古い写真で恐縮です。
撮ったのは22年前のちょうど今日、時間もおそらく今頃だったと思います。
場所は禄剛埼灯台。
現在放送中の朝のテレビ小説「まれ」の舞台になっている能登半島の最先端です。
「まっさん」の終盤になって、新しく始まるドラマの舞台が能登だと知ったときから楽しみにしていたのですが
まさかオープニングで、あの景色に会えるなんて!と、その一瞬を見逃さないように
毎朝、準備万端ジャストタイミングでテレビに向かっているのです。
それは、主題歌にのせて海から半島に向かって空撮しているシーンで
先端の灯台の後ろに広がる公園のような緑地です。
あの年はキャンプをしながら長めの旅をする計画だったのですが
梅雨明け宣言もなく、冷夏で、台風が次々各地に上陸したアウトドアにはまったく不向きな夏でした。
翌年、お米が不足してタイ米を食べることになった、と言えば思い出されるでしょうか。
前日に泊まったキャンプ場は、まだ青空の朝のうちからその日は閉鎖になることを決めており(ロッジのような宿泊施設日がなかったのです)
国民宿舎など公共の宿に片っ端から電話をかけて、キャンセルの出た宿に泊まることにしました。
そしてようやく見つけた能登半島の先端ちかくの宿。
ロング・ドライブに飽き飽きした子供たちは、灯台の駐車場で車のシートから解放されると子犬のように駆け回り、
この手入れの行き届いた花畑を見つけました。
どんよりと暗い空の下、そこだけは明るくて、誰だってそばに行ってみたくなるような景色でした。
そこで一人でせっせと花の世話をしているおばあさんにあいました。
娘が声をかけると、びっくりしてから嬉しそうに応えてくださり、
いろいろお話をしてくださったようです。
そして、キバナコスモスと数種類の種を「お土産にね」と持たせてくださった
そんな優しい思い出をいただいた場所なのです。
そんなことから、テレビの前でほんの一瞬だけあの日に帰れる幸せな時間を一人噛み締めるのが
この春夏の日課になっているのでした。