花束を見つめる少女。
いや、よく見てみるとマーガレットの花束に麦が一本。それに煙がなびいているお線香が1本。
不思議な写真だ。
少女が見つめているものはマーガレットではなく、麦とお線香だ。だが、なぜ麦がそこにあるのであろうか?
なぜお線香をもっているのか?しかも火がついて煙があがっているではないか。
あぶないあぶない。
それでも少女はやさしい眼差しで目で麦とお線香を見つめている。
大好きだった犬のペリーが死んでしまった。原因不明の熱病で、たった三日で痙攣を起こし、死んでしまった。
最後に少女にさよならを言おうとしたのかペリーはか細い声で「くうーん」と泣いた。
もはや少女は涙も出なかった。三日三晩、泣きじゃくりなが看病したからだ。
大好きだった籐の籠にペリーを入れて、花束をいっぱい敷き詰めた。
少女はペリーに最後の見送りをした。
少女は手に持ったマーガレットをペリーにそっと添えた。
少女はペリーがおもちゃにしていた麦をそっと添えた。
少女はお別れのお線香をあげた。
「さよなら、ペリー。またいつか会おうね」
こんな物語があったのかも知れない。
少女の眼差しが悲しみを乗り越え、あきらめの境地にたったようにやさしくそよいでいる。
100年前の悲しい出来事でした。