なっちゃんは23年前、スーパーの前に捨てられていたこねこ。
くっきりアイラインのサバトラ姉妹猫と「ねこあげます」と書かれた段ボール箱の中に、カリカリとともに入っていた。
よくなく姉妹とはあまり似ていなくて、どっちかというと地味な子だった。
こねこははじめもっといたようだったが、可愛い子から売れたに違いない。
売れ残りの2匹のうちの1匹が、なっちゃんだった。
妹とふたり、行きかう人に声をかけ、
家族連れの男の子がサバトラのほうを抱き上げて連れて行った。
すっかり日が暮れて、貰い手のつかなかったキジトラ(ムギワラ)の子猫をどうするか、
考えあぐねていたら、妹はきっぱりと、
「このこ、うちで飼う」
と抱き上げて連れて行った。
わたしは両親が反対すると思っていた。
ところが妹が連れて帰った子猫、
「ねえいいでしょう?」
戸惑いながらもあっさり両親は一発OKを出した。
家にはやはり妹がねだったインコや文鳥がいたのだが、
こねこのうちはともかく、大きくなったら部屋を分けるし、
などなど、条件をどんどん積み上げる感じで。
そっか人によってはOKが出るのだな。
(翌年3匹の子猫を拾って連れ帰った私にはNOだった…なぜ?)
そんなこんなでうちにきて、23年の間、
元気に暮らして、まだ元気でいてくれて、
もうすぐ猫又になろうとしている、なっちゃん。
去年、仲良しの子たち(というか彼らの育ての母だったんだけど)が2匹とも、
あいついで亡くなって、ぽつんとさみしく、猫タワーに住むなっちゃん。
むかしは通りすがりにシャ!とひっかいたりして、
家族のだれもが恐れていた恐ろしい女ボスだったけど、
がりがりになって、去年ちょっと病気もして、少し丸くなった。
気に入らないことがあったくらいでは、ひっかかなくなった。
権勢をふるう若猫(といってももう8歳くらいになるのか)たちに、
家のほとんどのスペースを譲り、時々追いかけられては、
ううううう、と、怒りながら逃げ回っている。
意地悪されながらも、
「わたしここにいるわよ」
というふうに、生きていてくれることがなんてうれしい。
私にとってきょうはそんななっちゃんに感謝の気持ちでいっぱいな、ねこの日です。