へー!ふお~~~!となったし、ぜひ見てもらいたかったが、

が私たちレベルは見てもらえないだろうな。

○○医大が、医大近くに作ってやるからそこで診療しろというのだけど、


「診るのは疲れるからいやだ」


といって、やらないんだって。治療そのものより診るのが疲れるなんて。

ひとりやったらもうくったくたになるそうで、そんなの仕事にしたくないらしい。

あとでググって調べてみたけどまったくもってよくわからなかった。

当たり前だ。秘術だもん。だから、よそのペットクリニックへ行って、


「肛門ふやけてるから頭が何かあるんじゃ?」


て言って泣いて迫っても、

「は?」

て、言われるだけだと思うので、世間話程度に聞いといてください。

でもおじいわんの肛門は、なんだか老犬だからというにはちょっと?なふくらみで、

もしかしてガンじゃないだろうか、などと、心配していたので、

なぜそうなるのかわからなかったけれど、ガンじゃないならいいか、と思った。

ちょっと安心した。

(あしたに続く)