「初詣の準備だ、お祭りの式典だ」と騒いでいたのは、もう3年も前のことだ。俺が村の仕来たりで、神社係を卒業したら、次は墓地委員とコースが決まっていて、それが終わると年齢的にもそろそろお迎えが来るという仕組みかもしれない。兎に角、今はその前段階の墓地委員で、お盆前までに村の墓地の管理費を戸別訪問で集金しなければならない。僅かな金額だが、これがなかなか難しい。隣近所だから少しは顔を覚えてもらっている積りだが、息子のお嫁さんが応対に出られるとお手上げだ。変なおじさんに現金が渡せる訳がない。お爺さんに取り次いで貰って「やあやあ、ご苦労様」でホッ。昔だったら、お祖父さんから孫まで、更にその親戚筋までお隣さん達は皆顔見知りだった。こんな場合も怪訝な顔をされること無く、スムースに事は運んだ。そんな訳で二度三度と訪問して、後1軒だけとなった。そろそろお役も終了近い。次のステップまでに暫く時間が欲しいものだ。