好天に恵まれたので先日思い立って御殿場の「神山復生記念館」(こうやま ふくせい)を訪ねた。パリミッションや岩下壮一師に関心を持つカト研の皆さんはよくご存知だろうが、私は初めての訪問だった。この記念館は神山復生病院の敷地内にある。1897年(明治30年)に日本初のハンセン病治療所として建てられ、2002年(平成14年)まで事務所として使われていた建物が記念館として開設されたものである。2016年(平成28年)に創建時の姿に復元されたという。 予約なしの突然の訪問にもかかわらず、係の方が丁寧に案内、説明してくださり、感銘を受けた。「復生」(ふくせい)とはResurrectionの訳であり、現在われわれは「復活」と訳している。
展示は、ハンセン病患者の生活の悲惨さを過度に強調するのでも無く、また、岩下師をはじめ歴代病院長を英雄視して描いているわけでもなく、治療の歴史を淡々と紹介しているところが心にしみた。といっても、展示の中心は、6代目院長の岩下壮一神父と初代婦長の井深八重である。岩下師が愛用されたという小さな聖書が特に印象的であった。また、NHK大河ドラマでよく知られるようになった井深八重が、同志社で学びながらもやがてカトリックに改宗し、1989年(平成元年)まで治療に尽くしていたことを知り、深く考えさせられた。特にいくつかの展示品は、戦前の公教会と皇室との関わり方(皇室のハンセン病への支援と表現すると誤解を招くか)について、カトリック教会が戦前日本を生き延びるために味わった苦痛と英知を思い起こさせてくれた。
自分がカトリックであることがなにか晴れがましいことのように思えて、すがすかしい気持ちで記念館をあとにした。
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