犬が時折 顔を上げ
何の香りだか 鼻を動かしては
幸せそうに目を細める
風は優しく頭を撫ぜ そのまま
勢いよく 鳥と大空へ飛び立った
気流に乗れば ばさり はばたけ
一度でいいから
『飛ぶ事は意外に 至極カンタンなのかもしれないよ』
───高く もっと高く 遠くへ 遠くへ───
もうすぐ 海が開ける ほら
この山駆け下りれば 波頭で太陽が遊ぶのが見えるだろ
ぱしゃ ぱしゃと 笑い声をあげて
水が跳ねて 少し濡れたじゃないか
浜辺で転げ回る貝殻が 一生懸命僕達を呼んでいる
───アスファルトのジャングルで 少年は
ふと 立ち止まり 思い出す
自分を呼んだ声を
風は勢いよく 向かい風で
『帰るべき場所はいつも 向かい風で』
そして駆け出す 宿題もテストも放りだして
速く もっと速く 遠くへ もっと もっと遠くへ
少年は 空を目指す───
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