この葉書は昭和19年に川崎にありました東芝の真空管製造工場で働いていた女性からのお手紙でございます。葉書の内容はともかくといたしまして、戦時中には真空管が大量に製造されていたことは事実でございます。
真空管の用途は主に通信でありました。例えば零式戦闘機の通信機器の重要な部品として搭載されておりましたが、性能が悪く実戦では全く役に立たないので搭乗員が通信機器を下ろして戦闘したそうでございますが、ただし、この話は定かではございません。
戦争末期ともなりますと男性は戦場に全員出動でありましたので、女性陣が徴用されて急遽、工員になり働いたのでございます。なお昭和19年には葉書の料金が2銭から3銭に値上げになり、女性工員の模様の1銭切手が加え貼りで使われるようになりまして、誠にこの葉書に相応しい体裁になっております。