実にずるいやり方だ。
専門家から「パンデミックでの五輪はない」と指摘されると、「中止も延期もない」と組織委員会が言い出した。
するかしないかの判断基準すら示さないまま、ズルズルと判断を引っ張り続けておいて、「もう中止はできない」と言だすのは、あまりにもずるいやり方だ。
国会でも、分科会の尾身会長はパンデミック下の五輪は「普通でない」ときっぱり表明。さらに、「何のためにやるのか明確な理由を示すべきだ」と厳しく指摘した。驚くのは政府からも組織委員会からも、これまで五輪判断の要請はまったくないというのだからあきれる。
菅総理はひとつ覚えの「安全安心」を繰り返すだけで、その根拠も開催すべき理由まったく示さない。
五輪を強行したい連中は口を揃えて「経済損失が大きい」という。だが、試算によると五輪中止の経済損失は1兆8千億円。五輪によって人流が拡大して第5波が生じれば、経済損失は4兆円を超える。経済損失論のウソがいかにデタラメかがわかる。
もともと、五輪誘致が経済効果を狙っていたので、その幻想から菅総理だは抜け出せないでいる。五輪を開催した総理として歴史に名を残したという姑息な下心も透けて見える。
加えて、衆議院解散が迫っているから、「いまさら中止などできない」と、判断の基準は国民ファーストよりも選挙ファーストの菅総理だ。
ほとんどの国民は「ほんとうに五輪やるのか」と思っているし、「できないだろう」と考えている。それだけにズルズルと引き延ばしておいて、「いまさら中止はできない」というやり方はずるすぎる。
「人流を抑えるため」と営業をさせないのに、関係者だけでも25万人以上が動き回る五輪の開催はやる。こんな矛盾したこずるいやり方もない。
選挙利用の五輪など誰も望んでいない。